美術館について

美術館評価制度

横須賀美術館評価委員会(平成23年度第3回)

日時:平成23年11月15日(火)午後2時00分~4時10分
場所:横須賀美術館 会議室

1.出席者
    委員会  委員長            小林 照夫        関東学院大学名誉教授
        副委員長          菊池 匡文        横須賀商工会議所事務局長
        委員              柏木 智雄        横浜美術館学芸教育グループ長
        委員              久保 由樹        観音崎京急ホテル社長
        委員              黒岩 弘明        横須賀市立北下浦小学校校長
        委員              小島 江美        市民委員
        委員              原田 美穂子   市民委員

     事務局  館長・教育委員会教育総務部長    原田 惠次
         美術館運営課長                  石渡 尚
         美術館運営課主査                佐々木 暢行
         美術館運営課主査                吉田 紀彦
         美術館運営課(学芸員)          沓沢 耕介
         美術館運営課(学芸員)          塙 萌衣

2.議事
  ・平成23年度の評価について

3.会議録(要約版)
(開会)

(教育総務部長あいさつ)
教育総務部長の原田です。横須賀美術館評価委員をお引き受けいただき、御礼申し上げます。開館以来4年半がたち、多くの方々にご来館いただいた。展覧会はもとより、ワークショップ、学校教育と連携した造形作品展や美術館鑑賞会など、本市ならではの特色を模索しつつ活動している。9月10日から11月6日まで開催した「描かれた不思議 トリック・アンド・ユーモア」展では、40,759人のお客様にご観覧いただき、開館記念「生きる」展での53,520人に継ぐ観覧者数となった。市民に愛される美術館を目指し、皆様方のご評価をいただきながら職員が一体となって活動した結果と考えている。
評価委員会の目的は、美術館の運営、事業計画、実績が適正なものであるか評価し、改善案を提示すること。開館前に設置した。これまでにも、前任の委員各位から貴重なご意見、ご指導を賜り、評価システムが完成し、毎年、当委員会で評価をいただいている。委員各位には、さまざまな視点から忌憚の無いご意見をいただきたい。

(事務局自己紹介)

(設置要綱説明)

(委嘱について)
委員の任期は10月1日から平成25年9月30日までの2年間。
委員名簿および議事録は、情報公開の観点から公開とする。

(傍聴について)
傍聴の方は1名。

(辞令交付)
教育長に代わり、教育総務部長より辞令を交付。

(委員自己紹介)
[柏木委員]:横浜美術館で学芸教育部長をしている柏木智雄です。よろしくお願いします。

[菊池委員]:横須賀商工会議所の菊池です。前期から引き続きつとめます。よろしくお願いします。

[久保委員]:観音崎京急ホテルの久保です。私も前期から引き続きだが、短期間だったのではじめてのつもりで取り組みたい。よろしくお願いします。

[黒岩委員]:横須賀市立北下浦小学校校長の黒岩です。小学校教育に携わって30年、その間、横須賀市の造形教育研究会に所属し、図画工作科、美術科を通して子どもたちの豊かな心を育むことに取り組んできた。学校連携、子どもたちへの美術館教育の推進といった教育普及活動のことに最も興味があるが、一市民として、形や色を通したコミュニケーションのあり方や、身近で魅力ある美術館のあり方について一緒に考えていきたい。よろしくお願いします。

[小島委員]:市民委員に選出された小島江美です。さまざまな美術作品に興味があり、旅先ではその土地の美術館をよく訪れる。しかし美術に関しては全くの素人。地元横須賀に愛着があり、横須賀美術館が来館者にとってよい思い出となるように願っている。よろしくお願いします。

[小林委員]:前回から委員を勤めている関東学院大学の小林です。よろしくお願いします。

[原田委員]:市民委員に選出された原田美穂子です。よろしくお願いします。

(委員長選任)
[事務局]:設置要綱第3条の2の規定により、委員長及び副委員長は教育長が指名する。小林照夫委員を委員長に、菊池匡文委員を副委員長に指名。

(当年度事業計画について事務局より説明)
(質疑)
[柏木委員]:横須賀市の人口は?
[原田部長]:41万7千人程度。
[柏木委員]:それで観覧者10万人というのはすごい。

[柏木委員]:コレクションが4500点ということだが、所蔵品展には何点出品している?
[事務局]:およそ100~120点前後。谷内六郎館の50点を合わせると150点から170点程度。
[柏木委員]:横浜美術館は所蔵品1万点で、コレクション展1期でだいたい200点くらい。相当出しているといえる。

[柏木委員]:調査研究のための費用は予算化されているか?
[事務局]:若干の旅費と図書購入費が計上されている。

[柏木委員]:託児サービスは良いことだが相当手間がかかると思う。専従の職員を配当しているのか?
[石渡課長]:月に2回の定期のほかに、ワークショップなどの事業がある際に臨時で託児を受け付けている。NPO法人キッズポケットに安い金額で委託している。全額市の負担。
[柏木委員]:サービス自体を委託しているということか?
[事務局]:受付事務は美術館で行い、託児のみを委託している。

[柏木委員]:教育普及事業が充実しているが、教育普及事業を専門にした学芸員(エデュケーター)がいるのか?
[石渡課長]:学芸員は学芸業務と教育普及を日常的に行い、どちらかに偏らないようにしている。非常勤としてエデュケーターに該当する職員(教育普及推進員)がいる。

[柏木委員]:どこの美術館もそうだが、作品の購入費がないのはやはり厳しい。わずかでも何か、購入ができないか。
[石渡課長]:そうした状況なので、昨年度の評価では収集活動について低い評価となった。

[柏木委員]:「恋人の聖地」とはなにか?
[事務局]:少子化対策と地域の活性化への貢献を趣旨としてNPO法人地域活性化支援センターが全国の観光施設の中から認定。情報発信を期待して加入しているが、広報活動が積極的とはいえず、継続するかどうかは来年度以降検討したい。

[菊池委員]:資料6の2について。2月の「中間報告」では、4月から何月までを扱う?
[事務局]:年末までを想定。
[菊池委員]:最終的な評価が8月では、実際に(改善が)機能するのは9月以降になってしまう。半期過ぎているのでは、評価自体の有効性が半減するのではないか。もちろん、作業量は相当あり、そのために美術館運営に支障をきたすほどの拙速性は必要ないが。
[事務局]:評価を試行からはじめて、今回が3回目。過去2回ではたまたま8月に委員会を開いているが、事務局側の作業からいって、やはりぎりぎりのタイミングだった。ただ、今後繰り返していけば、若干の前倒しは可能ではないかと思う。評価項目の数も初年度に比べて整理されている。事務局としても、業務に反映するためには、できるだけ二次評価までの期間を短くしたい。中間報告でもできるだけまとめたものを提出したい。
[菊池委員]:たしかに、今までは評価手法自体についてもかなり骨格的な部分まで検討を重ねたので、事務局の負担は大きかったと思う。だいたい骨格が固まってきた分、負担が軽減されるならば、その分サイクルが早くなってよい。業務に支障が出るほどの拙速性を求めてはいない。
[原田部長]:できるだけ、前倒しができるように努力したい。

[黒岩委員]:展覧会事業について。横須賀美術館には、わりあいゆったりと、美術作品と向き合うことのできる良さがあると思っていたのだが。「おもしろどうぶつ展」と、「トリック&ユーモア展」では、受付に行列ができているのをはじめて見て、すごいなあと思った。
このふたつは、かなり幅広い層を対象にした、親しみのある、興味がわくような、企画展だと思う。23年度の年間観覧者数10万人を目標とするなかで、6つの企画展のターゲットや動員目標のバランスを、どう考えて組んでいるのか、教えていただきたい。
[石渡課長]:夏休みは親子向け、美術の季節である秋には美術ファン向けといったように、来館者の多い時期には集客をねらった企画をしている。冬や春先など、集客が期待しにくい時期には、美術館の使命としてやっていかなくてはならない展覧会をする。年間を通してバランスよく、トータルで10万人を達成できるように考えている。
[黒岩委員]夏休みは親子で楽しめるような、いい企画展を毎年打ってもらいたい。

[小島委員]:建物の美観についても評価の項目に加えてはどうか。たとえば、エントランスにも季節に応じた装飾があると良い。
[事務局]:現在ある評価項目の中で、建物の印象や、清掃が行き届いてるかというのがあり、それが相当するのでは?
[小島委員]:ハードの面ではなくて、装飾について。
[石渡課長]:プロジェクトボランティアの企画として、季節的なもの、たとえばクリスマスのイルミネーションや、鯉のぼりなどをつくり、海の広場に展示することがある。
[小島委員]:それはそれとして、エントランスに何もなくがらっとした印象がある。ミュージアムショップではクリスマスの演出をしているのに。
[事務局]:ミュージアムショップでの季節や企画展にちなんでの演出には店側の努力があり、楽しい雰囲気になっていると思う。エントランスについては、展示室の中ではおさまらないようなものを展示する場所としても機能しており、企画展や所蔵品展とトータルに考えたい。今日は企画展の合間にあたり、ちょうど展示物がなくなったところだった。

[黒岩委員]:出前授業について。学校と美術館が双方向の関係をもつなかで、今実際に、どのように実施されているのか?
[事務局]:実際には件数は少ない。具体例としては、養護学校などで、見学に来る前に事前授業のために学芸員が出張するケースが年に数回ある。また、学校ではないが、講演会や、市民大学での講座などの要望に応じることがある。
[黒岩委員]:例えば、ワークショップなどを美術館で実施すれば、近所の子どもたちは参加しやすい。同じようなことを遠くの学校でも、例えば図工の時間にやりたいといえば、相談に乗ってもらえるのか?
[石渡課長]:開館前にはそういう取り組みをしていた。美術館が開館したあとは、作品の鑑賞もできるので、来てもらうということが開館後の基本になっている。しかし、良い取り組みだったので、今後課題にしたい。
[黒岩委員]:非常に良かったので、またできるよう検討してもらいたい。

[原田委員]:美術館内は非常に明るくて、床が木というのも悪くないが、作品を見るときには、もう少し床の色がくすんでいると良いと、毎回思っている。建築家のコンセプトもあるのかと思うが、維持管理の範囲で改善できないか。
[事務局]:展示室が明るすぎると、色の暗い作品などが見えにくくなるということは、課題として意識しており、今現在は会場施工の段階でさまざまな工夫をしている。作品にあわせて壁を塗るとか、必要に応じて床を暗色にするといった試みは今後もしていきたい。

[小島委員]:集客について、市内だけではなく、近隣他都市の観光施設に、美術館のパンフレットなどを置いてもらったらよいのでは。例えば、八景島シーパラダイスや、三浦三崎など。また、クラブツーリズムなどの企画する日帰りバスツアーの訪問先に加えてもらうのもよい。
[事務局]:八景島シーパラダイスや野毛山動物園には、お願いして断られた経緯がある。
三崎の「うらり」には毎回置いてもらっている。クラブツーリズムについては、こちらから働きかけたが、美術館単独では困難とのこと。
[小島委員]:単独ではなく、軍港めぐりや海軍カレーなどと組み合わせては?
[事務局]:そうなると、美術館単独で動くのではなく、総務部広報課が情報を集約し、ある程度企画したプランを、経済部集客プロモーション担当から発信することになる。そちらからも積極的に働きかけているが、残念ながら実現していない状況。
[小島委員]:もし実現すれば、他市の人にとっても注目度が増すと思う。また、市民にとっても市内の施設を訪れる動機になる。三笠などは、集客が進んでいると思う。
[事務局]:ドラマ「坂の上の雲」などもあり、市の集客プロモーション担当や商工会議所などが一体となって、軍港めぐりと三笠をセットにしたツアーなどを企画しているが、残念ながら美術館がそこにうまく組み込まれていない。客層が違うのかもしれない。
[小島委員]:三笠のようすを見ると、観光バス以外にも、自治会や町内会のツアーもあるようだ。それも、ツアー会社のプランを参考にしているのではないか。
[事務局]:自治会や町内会のツアーは、横須賀美術館に来る団体の中でも多い。
[小林委員長]:せっかく良い美術館だから、PRの範囲を拡大する方法はいろいろ模索してほしい。

(評価制度について事務局より説明)
(質疑)
[小島委員]:⑤の実施目標にある、「収集方針」とはどんなものか。
[事務局]:資料7事業計画書のなかで下記のように示している。
近現代の絵画、版画、彫刻とし次の基準による。
ⅰ 横須賀・三浦半島にゆかりのある作家の作品
ⅱ 横須賀・三浦半島を題材とした作品
ⅲ 「海」を描いた作品
ⅳ 日本の近現代を概観できる作品
ⅴ その他、上記に関連ある国内外の優れた作品

[菊池委員]:新任の委員は、前年度の評価報告書を見ているか?自分を含め留任した委員は、どういうアウトプットになるのかわかっているが、新任の方はイメージがわかないのではないか。
[事務局]:ご指摘の通り、本来、新任の委員をお迎えする際に、22年度の2次評価書をご覧いただきたかったのだが、諸事情によって最終的な評価書が整理されていない。お詫びします。完成次第、委員の皆様にお知らせすることとしたい。

[菊池委員]:Ⅱの⑤「所蔵作品を充実させ、適切に管理する」の達成目標に「美術品選定評価委員会を1回開催」とあるが、これは前回削除したはずでは?
[事務局]:これはケアレスミスで残ってしまったもの。申し訳ありません。前回、山梨委員のご発言で、達成目標にあたるものがなければ、無理して設定しなくてもよい、というご意見をいただいた。今回の案としては、ここは空欄と訂正したい。

[黒岩委員]:年間観覧者数に関連して、年間パスポートは、実際何人が購入して、どのくらいリピートしているのか?市民にとって身近かどうかの指標になると思うのだが。今年度の分がわかれば示してほしい。
[事務局]:22年度の実績では、パスポート券の総枚数、発行数は、252。合計利用回数は、1,131回、平均利用回数は、4.49回。

[黒岩委員]:市民ボランティア参加者数のべ1000人が達成目標ということだが、登録している方はどれくらいいるのか?
[事務局]:サポートとプロジェクトあわせておよそ30人が登録している。しかし、実際に活動しているのは、おそらくサポートで10名弱、プロジェクトで7、8名くらいというのが実情。

[黒岩委員]:⑧に関連して。節電のために開館時刻が早まっているが、予定通り開館してくれたほうが、勤労者は見にいきやすいと思う。節電の観点からやはり難しいのか。
[原田部長]:来年度以降のことを今検討中。その時間帯の来館者が実際には非常に少ないという事情もある。ニーズが多ければ、無理しても開けるのだが。
[小林委員長]:昨年度議論した中では、学芸員の数の割に、開館時間が非常に長くて、負担となっているのでは、との指摘もあった。

[小島委員]:企画展の満足度に関連して。ある作品を目的に来たのか、美術館に来てある作品を紹介されて満足するのか、というところまで調査してはどうか。
[事務局]:現在のアンケートでは、ひとつの展覧会についてすでに6項目の質問をしている。質問を増やすと回答者の負担も増してしまうし、継続性も重要なので、すぐに採り入れるのは難しい。体裁を大きく変える際にはご意見を参考にしたい。

[小島委員]:公立美術館の既成概念にとらわれず、現在活躍中の造形作家の作品を展示してもらいたい。具体的には、陶芸家の青木良太さんとか、エッグアートのえのもとさちこさん。その他、染物作家の作品にも興味がある。絵画よりも立体的な作品のほうが来館者の目を引くと思う。
[石渡課長]:横須賀に美術館ができて、市民をはじめとする来館者に美術の全体的な状況を見ていただくという使命がまずあると思う。その他に、(評価が確立していなくても)横須賀の作家を紹介しなければいけないという認識もある。今の展示でいうと、横須賀出身の藤代郁子さんのパッチワーク。ジャンルにあまりこだわらず、美術館で扱える範囲のものは順次紹介していきたい。

[柏木委員]:アンケートはどのように実施している?横浜美術館でも実施しているが、母数を確保するのが難しい。
[事務局]:まず集め方について、館内の2箇所にボックスを常時設置している。あわせて、来館者の多い週末などに、バインダーに挟んで鉛筆を添えたものをお渡しして、回答をお願いしている。これは定期的にはできず、できるときのみという状況だが、そうした取り組みである程度の母数を確保する努力をしている。22年度は1700件ほど。ひとつの展覧会について200程度を目標としている。
書式について、A4表裏一枚に抑えている。回答者の負担にならないようなるべくコンパクトに、しかしいろいろわかるように工夫している。「満足度」といっているのは、質問分について、そう思う、を5、どちらともいえない、を3、そう思わない、を1とした5段階評価で丸をつけていただき、4と5と回答した方の率を出している。

[原田委員]:開館以前、美術館構想委員会の市民委員として参加していたときを思い返すと、発信する美術館という考え方がとても印象に残っている。作品を買う予算がないということだが、横須賀市には美術館が一つしかないので、現代美術館の役割も果たしてほしい。高いお金を出さなくても、今後価値があるのではないか、というものも採りあげて、最初の構想にあった、発信する美術館としての美術館活動を続けていただきたい。
[石渡課長]:どこまで、まだ評価されていないものを見せてよいか、という程度問題はあるが、美術館の職員は基本的にそうできたらいいな、と思っている。ただ、無名の作品だけでは人を集められないので、全体の展示のなかで、バランスをとってやっていきたい。
[小島委員]:美大生の作品に特化した美術館を目指してはどうか。若さには魅力があり、展示の場を提供することは奨励になり、また、予算もそれほどかからないと思うのだが。
[石渡課長]:とてもよい着眼点だと思う。実は、市内や近隣に女子美、東京造形大、多摩美術大をもつ相模原市では、学生を集めて展示をする活動を始めている。いっぽう横須賀は、美大からはちょっと遠い。他自治体が既に取り組んでおり、距離も離れているということだと、横須賀で同じようなことをするのは難しいかも。また、年間10万人の目標を掲げている以上は、集客の見込めないものを扱うことにも限界がある。
[小島委員]:ユーチューブなどで自分で発信して、火がついた作家に着目するとか。
[石渡課長]:映像の分野ではそういうパターンも多い。結局、団体展などでもおびただしい作品が出るけれども、芸術家として評価される人は少ない。ほとんどは淘汰されてしまうというなかで、学生だけでは難しい。ただ、若くて知られていない作家を積極的に紹介していくことは重要。
[小林委員長]:難しい問題。評価されていないものを扱っていては、10万人の達成は難しい。有名なものを持ってくれば、長蛇の列になるかもしれないが、予算の問題で難しい。美術館に対する市民の認識は高いとはいえない。その中で、どういう美術館づくりができるのか、を考えている。評価委員としては、現状認識を共有して、良い方向に向かうように厳しく評価してもらいたい。
[小島委員]:やはり観覧者数が一番重要なのだろうか。
[小林委員]:市民からの評価が安定して、ゆとりができれば、チャレンジングなこともできる。しかし一般には、有名な作品が出ているから、じゃあ見にいこうというのが現状だろう。「おもしろどうぶつ展」は、子ども向けといった企画面で、有名な作品がないのを補って、集客力を上げている。今の成功を見て、10万人ではまだ不満と考える人もいるかもしれない。ロケーションも含めた条件のなかで、横須賀美術館らしい評価の基盤をつくる時期ではないか。そのために委員も力を貸してほしい。
[小島委員]:わかった。
[久保委員]:収集方針に沿ったなかで、新しい力が集められるなら、それはそれで一つの理想だ。ただ話題性があって人を集められればいい、というなら方針と矛盾してしまうのではないか。そういう方向でぜひ新しいものも集めてほしい。

[久保委員]:学校との連携について、資料を見る限り、見てもらう、教えるということが目立ち、参加型のものが少ないという印象。児童生徒造形作品展も約2週間と非常に短い。これ以外に、市内の学生の作品が展示されるような機会はあるのか。
[石渡課長]:それ以外に機会があるか、ということについては、実現には至っていないが検討している。造形作品展が短いというご指摘について、この展覧会の観覧者というのは、作品が展示されている子どもたちの関係者に限られている。当初もっと短かったのを少し延長したのだが、観覧者の数に変化はなかった。
[久保委員]:観覧者が限定されるというのはもっとも。だから、大きな企画展で長期間やれというのではなく、小さい一角でよいから、逆に常設的にいろいろなテーマでできないか。そういうかたちで地元の方に参加していただく方法があるのではないか。見せるだけではなく、見て、刺激を受けて、描きたい、作りたいというニーズに応える。子どもや若い人の創造力を発表できる場はなかなかないと思う。
[石渡課長]:美術館をつくるときに、市民ギャラリーが改築されたばかりで、棲み分けをする前提があった。しかし、久保委員のご意見はよくわかる。もう少し幅を拡げて考えてみたい。
[久保委員]:検討してもらいたい。

[小林委員]:今日のところはだいたい意見が出尽くしたので次に移りたい。次回までに回答を整理したものが出てくると、また見えてくると思う。次回の予定は2月?
[事務局]:はい。
[小林委員長]:会議の前に、委員にゆっくり見てもらう時間をとって、資料を送付してほしい。結構、大変だとは思うが。

[小林委員長]:次第の「6その他」について、なにか議題を用意している?
[事務局]:事務局からお願いとして、資料だけでなく実感をもって評価していただくために、展覧会やワークショップなどの事業をできるだけご覧いただきたい。そのために各委員には今後ご案内を送付する。また、ボランティアの活動については、ボランティアによって運営されているブログなどをごらんいただきたい。交通費はお支払いできないが。
[小林委員長]:実際に見ていただくとより的確な評価につながると思う。できるだけ足を運んでいただきたい。また今後、評価の段階に入ると、少し会議時間が長くなることがあるかもしれない。お覚悟いただきたい。これ以上質問等もないようなので、きょうはこれで閉会とします。
[一同]:お疲れ様でした。
(閉会)