美術館について
美術館評価制度
横須賀美術館評価委員会(平成19年度第3回)
日時:平成20年3月7日(金)午後2時~4時
場所:横須賀美術館 ワークショップ室
1 出席者
委員会 委員長 谷口 政隆 神奈川県立保健福祉大学大学院教授
委 員 相田 真弓 横須賀市立走水小学校教諭 造形教育研究会事務局
委 員 岡本 康英 (株)さいか屋取締役社長
委 員 泰井 良 (財)地域創造 振興助成課副参事
委 員 原田 憲一 市民委員
委 員 安田 直彦 市民委員
※副委員長 山梨 俊夫は欠席
事務局 教育委員会生涯学習部長 外川 昌宏
横須賀美術館副館長 原田 光
美術館運営課主査(学芸員) 石渡 尚
美術館運営課主査 佐々木 暢行
美術館運営課(学芸員) 沓沢 耕介
2 報 告
(1)第2回委員会以降の経過
(2)配布式アンケートの分析結果について
3 議 事
(1)評価制度の確立・実施に向けたスケジュールについて
4 会議録(要約版)
(1)第2回評価委員会以降の経過(事務局より報告)
①第2回委員会で事務局より提示した評価項目案が受け入れられなかった。
[前回の主な意見]
・美術館の使命、ミッションとの結びつきが不明。そもそも、この美術館のミッションとは何か。
・アンケートにあらわれた批判的意見が、評価項目に反映されていない。
・アンケートの実施方法自体を改善すべき。
②9月末に議事録を作成し、ホームページ上で公開した。
③10月末に泰井委員、および佐々木亨氏より、評価制度構築の手順、アンケート調査の方法につきご指導いただいた。
・アンケートは、美術館の現状を客観的に把握することを目的とする。
・アンケートによって、来館者のニーズを客観的に把握し、美術館の使命、ミッション、を考える根拠とする。
・アンケートの継続により、数値目標設定の判断基準を得る。
④清宮質文展(11月23日~12月18日)で、配布式アンケートを実施した。
(2)配布式アンケートの分析結果について(事務局より報告・略)
①調査で明らかになった問題への対応方法
[委員F]
・所蔵品展・レストランの満足度が不十分とあるが、問題が表れたときにすぐ対応するのか、(PDCAサイクルによる)制度が確立するまでは改善されないのか。時間がかかりすぎるのでは困る。
[委員C]
・今はまず美術館の活動全般について調査し、問題点を明らかにしている段階。あがってきた問題点をみて、何を優先的に改善すべきかを判断する。その次の段階として、的を絞った調査により不満の理由を調べる。
・例えば、展示動線の評価方法としては、トラッキング調査がある。
②アンケートの実施方法について
[委員E]
・報告書では、批判的意見が「少なくない」となっているが、多いともいえないのでは?
[委員C]
・批判が減っている理由には二つ考えられる。不満をもたれるような要素が実際に減ってきていること。もう一つは、アンケート実施方法の改善によって、対象の偏りがなくなったこと。だいぶ来館者の実態に近づいている。
③リピート率について
[委員C]
・開館したばかりなので、初めて来る人が8割と多い。観光地に近い美術館の数字に近い。この率を今後どうすべきかは館の方針による。
[委員E]
・開館から半年を経て、批判的な意見を持っている人が来館しなくなってきている のでは。不満要素が改善されればその人たちも戻ってくるかもしれない。
④レストランについて
[委員C]
・美術館に来る人はレストランに対する期待も高いので、ちょっとしたことが不満足につながってしまう。キャパシティはなかなか変更できないので、サービスで補うことが大事。また、美術館側もレストランに理念をはっきりと伝えるべき。
[委員E]
・外国ではしっかりしたレストランと別に、軽食を提供する店を併設している。長い時間滞在している図書室の利用者などが気軽に食事をとれるようにしてほしい。
[委員C]
・静岡県立美術館では、学生にも利用しやすい軽食コーナーを増設する計画がある。
⑤滞留時間について
[委員A]
・鑑賞だけでもかなり時間がかかる。6年生の鑑賞教室でも、時間の不足があった。
[委員C]
・アンケートで滞留時間の調査を加えたほうがよいのでは?会場ごとの滞留時間の違いも調べたい。
⑥児童の鑑賞方法について
[委員D]
・鑑賞にはそれぞれのやり方があり、あまり制限しないほうがよいのでは。
[委員A]
・美術館に初めて来る子どもたちには、鑑賞のきっかけづくりが必要。学校側でも、美術館を利用した授業方法を考えていきたい。
(3)評価制度の確立・実施に向けたスケジュールについて
(事務局より案の提示)
(ⅰ)20年秋に行う次回委員会までに
・企画展ごとの来館者アンケートを継続実施する。
・アンケート実施と平行してミッション案を作成し、委員会の承認を得る。
(ⅱ)20年度末まで
・ミッションに基づいた目標を立て、指標を設定する。
・目標達成のための計画を立てる。
・現評価委員は年度末で任期切れとなる。
(ⅲ)21年度
・評価の枠組みに基づいて、データ収集、計画の実行をする。
・1次評価(試行)を行う
(ⅳ)22年度
・委員会による2次評価・提言
・目標・計画の修正
・データ収集・計画の実行
(以下は繰り返し)
①ワーキングチームによる素案作成の提案
[委員C]
・委員会の限られた場で細かい分析までするのは困難なので、委員会の下にワーキングチームを作り、素案の作成を担うこととしたい。
・開館して間もないので、来館者の層が固まっていない。ある程度長いスパンで調査したほうがよい。市のなかでオーソライズするためにもじっくり取り組んだほうがよい。
②予算との関係
[委員C]
・改善といっても、予算の必要なものは実施までに時間がかかる。予算要求のとき、明確な根拠とするためにも、データを蓄積していく必要がある。
③運営状況のレビュー・発表方法について
[委員E]
・開館初年度で反対意見も相当あったのだから、きちんとレビューすることが重要。人数だけではなく、活動内容をふくめてよかった点、悪かった点を整理し、改善策を含めて発表すべき。
[委員C]
・今のところ、美術館の評価をする一定の方法や第三者機関のようなものはない。ないからよい面もある。静岡では独自の基準をつくって、数量だけでは把握しきれない部分についても評価してもらう方向を開拓している。今度博物館法の一部が改正され、評価が義務化されるので、今後は各美術館が、それぞれの事情を反映した自己点検評価をやっていく方向に向かっていくことになる。
④周辺施設・観音崎公園との連携について
[委員E]
・観音崎公園との連携ははかられているか。アンケートでも調べてもらいたい。
[事務局]
・展覧会を目的としない来館者もかなりいるようだ。
[委員D]
・周囲の環境を守り、一体化している点をPRするべきだ。
[委員B]
・自然を守っていく姿勢が問われている。
[委員C]
・公園利用者を対象にフォーカスグループインタビューをするのがよい。
[委員長]
・これについてはワーキングチームの議題としてほしい。
[委員C]
・評価を通じて市民の声を聞き、反応していくことで、コミュニケーションが生まれる。地域住民との連携を深くすれば、安定した運営ができるはず。
⑤ミッション策定の主体
[委員B]
・ミッションの承認に、市の当局は関わらないでよいのか?例えば、遠方からの来館者がかなりいるが、市としてはこれを喜ぶのか、それとももっと市民に来てほしいのか。それによって企画展の内容も変わる。ここだけで考えていいのか、当局も交えて考えるべきなのか。
[委員C]
・評価委員会での議論を経て固まったミッションを教育委員会に覆されては困る。
[委員長]
・市民の比率についてこの委員会ではどう考えるか、自治体としてはどう考えるのかが重要では。
⑥経済的な効果について
[委員E]
・来館者が地域にどのくらいお金を落としているかは重要。費用便益の計算ができるならばやったほうがいい。市への経済的な貢献度がはっきりする。
⑦アクセスについて
[委員F]
・公共交通機関の不備についても詳しい調査をすべき。
⑧今後のスケジュールについて
[委員長]
・今日提示された今後のスケジュール、および泰井委員から提案されたワーキンググループ制について承認する。
・アンケートの分析をしていただいた佐々木先生にあらためて感謝する。