美術館について
美術館評価制度
横須賀美術館評価委員会(平成25年度第3回)
日時:平成26年3月13日(木)午後2時00分~4時00分
場所:横須賀美術館 ワークショップ室
1 出席者
委員会 委員長 小林 照夫 関東学院大学名誉教授
委員 安藤 浩史 観音崎京急ホテル社長
委員 柏木 智雄 横浜美術館学芸グループ長
委員 黒岩 弘明 横須賀市立北下浦小学校校長
委員 榊原 睦美 市民委員
委員 庄司 佳子 市民委員
事務局 美術館運営課広報係長 吉田 紀彦
美術館運営課管理運営係長 三堀 明枝
美術館運営課(管理運営係) 上野 誠
美術館運営課(学芸員) 工藤 香澄
美術館運営課(学芸員) 沓沢 耕介
欠席者
委員会 委員 菊池 匡文 横須賀商工会議所事務局長
事務局 横須賀美術館館長 渡辺 大雄
美術館運営課長 佐々木 暢行
2.議事
(1)平成26年度美術館事業計画(案)について
3.会議録
【開会】
[事務局・三堀]:本日は、お忙しいところをどうもありがとうございます。
定刻になりましたので、「平成25年度 第3回横須賀美術館運営評価委員会」を開会いたします。
開会にあたりまして、本来、横須賀美術館館長事務取扱、教育総務部長の渡辺より、ご挨拶させていただくところではございますが、市議会の審議が続いておりまして、部長の渡辺、美術館運営課長の佐々木共、急きょ本日出席できなくなりました。誠に申し訳ございません。ご容赦くださいますようよろしくお願いいたします。代わりまして本日、三堀が進行を務めさせていただきます。
さて、本日は、菊池委員より欠席の旨、連絡をいただいております。
また、本日は傍聴の方が1名いらしております。
では、本日の資料の確認をさせていただきます。
-(資料確認・略)-
[事務局・三堀]:それでは小林委員長、議事の進行をお願いいたします。
【議事(1) 平成26年度美術館事業計画(案)について】
[小林委員長]:それでは、議事(1)横須賀美術館の平成26年度美術館事業計画(案)について、事務局からご説明をお願いします。
[事務局・三堀]:それでは、平成26年度横須賀美術館事業計画書(案)について、ご説明させていただきます。
この事業計画案につきましては、新年度予算として、現在市議会で審議している事業、また予算に出てこない部分を含め、新年度開始に先立ち、委員の皆様に計画を事前に説明することにより、ご意見をいただき、事業の早期改善に役立て、かつ業務の進行管理を行っていきたいと考えております。なお事業計画書案の平成25年度の数値はすべて1月末現在の数値に統一しておりますのでご承知おきください。
それでは事業計画書の1ページをご覧ください。
はじめに、26年度も昨年に引き続きまして、事業計画に「より多くの方に愛される美術館に」という目標を掲げました。厳しさを増す財政状況、人口減少が続くなど、本市の現状は大変厳しいものでありまして、美術館についてもあり方が問われています。このような状況の中で、美術を通して、文化の向上をはかり、さらに多くの方に愛される美術館になりたいとの原点に立ち返りまして、平成26年度の事業計画を策定しました。当館の使命・目標を1ページの下段に記載しております。この目標に基づき、今後ご説明をさせていただきますが、誰でも楽しめる親しみやすい美術館を目指した事業を展開してまいります。それでは事業計画をご説明させていただきます。
[事務局・吉田]:広報担当の吉田からご説明させていただきます。
それでは2ページをご覧ください。
『Ⅰ 美術を通じた交流を促進する』の内、
【目標①「広く認知され、多くの人にとって横須賀市を訪れる契機となる。」】について、
まず事業計画の二つの柱のうち、一つが「展覧会の実施」、もう一つが「広報・集客促進事業」となっております。
まず「1 展覧会の実施」ですが、事業目的である、「広く認知され、訪れる契機となる」の要が企画展であることは間違いありません。平成26年度の社会教育施設としての役割、交流拠点としての役割の二つを認識し、バランスのとれた企画展を実施してまいります。なお、実施予定となっている企画展と観覧者見込み数については、記載のとおりです。
次に「2 広報・集客促進事業」の内、
(1)訴求活動による集客促進
こちらにつきましては、「パブリシティを期待した新聞、雑誌等への展覧会リリース」、「広報よこすか等他部局の広報媒体を活用した情報発信」、「公共交通機関への広告掲出」、「ホームページ、ツイッターを活用した情報発信、フェイスブック導入検討」を事業計画としてあげており、積極的に情報発信をし、集客を図ってまいります。
(2)イベント開催など企画展以外の要因での利用者を増やす取り組みの促進
コンサートやワークショップの開催を予定しております。
(3)外部との連携による集客促進
他部局、民間事業者、近隣地域と連携し、集客促進を図ります。特に民間事業者とは定期的に市内の集客施設と情報交換会を行い、平成27年度に新たな連携事業をスタートできればと考えております。
(4)団体集客の推進
平成24、25年度と、重点事業として取り組んできました。平成23年度には378人だった募集型企画旅行による団体観客者数が平成24年度には1,326人、今年度2月末現在で2,552人となり、取り組みにかなりの効果があったと考えております。
(5)商業撮影の受入と誘致
撮影件数こそ増えてはおりませんが、キャンセルを含む申し込み、問い合わせ件数は着実に増えており、この取り組みにも効果があったと考えております。この数値については平成25年度の報告で述べさせていただきます。
この(4)(5)は、平成24、25年度の重点事業として取り組み、一定の効果が出たと考えております。平成26年度の重点事業としては、(3) 外部との連携による集客促進にシフトしていきたいと考えております。
続きまして4ページをご覧ください。
今年度の達成目標ですが、観覧者見込み数102,000人。こちらに広報による効果10%を上積みした112,200人を達成目標といたしました。この目標数値を5%とするか10%とするかは悩みましたが、高いハードルを設定し、近づいていくために努力していきたいと考えております。
続きまして5ページをお開きください。
実施目標の、「広報、パブリシティ活動を通じて、市内外の広い層に美術館の魅力をアピールする。」ですが、
「1 パブリシティによる情報掲載数」、「2 美術館公式ツイッターのフォロワー数」、「3 募集型企画旅行による観覧者数」、「4 商業撮影の受け入れ件数」の4つの指標があり、それぞれ数値目標を設定しております。目標数値については、それぞれ記載のとおりです。
「3 募集型企画旅行による観覧者数」については、事業計画案を作ったときに、平成25年度の観覧者見込み数を2,000人と記載しておりますが、実際は1月末現在で、数値の拾い間違いで2,300人であったという事実が判明いたしました。ですので、事業計画確定前に、この年度の見込み数と達成目標については修正させていただきます。達成目標については3,000人にさせていただこうと思います。先ほど、平成26年度の重点事業として申し上げた、「(3) 外部との連携による集客促進」についての記載がございませんが、これまで継続的に行ってきた事業以外はこれから、平成26年度に検討をスタートいたします。平成26年度中にかたちになる事業としてくみ上げ、平成27年度の実施目標にあげられればと考えております。
[小林委員長]:いま説明をいただきましたけれども、皆さん、何かありましたらご質問をどうぞ。大変重要な箇所ですので、どうぞご遠慮なくお願いいたします。
[庄司委員]:撮影というのは、いつでしたかテレビで放映されていたのを見たのですが。
[事務局・吉田]:小林稔侍さんのドラマ。土曜ワイド劇場ですね。
[庄司委員]:はい、その時にこちらの美術館が映っていたのでびっくりしました。どこかで見たことあるなと。それが行われたのが1件ですか。
[事務局・吉田]:ドラマにつきましては、平成25年度はこの1本です。これは昨年の7月に撮影が行われまして、実際に放映されたのは2月下旬です。放映前に、こちらに放映日時をお知らせいただく約束だったのですが、お知らせいただけなかったために、市民の方に事前に周知ができませんでした。「わが街」の美術館がテレビで放映されると、市民の方にも喜んでいただけるので、過去2年間重点事業の一つとして積極的に商業撮影に取り組んできたのですけれども。事前周知できないと効果が半減してしまうので、かなりがっくりした案件です。ドラマは1本ですが、プロモーションビデオの撮影が2本、それ以外にファッション誌を入れると、大体平成25年度には20件くらいになっています。問い合わせはかなり増えていまして、映画ですとかCMは5件お問い合わせをいただきました。候補地にはなっていますが、最終決定には至っていないのが事実でございます。CM撮影などで使われると、「横須賀美術館がCMで使われているな」と市民の方にも喜んでいただけるのかなと考えています。
[庄司委員]:鎌倉の美術館がCMに使われているっていうのがありますね。携帯か何かの宣伝なのですけど、「どこかで見たな」と思っていたら、庭のところで撮影していました。
[事務局・吉田]:当館も候補に入っていたと思います。ある携帯のCM撮影をここでしたいというお話はいただきました。
[小林委員長]: よろしいですか。どうぞ他に何かご意見ありましたらどうぞ。
[榊原委員]:「ぶらぶら美術館」の後は反響ありましたか。
[事務局・吉田]:そうですね。やはりテレビに出た後は反応がいいので、「見てきたよ」といわれるケースはあります。ぶらぶら美術館に限らず、「めざましテレビ」で取り上げられたときは、即効性があるといいますか、見てその日に来る、昨日見た、といってお越しいただくお客様が多いようです。
[黒岩委員]:1点お伺いしてよろしいですか。年間観覧者数の、11万2,200人という数値について。観覧者数見込みは10万2,000人なのですけれども、広報活動によって10%、1万200人伸ばせるという具体的な根拠は、5ページの部分になってくるのかと思うのですけれども。それと、企画展の内容によって観覧者数を増やすという方向性はないのですか。要するに、今年も夏休みに妖怪展をやったことによって、子どもたちの観覧者数は増えていると思います。26年度も「キラキラ、ざわざわ、ハラハラ」がそれにあたると思います。企画展の効果的な内容をどこにもってくるかによって(観覧者数を)伸ばすということと、広報活動によって10%増やすという二つの方法があるんですけれど、バランスはどうなのでしょう。
[事務局・吉田]:私は広報担当なので、広報活動の観点からご説明いたします。広報活動による効果というのは、費用対効果も含めて、効果が把握しづらいというのが実情でございます。黒岩委員がおっしゃったように10%の根拠については、正直、説明はできません。ですから、過去の実例から、5%か10%のどちらにしようかとなったときに、ざっくりと10%という高いハードルを課しました。
10万2千人の観覧者数見込みについては学芸から説明をいたします。
[事務局・工藤]:企画展のそれぞれの観覧者数見込みについては、過去に開催してきた企画展の開催時期、内容、たとえば「夏に子ども向けの展覧会をやると大体これくらい入る」という数字を踏まえています。
[黒岩委員]:最終的に目標を達成するか、しないかになっているのですけれども、達成した場合、「企画展の内容によって増えた」のか、「広報の力で増えた」のか、はどのように検証するのですか。
[事務局・吉田]:それにつきましては、基本的に毎年行っているアンケート結果からある程度判断しています。認知媒体が重要になってきますが、たとえばポスターなのか何なのか。認知媒体があまり無い、つまり口コミが多くて、観覧者数が伸びた、という場合は展覧会の魅力なのかなと思います。そういった判断をすることになると思います。
[黒岩委員]:はい、わかりました。ありがとうございます。
[小林委員長]:よろしいですか。では、また後ほどご意見あれば、出していただいて、次お願いいたします。
【目標②「市民に親しまれ、市民の交流、活動の拠点となる」について】
[事務局・沓沢]:ご説明させていただきます。この項目は、主に美術館で活動しているボランティアの活動に関わる目標でございます。横須賀美術館ではサポートボランティアとプロジェクトボランティアの2つのチームによる活動を継続的に行っております。26年度は、サポートボランティアによる活動110日程度、プロジェクトボランティアによるイベントの企画・実施を、準備も含めて30日程度の活動を見込んでおります。また、「ボランティア活動のPR及び参加者の募集」を継続して行ってまいります。
達成目標につきましては、「市民ボランティア協働事業への参加者数のべ2,400人」という目標を掲げました。1ページめくっていただきますと、平成22年度以降の参加者数が載っております。この人数は、ボランティアののべ人数、参加者すべてののべ人数となっており、かなり人数は伸びております。ギャラリートークのボランティア人数は着実に増え、プロジェクトボランティアによる企画イベントもかなり多くの人を集めています。実は、平成25年度の数字は既に数値目標を上回っているのですが、実際にプロジェクトボランティアの事業を見ていますと、たくさんの方に安全に楽しんでいただくには、かなり限界に達しているのではないかと思えます。そのため、右肩上がりにずっと人数が伸びていくことは難しいので、26年度は25年度と同じ程度の2,400人といたしました。
実施目標といたしましては、
・市民が美術館に親しみを感じ、訪れる機会をつくる。
・市民ボランティアが、やりがいを持っていきいきと活動できる場を提供する。
を念頭に置いて活動を進めてまいります。
説明は、以上となります。
[小林委員長]:何かございましたらどうぞ。
[榊原委員]:よろしいですか。私はサポートボランティアをやっておりまして、思うのですけれども、自らやりがいを見出し、というところが難しいかなと思います。
自分たちで何かをつくるというプロジェクト(ボランティア)ではありません。結局、この時間内に、何曜日にやってください、ということで。まだまだ伸ばす方法というのはあると思うのですけど、今のところは日曜日の2時から30分、2人体制ですね。ですので、ボランティアさんが増えると、3か月に1回とか4カ月に1回しかできない。そういうこともありまして、その辺は少し考えていただきたいなと思うところですね。プロジェクトはちょっとわからないですけど。
[事務局・沓沢]: サポートボランティアの活動について、実際行っていただいている榊原委員からご意見をいただきました。ギャラリートークの機会が、今のところ毎週日曜日に限られているのが実際のところでございます。各週末にいろいろなイベントがあって、なかなか事業として増やしにくいというのはありますし、榊原委員としてはもうちょっと出番があるといいと思ってらっしゃるのかもしれないのですが・・
[榊原委員]:いえいえ、私はそんなに増えなくていいのですけど。結構そういう不満を聞くものですから。「つまらないからやめちゃおう。」という方もいるので。もうちょっとやりがいがある何かを、自分たちでも見つけられるといいな、と思うのですけど。
[事務局・沓沢]: 活動内容と、担っていただいているボランティアの方の人数のバランスは非常に難しいですね。私どもも気をつけながら行っていくところなのですけれども。多面的な活動を担っていただくという意味で、今後も模索していきたいと思います。今は、小学校の鑑賞会、福祉ワークショップの「みんなのアトリエ」の場面でお手伝いいただいているところが活躍の場だと思います。多様に参加できる場を、今後も考えていきたいと思います。この事業計画書には載せていないのですが、サポートボランティアの活動の現状にあわせて、活動できる曜日に多様性をもたせる、という議論を学芸で行っているので、継続的に検討させていただきたいと思っています。
[小林委員長]: よろしいですか。これも重要な課題ですね。
[榊原委員]:ですので、サポートボランティアであったり、プロジェクトボランティアであったり、もっともっと市民の方が参加できるように広げていく方法が大事かなと思います。そのためにはちょっと、縮小ぎみになっているかなと。
[事務局・沓沢]:そうですかね。
[榊原委員]:小学校の鑑賞会では毎回毎回(ボランティアが)楽しんでやってらっしゃる方もおられるようですけど。
[事務局・沓沢]:現在、サポートボランティアの方に関しては木曜日に研修をし、日曜日にギャラリートークを実施していただいているのですけれども、なかなか平日と日曜日の両方、活動に参加できる方は限られてしまうのですね。例えば平日だけなら活動できる、あるいは日曜日だけなら活動できるという方は、潜在的にはおられるようですので、そういう方に参加しやすくしていくために活動日を考え直そうか、と現在検討しているところです。
[小林委員長]:よろしいですか。ご遠慮なくどうぞ。
[柏木委員]:いま榊原委員からお話があったことを踏まえて申しあげますと、ボランティア活動って、こちらにも書いてありますが、労働の提供では無くてあくまでも市民サービスなんですね。ですから、その社会参画をするための場を提供してサービスをする、という事ですので、質を担保しつつその機会をたくさん設けるというのは、非常に矛盾する部分もあって、それを担保してプログラムを考えるというのは結構大変なことだと思うのです。ただ、この横須賀美術館の取り組みというのは、地方の美術館の中では、しっかりとした枠組みを作ってボランティア活動をやっているなというのが、私の実感です。私の勤めています(横浜)美術館より遥かに進んでいる、と思われます。ですから沓沢さんの説明にありましたが、数値目標でいたずらに人数を増やしていくということが、果たしてボランティア活動全体の質の向上につながるのか、ということもありますので、そこを考慮しつつ、そういった取り組みを支えていくのは、結構裏で仕事されている方は相当な作業量があるはずだと思います。マンパワーも考えつつ、どこに落とし所を見いだせるのかということを、実際にボランティアに参加されている方々とよく話し合われたらいいのかな、と思います。
[小林委員長]:よろしいですか。
[黒岩委員]:今お話しに出た、プロジェクトボランティアはイベントの部分なので、人数的にはもう限界が来ているということで。サポートボランティアはお話しがあった中で、日曜日のギャラリートークは回数が限られている。小学校の美術鑑賞会は46校あるので平日46回。それ以外で、例えば学校への出前授業に一緒にサポートしてもらう形で、サポートボランティアの方に入ってもらうことは、今後もしできるならば、学校としてはありがたいし、学芸員さんもそういう意味では人手が必要なところでは助かるのではないかなと思うのですけど。内容を広げる方向というのはどうでしょう。
[事務局・沓沢]:ボランティアさんに、広げられる活動については私どもも期待しているところですので、今後も検討していきたいと思います。
[黒岩委員]:ありがとうございます。
[榊原委員]:すみません。本当にいつも思うのですけれども、私たちが研修するときに、学芸員さんがやはり大変なご努力をいただいていると思うのですね。それがまた負担になるというのも、ちょっと困るかなと思ったりするんですね。私たちがいきいきする分、学芸員さんがもっともっと大変な仕事が増えるというのであれば、それもちょっと困る。
[事務局・沓沢]:ありがとうございます。ボランティアさんの枠組みの見直しの議論が、まだ検討段階であります。その中で、問題意識としては、私たち学芸の仕事量をどんどん増やすわけにもいかない。その限られた中で、いろいろなボランティアさんのニーズとか、必要な研修内容というのをもっときめ細かくみて、それぞれに応じたことをやっていきたい、うまい方法はないか、ということで検討しているところでございます。
[小林委員長]:よろしいですか。ここも大変重要なところですので。26年度全体のテーマというのは、「より多くの方に愛される美術館に」という大変いいテーマで、それに基づいて行われる。その一つを裏付けるのが、②の「市民に親しまれ、市民の交流、活動の拠点となる」です。③以降はそれに対する、具体的な問題が出ているわけですね。その一つには、いわゆるサポートボランティアですとか、ボランティアの拡充という形で出てくるのですけれども。その背後に、こういうものを拡充して、市民が非常によろこんで参画してくださるには、柏木委員もおっしゃっていたんですけれども、もう少し美術館側のエトスっていうんでしょうかね、そういうものを作り出す、そういうものが全体的に少し欠けているかな、という気がするんですよ。先ほどから委員の方からも意見が出てきているように、では、どういうふうなことになれば、美術館のサポート(ボランティア)の方たちがどう喜んでくれるのか、そのためにトーク問題とかありますけど。それが今までとは違った形で、どういうふうにサポート(ボランティア)に投げかけるのかという問題ですね。その問題が片付いてくると、最大のテーマである「より多くの方に愛される美術館に」という課題が、充足されてくるのかなと思います。その辺のところが少しどうなのかな、と思いましたので、大変難しい話ですが、意見として出してみたいと思って提起させていただきました。
[事務局・沓沢]:発言させていただきますと、少し手前みそになるのですけれど、横須賀美術館のボランティア活動は、結構多岐にわたるボランティアの方の自己実現の機会を、提供しているのではないかな、と自負しているんですね。プロジェクトボランティアとサポートボランティアの活動と大きく二つに分かれていますけれども、それぞれやりたい事とか資質というのは、かなり違っていると思うんですね。もちろん両方なさっている方もいるんですけど。そういった中で、こちらで枠組みを準備して、「これやってください」っていうよりも、むしろどんなことをやりたいのか、それについて機会を、場を提供する、どうやったらできるかということで考えているところなので、枠を先に考えようと実際思っていません。それを、エトスが足りないといわれればそうなのですが。むしろボランティアさんの意思に沿って、活動の発展なり、拡充なりしていきたいと思います。
[小林委員長]:そうすると、ボランティアさんに沿って、となると、「市民に親しまれ、市民の交流、活動の拠点となる」における「市民」の範囲が、「ボランティア」に限定されてしまう。ここで書かれている市民、というのは違うわけでしょ。
[事務局・沓沢]:市民ボランティアが自ら、美術館活動の一端を担うことによって、より多くの市民の方に親しんでもらいたい、という意味でございます。
[小林委員長]:かなり難しい問題ですね。よろしいですか。まだ③以降にもいろいろ具体的なプログラムが出てきますので、それを明確になってくるかと思いますので、先に進めさせていただきます。
『Ⅱ 美術に対する理解と親しみを深める』の内、
【③「調査研究の成果を活かし、利用者の知的欲求を満たす」】について
[事務局・工藤]:ご説明させていただきます。こちらは展覧会事業、教育普及事業、美術図書室運営事業に関わる計画です。
事業計画に沿ってご説明いたします。
1 展覧会事業の内、
(1)企画展につきましては、特定のテーマによる展覧会を年6回開催いたします。夏に子ども向け、秋に多くの人が親しみやすいテーマ展を準備しています。また、すぐれた日本近代美術、現代美術、デザインの展覧会の他、毎年開催している「児童造形作品展」を予定しています。年度初めより順に
ⅰ 「東京国立近代美術館工芸館巡回展 アール・ヌーヴォーとアール・デコ」
ⅱ 「こどもと美術を楽しみたい! キラキラ、ざわざわ、ハラハラ展」
ⅲ 「おいしいアート 食と美術の出会い展」
ⅳ 「小林孝亘展―私たちを夢見る夢」
ⅴ 「児童生徒造形作品展」
ⅵ 「生誕110年 海老原喜之助展―エスプリと情熱」
を計画しております。内容については、お手元の資料をご覧ください。
(2) 所蔵品展・谷内六郎《週刊新潮表紙絵》展につきましても、例年通り年に4回展示替えをして、展示いたします。
2 教育普及事業
資料に沿ってご説明をいたします。
(1)展覧会関連の外部講師による講演会の開催 7回
(2)ワークショップの開催 6回
(3)映画上映会の開催 2回
(4)学芸員による企画展ギャラリートーク 10回
(5)学芸員による展覧会観覧の案内・解説 随時
3 美術図書室運営事業
続いてご説明いたします。当館には、美術図書等約2万6千冊を揃えた図書室を運営し、利用者サービスをはじめ、美術への興味や理解が深まる場を継続して提供しております。主に、所蔵図書の充実、検索機を使っての美術に関する情報提供を行っていきます。
次のページをめくっていただいて11ページに、数値の達成目標として、企画展の満足度80%以上を掲げました。平成22年度以降の企画展満足度の表が記載してありますが、ここ数年80%前後で安定しております。今年度、平成25年度についても1月末の時点で77.1%となっておりますので、平成26年度はこの数値を上回る80%を目標にさせていただきました。
また数値によらない実施目標といたしましては、資料のとおりとなりますが、
・幅広い興味に対応するようバランスをとりながら、年間6回(児童生徒造形作品展を含む)の企画展を開催する。
・所蔵品展・谷内六郎展をそれぞれ年間4回開催する。
・知的好奇心を満たし、美術への理解を深める教育普及事業を企画・実施する。
・所蔵図書資料を充実させる。
・多くの人が気軽に利用できるよう、図書室の環境を整える。
・主として所蔵作品・資料に関する調査研究を行い、その成果を美術館活動に還元する。
を、設定いたしました。
[小林委員長]:ありがとうございました。なにかご質問がございましたら。
皆さんの意見が出てきませんので、一つ伺いたいのですが、児童生徒造形作品展というのは横須賀美術館では重要な課題の一つですけれども、3000点なりを展示したいということですね。
黒岩委員の場合は、校長先生でもいらして評価委員ですから、PRが学校に行き渡るかと思いますが。生徒さんの作品を出してくださる他の学校というのは、「横須賀美術館でこういう展覧会をやっているから、君たちも見てらっしゃい。」という、そういうPRというのは積極的に行われているのですか。
[黒岩委員]:毎年、造形作品展の前に、美術館から児童数分のチラシが届きまして、そのチラシに所蔵品展を見るための「保護者1名無料券」というのが付いています。
それを配付しますので、自分のお子さんの作品が出ている保護者の方はもちろん行かれますし、せっかくの機会だから行ってみようかということで、期間中、土日に行きますとかなり大勢の方で賑わっているという状況で、市民の中ではかなり認知されている展覧会になっています。大変ありがたく思っています。
[庄司委員]:以前は文化会館で実施されていまして、あそこは天井がそんなに高くなく暗かったのですけれども。こちらで初めて見させていただいて、子どもさんの作品がすごく活きていると思いました。
子どもさんの明るい絵を見て、綺麗だなと何回も見てしまいました。
友だちを連れてきたのですけれど、皆さん「すばらしいわね。」と言って見ていましたね。
また、横須賀総合高校の生徒さんの絵が本当にすばらしくて、高校生でもこんな絵が描けるんだということを感じて、非常に良い気持ちで帰りました。
[小林委員長]:せっかく生徒さんが作品を出しているので、学校の方でもより積極的に「君らの仲間が出しているのだから見てらっしゃい。」というPRが行き届くと、目標達成もすぐにできてしまうと思うのですけれどね。
黒岩委員、機会がありましたら、校長先生あたりにPRがいくようなお話をしていただければね。
[黒岩委員]:学校長会議がありますので、その機会にお話しをさせていただきます。
[榊原委員]:造形展のほうは、年々すばらしくなっていきますね。技術が上がったというか、色彩感覚が豊かになったというか、多岐にわたって非常に豊かになっていると思います。
[事務局・沓沢]:向上しているとすれば、日頃の学校の先生方のご指導の賜物だと思いますし、先生方がこちらの会場での展示に慣れてきたのも、見栄えの要因になっていると思います。
また、庄司委員が実践してくださったように、特に親御さんとか関係者だけでなくても、たいへん面白い、元気の出る展覧会になっていると思いますので、一般の方々への周知も心がけていきたいと思います。ありがとうございます。
[黒岩委員]:造形作品展は、子どもたちや親が見ることも重要ですけれども、指導する教師にとっては研修の場で、こういう作品作りをしなければいけないのかという、それを持ち帰って学校で実践をしますから、そういう意味では効果的に動いていると思います。
造形作品展とならんでもう一本、大きな柱が、12ページにある美術鑑賞会。
6年生になると必ず横須賀美術館に連れて行っていただいて、鑑賞させていただいております。ここには、学芸員さんが付いたり、サポートボランティアの方に付いていただいております。
この鑑賞会と連動して、鑑賞をより豊かにするために、美術館の所蔵作品を使ったアートカードを作っていたのですが、それがどうやら今年度中にできる見通しがつきました。来年度には小中学校に配付をして、アートカードをつかった授業、いろいろプログラムを考えているのですが、それにより美術館に行く事前授業にもなると思っています。
そこで、4番の出前授業というところ、こちら随時と書いてあるのですが、今年度アートカードができたら、できれば6年生が美術館に行く前に、1時間アートカードを使って授業をやっていくと、より効果が上がるのではないかと思っています。
ですから、随時と書いてあるのですけれども、お願いしたら、どのくらい可能性がありますか。
幾つもの学校から、鑑賞会に行く前にアートカードで出前授業を、となったとき、学芸員だけで対応ができなければ、サポートボランティアとペアになって来ていただくとか、なんとか対応していただけると、学校としては非常にありがたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
[事務局・沓沢]:④のところへ進んでしまいましたけれども。
いま黒岩先生からご紹介いただきましたように、この評価委員会のなかでのご提案から生まれた話ではないかと思いますが、横須賀美術館の所蔵品をもとにしたアートカードの開発を、今年度文化庁の補助金を採択していただいて、もうすぐお披露目というところまで漕ぎつけております。
この活用の仕方につきましては、学芸内でも検討しているところですが、特に6年生については小学校鑑賞会との絡みがありますので、その事前授業として、作品鑑賞の仕方などを事前に、効率よく楽しく実践するためには、たいへん良いツールではないかと思っています。
出前授業の実施についてですが、アートカードというのは、基本的には学校の先生方が事前授業をするためのツールとして開発した物なので、私どもが出て行ってというのもあまり多くはないのかなと思っています。
実際に、事前授業を簡易にするためのツールを作ったことで、受け入れ側の美術館の仕事量が増えてしまうということも問題がありますので、こちらにつきましては慎重に考えたいと思っております。
もちろん必要に応じて、出前授業の機会は設けられるとは思いますけれども、調整をさせていただきたいと考えています。
それで、いま④の内容にまで入ってしまったのですが、どうしましょう。
あらためてご説明させていただく機会をいただきたいと思います。
[小林委員長]:ありがとうございます。他になにかございますか。
[柏木委員]:教えていただきたいのですが。もしかするときちんと公表されているのかも知れませんけれども。
横須賀美術館は企画展の大枠の方針というのはあるのでしょうか。
単年度ごとではなく、横須賀美術館として、企画展はこういう柱に基づいて企画を立てている、というのがありましたら教えてほしいと思います。
それから、いま話題になった児童生徒造形作品展は、1月の冬の時期にやるのは何か理由があるのでしょうか。
横浜ですと、美術館ではなく、同じ市の市民ギャラリーで子どもの美術展をやっていまして、やはり3000点以上の作品が展示されるのですけれども、約2週間ほどの事業ですが夏休みにやっていました。
他の事業との兼ね合いでこの時期になっているのかも知れませんが、この時期にやる何か積極的な意味合いがあるのかどうか。
それから教育普及事業の中の(5)学芸員による案内解説ですが、随時というのがどれくらいの頻度で行われているのか、教えていただけたらと思います。
横浜美術館でも、来館者サービスとして、学芸員が事前に展覧会の内容を20分くらいで説明をするというのが、かなりの頻度で行われていまして、かなり職員の負担になっているのですけれども。こちらではどの程度行われているのか、その3点について教えていただきたいと思います。
[事務局・工藤]:柱と言っても、委員会で決まったとか、そういうことではないのですけれども。
学芸で企画展の案を作るときに考えておりますのは、横須賀美術館を何年間か運営してきまして、うちの美術館は人が入る季節というものに大きく左右されるということがわかってきましたので、夏に子どもから大人まで親しめる展覧会を一つ考えて、同じように9月から11月にかけましても、行楽シーズンとなっていますので、夏と秋に比較的、多くの人が足を運びやすいようなテーマの展覧会をやろうと。
非常に大きいざっくりとした枠ですけれども、そういうことは考えております。
また、幅広い関心に応えるということがありますので、必ずしも子ども向けだけとか、絶対集客できるものというわけではなく、例えば横須賀市を含む近隣エリアに所縁のある作家のことを展覧会として開催するとか、そういったことには拘らず質の高い展覧会を提案していこうという、非常に大きい括りではありますけれども、展覧会の考え方の柱として、そういう枠組みで考えております。
1月に児童生徒造形作品展を開催している理由ですけれども。
[黒岩委員]:なるべく多くの制作期間を取りたいというのが理由です。
多様な作品を子どもたちが作った中から、成果として持って行きますので、新年度になって4月から図画工作の授業が始まりますが、夏休み前ですと制作に使える時間が4回しかありません。12月までに制作した中から持ってきてもらうということで、例年1月に行っております。
[事務局・沓沢]:引き取りますが、そういった先生方のご指導の一年間の暦と非常に関係があります。それと、私どもの方では、実は1月2月というのは、あまりお客様に来ていただけない時期です。年間の流れで見ると、やはり夏、秋という季節に大勢の方が来てくださるので。
この児童生徒造形作品展というのは、言ってみれば非常に「かたい」展覧会でございます。大勢の方が短い期間に来てくださる、そういう集客という意味において非常に助かっているというのが実情であります。
[柏木委員]:そういう積極的な意味合いがあるということですね。
[事務局・沓沢]:必然的に、先生方のご指導のスケジュールのなかで決まっているということと、結果的に集客としても助かっているということです。
3つ目の学芸団体対応についてですが、必要に応じて、特に団体に対して事前レクチャーといいますか、展覧会に関する案内解説を随時としているのですけれども。
開館年度から比べるとかなり頻度は減ってきましたが、25年度で100件弱程度です。
[柏木委員]:減ってきているのですか。
[事務局・沓沢]:減ってきています。といいますのも、オープン直後は、ほぼ全ての団体さんが希望されておりましたので。団体客自体が多かったので。
その後、広報的な努力でバスツアーの誘致を進めてまいりまして、そういった観光ツアーの団体客というのは底上げされているとは思いますが。
[柏木委員]:募集型の企画旅行による観覧者数については、増えているということですか。
[事務局・吉田]:補足させていただきますと、募集型の企画旅行に参加されるお客様というのは、やはり美術への関心の度合いが低い方が多いので、そういった方への案内は、広報係のほうでウェルカムトークという形でさせていただいております。
まずお越しいただいた際に、約10分程度、横須賀美術館についてのお話しからスタートさせていただくのですけれども、それだけではなく観音崎周辺の話題、例えば「ゴジラが上陸したポイントなんだよ。」というような、ちょっと楽しめるようなお話しを、広報担当で対応させていただくところもございます。
そういう広報担当がしている案内だけでも、年間100件くらいはあろうかと思います。
[柏木委員]企画展の方針は、一度学芸のなかで議論されるべきかなと思います。
幾つかの大きな方向性というような柱を立てて、その一番目の柱にこの展覧会は該当する、というような。
それはもちろん、いろいろな意味合いがあると思います。集客のことや、ご説明いただいたような、季節によっての入館者の数、季節ごとのニーズ、それは踏まえつつ、企画展、横須賀美術館はどういう特徴を打ち出して、その特徴をはっきりさせるために、どういう柱を作るんだ、という意味の議論をやはりなさるべきかなと思います。既にされているのかも知れませんが。
ただ拝見する限りは、非常にバランスの取れたラインナップに毎年なっているなと思います。
[小林委員長]:よろしいですか。では4番の説明をお願いします。
【目標④「学校と連携し、子どもたちへの美術館教育を推進する」について】
[事務局・沓沢]:ご説明させていただきます。
ここは、学校との連携と、子どもたち、若い人たちへの美術館教育という二つの内容を合せたところです。
まず事業計画のうち、学校との連携といたしまして、
1.アーティストと出会う会の開催。
中学生高校生を対象とした講演会形式の催しを、年2回行っています。
2.中学生のための美術鑑賞教室の開催。
夏休みを中心に、中学生向けの鑑賞の補助を学芸員がしております。
3.小学校美術館鑑賞会の受け入れ。
市立小学校の6年生を対象とした美術館鑑賞会の受け入れ、これが6月から3月にかけて、46回にわたって開催しております。
4.出前授業の実施。
5.職業体験の受け入れ。
中学生を中心に最近増えております。
6.学芸員実習の受け入れ。
大学生で、将来学芸員職に就こうとするものを対象とする学芸員実習を受けいれています。
7.教員のための研修。
次に子どもたちへの美術館教育につきまして。
1.子ども向けのワークショップの開催。
年間4回予定しています。この中には、企画展と関連するもの、しないものも含まれています。また、学齢未満の子どもたちに対するワークショップなども行っています。
2.映画上映会の開催。
ここ数年、恒例となっておりますけれども、夏の終わりに、この海の広場に大きな屋外スクリーンを立てて、子どもから大人まで楽しめる内容のプログラムで、映画会を開催しております。
3.親子ギャラリーツアーの開催。
基本的には企画展ごとに、学芸員による一般向けのギャラリートークとは別に、親子で楽しめるような仕掛けをしたツアーを開催するようにしております。
4.保育園との連携
最近の取り組みです。市立保育園が10園ございますが、そちらと連携した教育プログラムを実施しています。
達成目標について
中学生以下の年間観覧者数22,000人としております。
下に中学生以下の観覧者数の推移が、22年度以降のものがございます。25年度はすでに21,214人、1月末現在で2万人を超える子どもたちに観覧してもらっています。
特に保育園連携事業の効果、また企画展の内容とも関連して、幼児や小学生の観覧者数が伸びています。
目標設定としては、あまり上方修正はせずに、25年度見込みとほぼ同じ22,000人としております。
実施目標について
子どもたちに親しんでもらうためにどういう活動をするか、ということですが、
・児童生徒造形作品展の実施。
・学校との緊密な連携。
・子どもたちとのコミュニケーションを通じて、楽しみながら学ぶ機会を提供すること。
・鑑賞と表現の両方を結びつけたプログラムを実施すること。
・小学校鑑賞会の充実
というようなことをあげております。
私からの説明は以上です。
[榊原委員]:小学6年生対象の美術館鑑賞会のサポートを、何度かさせていただいておりますが、先生の引率の仕方によって、鑑賞の仕方が全く違うのですね。そういったところは、いかがなんでしょうか。事前に見てくださっている先生とか、いきなり初めての先生とかいろいろいらっしゃいますが。
[事務局・沓沢]:年間46回にわたって、小学6年生に来ていただいている小学校鑑賞会でございますが、受け入れ側としては、事前に担当の先生と打ち合わせをさせていだくことを基本としています。
先生方には大変ご足労をかけておりますけれども、こちらへ来ていただいて、鑑賞会当日と同じ展覧会をやっていましたら、実際にそれを見ながらイメージを持っていただく。細かい決まり事や、段取りなどの打ち合わせをさせていただく、ということを行っております。
この事業は開館年度から実施しておりまして、もう6、7年もやっておりますけれども、当初はなかなか先生方の中でも、意欲とか鑑賞の目的意識についてのばらつきというのがあったと記憶しておりますが、この6、7年の取り組みによって、学芸員の気持ちとの齟齬で驚くようなことは、かなり無くなっていると感じます。
文科省の指導要領でも、「美術館での鑑賞体験を、図工教育、美術教育に取り入れる」ということになっておりますので、先生方の意識もだいぶ変わってきたのかな、と受け取っております。
[黒岩委員]:いま榊原委員からご指摘がありましたけれども、小学校の教員というのは全教科を教えていますので、専門にやっている中学校の美術教育とは違いますので、担任の先生が連れてきたときに、学芸員さんにお任せしちゃえばいいのではないか、という意識の方も中には確かにいらっしゃる部分もあるのではないかと。
それで、7番の教員のための研修というのも、昨年度夏休みに2回実施していただいている中で、先生方にも、鑑賞教育についての意識を高めるようなプログラムを組んでいただいているところです。
先ほど言った4の出前授業の部分は、図画工作科について専門にやっていない先生の場合は、やはり来ていただいて先生方と一緒に授業をサポートしていただけると、質が上がるという部分がありますので。
出前授業の部分を逆に言うと、美術鑑賞会とある意味セットにして、サポートしていただけるような体制作りをしていただけると、学校任せにしてしまうとなかなか厳しいところがありますので、より美術館に来たときに、鑑賞力が豊かになるというところがあると思いますので、来年度へ向けて少し検討していただけるとありがたいと思います。
[小林委員長]:横須賀美術館の場合は、一方で危機感みたいなものがありますので、学芸員の方々をはじめ皆さん働き過ぎではないかという気もしますが。
柏木委員、どうでしょうか。
[柏木委員]:そうですね。横浜美術館とは、立地条件も違っているし事業の傾向も若干違っているところがあって、一概には比べられないと思うんですけれども、マンパワー的には、私が拝見する限りは、かなりいっぱいいっぱいのところでやってらっしゃるのではないかと。
先ほどのボランティアの取り組みもそうですし、企画展の事業本数にしてもそうですし、併せてコレクション展、谷内六郎館も運営しなければいけない。
かなり、密度の濃い仕事をしないとこなしていけないのではないかと。
[黒岩委員]:12ページの7番まで、事業計画があるのですが、ここにない部分で、8番というのが来年度あるかなと。
今回アートカードができて、美術館のホームページに、「アートカードの部屋」みたいなコーナーを、作っていただく方向で検討していただいている。
アートカードというのはトランプみたいなカードなのですよ。それに、所蔵作品がプリントしてある。誰の何ていう作品かというのは一切わからないようになっている。
子どもが学校でアートカードを使ったあと、家に帰って美術館のホームページを調べてみると、「アートカードの部屋」というのがあって、「ああ、僕の見たあの作品はなん○○という作家が作った作品で、○○というタイトルか。」とか、「他にこんな作品があったのか。」とか。
あるいは、中にこう横須賀美術館の一部屋があって、自分の気に入った作品を展示して、自分の作品展みたいなものが作れるようなコーナーが作ってもらえるといいなと、考えているところです。そうすると、家でホームページを使った鑑賞活動サポートなどというのが今後入ってくると、そこにどれだけの子どもたちが年間アクセスして、自分なりに鑑賞を深めて、また、では実物を見に行こうとなる子どももいるのではないかと。
家に居ながら鑑賞活動をサポートしてもらえる、そんなところをこの中に、来年度はいいですけれども、今後増やしていただけるといいのかなと思います。
[事務局・沓沢]:ありがとうございます。いまご紹介いただいた内容は、アートカード制作の実行委員会の事業として準備しており、順調にいけば来年4月頃から公開する予定になっています。
実行委員会からは、委託した国立情報学研究所のサーバーに開設すると聞いています。そこで、横須賀美術館の所蔵作品を使ったカードで遊ぶためのプログラムを構築しています。
[小林委員長]:よろしいですか。では次の項目についてご説明をお願いいたします。
【目標⑤「所蔵作品を充実させ、適切に管理する」について】
[事務局・沓沢]:ご説明させていただきます。
こちらは、美術館の根幹的な事業である、美術作品の収集と管理についての項目でございます。
事業計画について
1.美術品の収集
こちら何度も申し上げておりますが、購入予算がありませんので、寄贈や寄託による収集のみが内容になっております。こちらにあるような収集方針に従った作品について、美術品評価委員会、外部委員会での審査を経て、受け入れることになっております。
2.美術品の管理
必要なものについて、修復や額装を行っております。貸し出しについても、できる限り応じています。
3.環境調査の実施
またその周辺の保存環境につきまして、調査を行っています。
4.美術品評価委員会の開催
収集に関わる受け入れが、適正であるかどうかについて審議していただく委員会を、年間一回開催する予定です。
達成目標について
前回、こちらの委員会でご指摘いただいたことを踏まえ、従来は達成目標なしとしておりましたが、環境調査を行うこと、それから美術品評価委員会を開催すること、その実施回数をもって、達成目標といたします。
実施目標について
いま申し上げましたような、収集活動、保管環境の維持とその調査、修復にかかわること、作品の貸し出しに関わることを行ってまいります。
説明は以上です。
[小林委員長]:いまの項目、所蔵作品の充実につきまして、ご意見ありましたらどうぞ。
[柏木委員]:毎回言っておいた方が良いと思いますので、申しますけれども。
美術館にとって、コレクションが有るというのは一番大きい重要なポイントであって、コレクションが無い施設は美術館ではなくて、ギャラリーまたはアートセンターという位置付けなので、コレクションを持っているというのが美術館にとって何よりも大事なことで、貸せる作品があるので、企画展において作品を借りてこられる、というところがあるわけですね。そのコレクションを充実させていくということが、一番の大きい使命の一つだと。
いま、現状としては寄贈、寄託によってそれを担っているということですけれども、やはり、飛躍的にコレクションを充実させる、思惑を持って充実させていくには、僅かでも購入ができるという環境を整えていく必要があって、美術館を抱えているどこの自治体も財政的な面では非常に厳しい状況に立たされているのですけれども、やはり所管する市と協議し、改善に向けて、美術館と行政が一体となって努力していかないと解決していかない問題であると思います。
一千万、二千万という大きなお金を、一般会計から基金に投入するということは無理だと思います。数百万あるいは、10万、20万、30万、50万円でもいいので、何年かの計画の中で購入ができると。
美術品によっては、版画や写真の作品などはそれほど高価ではない、しかし美術的価値の高いものはあるので、それに向けて、市の行政の方と共有する課題として議論していくべきだと思います。
毎回のようにしつこく申し上げるのですけれども、議事録に残していただきたいと思います。
[小林委員長]:たいへん大事なことです。いろいろ予算的な締め付けがあって、非常に苦慮しておられる点ですけれども。やはりこういうことが、評価委員会の意見として出ているということは、しっかり記録に留めておいた方がよろしいと思います。
[柏木委員]:基金ですね。美術館に入れられる、最後に予算のところに出ている数字。市から入れられる補助金といいますか、それとは別に、市が持っている基金に市費が一般会計から投入されない状況だということですね。
それは多分、横須賀市にあらゆる基金がある、美術に限らず様々な基金があると思うのですが、それらがすべからく凍結されているのであろうと思うんですけれども。
そういう状況の中で、凄く厳しいことだと思いますが、やはり声を上げていかないと。
大きな金額でなくて良いと思います。美術館にとって所蔵品を購入していくことが大事なんだ、という意識を市と共有できないと、話は進んでいかないと思います。
努力されることを望みます。
[小林委員長]:ありがとうございます。ほかに何かございますでしょうか。
ではまた何か思いつかれましたら、後ほどということで。
⑥の問題について説明をお願いいたします。
『Ⅲ 訪れるすべての人にやすらぎの場を提供する』の内、
【⑥利用者にとって心地よい空間、サービスを提供する。】について
[事務局・上野]:ご説明させていただきます。
まずは達成目標です。17ページに数値目標として掲げさせていただいておりますが、基本的には美術館アンケートの中の、スタッフ対応満足度とか、そういったところの数字を例年把握させていただいております。18ページの上の方に、ここ数年の数字を記載させていただいておりますが、比較的高い水準であり、ある程度ご満足いただけているのかなとは思います。
目標値は昨年同様、これまでの最高を超える数字ということで、館内アメニティについては91%以上、スタッフ対応満足度については80%以上、という目標を掲げさせていただいております。
そのまま18ページの実施目標に移りますが、「心地よい空間、サービスを提供する」ために、「建築のイメージを損なわないよう、じゅうぶんなメンテナンス、館内清掃を行う」。
美術館としては、展覧会を目当てに来ていただくのが一番なのですが、こちら横須賀美術館の場合は建物も売りになっており、周囲の環境、いま桜も咲いておりますがそういったものも含めて植栽の維持管理、その他建物の維持管理、メンテナンス、そういったところを実施目標としてあげさせていただいております。
次に平成26年度、来年度、その目標を達成するためにどういった事業をやっていくかということで、17ページに事業計画を掲げさせていただいております。こちらを簡単に説明させていただきます。
1 運営業務の内、
「受託事業者との定期的なミーティング」につきまして、毎月1回、運営事業者連絡会議ということで、レストラン、ミュージアムショップ、受付、展示監視、及び警備員のそれぞれ現場責任者の方に出席いただき、今後の予定や運営上の変更点などの情報共有を行なっております。また、毎日、朝礼ということで、ミュージアムショップとレストランについては朝が忙しいため不参加ですけれども、受付、監視、警備員と、今日はこういう団体が来ます、こういうワークショップがありますなど、お客様に質問されても答えられないということの無いように、情報共有を進めております。
また、館内を維持管理の係長が毎日巡回を行い、清掃状況の確認や接客態度のチェックなどを行なっております。
次の行ですが、「業務仕様書の見直しを行ない、受付展示監視業務受託者への接遇研修の義務化」というところ、来年こちらを入れさせていただいたのですが、以前からスタッフの対応に対する苦情が最も多いのが監視業務でして、業務の性質上、作品保護のためなど、注意をしますので、やはり苦情が来やすい職ではあるのですが、ただそれだけではなく多少、資質というところもあると思われますので研修を、現在の業務仕様書にも研修をするよう謳った文章はあるのですが、平成26年度の年度途中で、契約が満了となりますので、そのタイミングでもう少し研修について厚く書いた形の仕様を作り業務発注したいと考えております。
次に、「レストランと連携し企画展ごとにコラボレーションメニューを提供」ということで、これは昨年とかも実施しているのですけれど、こういったこともやって、館内ALL美術館というか、そういった体制をつくって行きたいと思っております。
その下の「モニタリングによるホスピタリティ調査の試行」ですが、こちらも26年度初めて揚げさせていただいております。
まだ検討段階なのですが、例えば市の職員の中、あるいは市民の中から、募集をかけて美術館に来ていただき、覆面調査というわけではないのですけれど、こういったところが悪かったなど、そういったモニタリングをしていただきたいということで、あくまでも検討段階であり、どのような体制でというところも詰めてはいないのですが、26年度の後半には試行をしてみたいと考えております。
2 維持管理業務ですが、
まず、「中長期修繕計画に基づく、計画的な修繕の実施」についてですが、建築されて約7年くらい経過したのですけれども、やはり塗装が剥げて錆が出てきたり、事務棟の一部で雨漏りが多少あったりしまして、あと潮風という要因もありますので、経年劣化は仕方がないのかなと思いますが、鉄の部分などはやはり傷みが激しく、例えば、塗装をやりますといっても数百万、数千万円とか、ガラスとガラスの間のコーキングというそうですが、そういった物の取替えも、工事するのに大変お金がかかるわけです。そのため、中長期で計画をたてて、25年度に計画の素案ができあがった段階でございますので、26年度に市の財政部局と、何年度に大体これくらいかかります、そういった擦り合わせを進めようと思っております。
次に、「ミュージアムショップの空調設備改修」というのは、夏場に美術館に来られると分かるのですが、芝生の照り返しなどかなり暑く、お客様がゆっくり商品を見ていられないなど、冷房の能力不足が見受けられますので、空調の見直しを行います。
その他、「案内サインの点検、見直し」、こちらは今年度も実施しているのですが、例えば美術館建物の正面入口、皆様が入ってこられた入口ですね、「横須賀美術館」という切り文字のサインが貼ってあるのですが、こちら以前は黒い文字で貼られていて、それが意外と目立たなかった。入口が分かりにくい、という話が多かったのですけれど、それを25年度白の切り文字に変えて、多少は解消されたのかなと思います。ただそれで満足せずに、各所、分かり易いサインへの見直しを今後も進めて行きます。
次に最後ですが、「AEDの更新、及びAEDボックスの可視化」ということで、26年度、当館で保有しているAEDの耐用年数が満了となりますので、AEDはもちろん購入するのですが、いままで「AED設置施設です」というマークをエントランスにステッカーを貼っていたのですけれど、実際にAEDをどこに置いていたかというと、事務棟の救護室に置いてあります。実際、スタッフ全員が置場を知っていますので、いざ使用することになった場合でも、そこに取りに走ってという形で対応は可能なのですが、なるべくであれば、来館者の方でも場所が分かるようにAEDボックスを設置したいと考えております。まだ検討段階ではありますが、いろいろ考えて、利用者にとって一番心地よい空間を作っていきたいと考えております。私からの説明は以上になります。
[事務局・三堀]:補足ですけれど、先ほどご説明させていただきました中長期修繕計画ですが、こちらに関しましては25年度で素案という形で作らさせていただいております。これから、市の工事部局ですとか財政部局等と話をさせていただきまして、形として作っていきたいなと考えております。
こちらの目的としましては、これから大規模修繕、お金がかかってくると思いますので、修繕料の平準化ということを考えております。
市の方の財政状況もいろいろ厳しいものがありますので、財政部局と話をしたということで修繕が確定、というわけにはなかなか行かないものがございます。
その辺に関しまして、平準化を図って、これからもこの建物を長く保たせていきたいと考えております。
[小林委員長]:ありがとうございました。何かご意見ありますでしょうか。
[庄司委員]:やはり、入口の自動ドアが先ほどもうまく開かなかったです。少し反応が悪いようですね。
[事務局・三堀]:申し訳ございません。センサーが、「真下に立つと反応が悪い」とか、「黒い服を着ていると反応が悪い」とか、いろいろあるようなのですが、センサーの感度を良くすると枯葉が通っただけでも開いてしまう、というようなこともありまして、いろいろ試してはいます。
[庄司委員]:天気なども左右するのかなと思いました。晴れた日に来た時は本当にスッと開いたので。今日は少し曇っていたので、何かそういう原因もあるのかなと、先ほどそれは感じましたので。
あと以前来た時に、お年寄りの方が、「どこから入るのかしら。」とおっしゃっていたのが、気になりました。
[事務局・三堀]:入口という案内サインが出ているのですけれども、目線がかなり上なので、なかなかわかりにくいようです。サインの位置を下にしてしまうと、逆に頭をぶつける方がいらっしゃるとか、立て看板的な物を置いておくとそれに躓くとか、なかなか良い対策が無いというのが現状です。
[事務局・沓沢]:いま三堀から説明のあった柱の上部のサインですが、実は開館当初はありませんでした。その後、「入口が分かりにくい」とかなりご指摘をいただいて付けたのですけど、あまり…
[庄司委員]:お年寄りですと、目線がやはり下なので。
[事務局・沓沢]:あまり大規模にサインや構造を変えてしまうと、やはり建築意匠の問題になってしまうので、なかなかそこら辺のジレンマがあります。
[庄司委員]:「レストランの方から入るんでしょうかね。」と言っていた方を前に見ました。
[事務局・三堀]:「点字ブロックの色を変えてみよう。」などの案もあったのですけれど、やはり白を基調とした建築ということで、それはなかなか難しいということになりました。
[榊原委員]:入口のことですが、だいたい皆さん正面から入ってこられますが、近道がありますよという、「ヴァリーズ」のところから入れるということもご案内していただくと、この作品を皆さんなかなかご覧にならずにこられますので、そういうのはどうなのかと前々から少し思っていました。
[事務局・三堀]:馬堀方面からバスで来られる方ですと、バス停からヴァリーズをご案内するには、横断歩道の無いところをお渡りいただく形になってしまうので、かと言って横断歩道を渡ってから戻っていただくというのもなかなか難しいと思います。帰りでしたら見て通っていただけるかなとも思いますので、その辺の誘導に関しましてもこれから検討して行きたいと思います。
[安藤委員]:サインはやはり難しいですね。できあがっている建築というものがあり、それを補足するためのものですから、構造を変えるわけにはいきませんので、サインをいろいろ試して、追加するなり直していくことを繰り返していくしかない。
我々もホテルの中で、「こちらに行くとスパがありますよ。」、「こちらに行くと客室ですよ。」とか、わかりづらいというご指摘があるたびに、そういうサインは直しているのですけれども、やはりいろいろな方がいろいろな事をおっしゃるので。
その最大公約数をとって、少しずつ直して行くしかないと思います。
[小林委員長]:アメニティの問題、私は大変良いように感じているのですが。けれどもさらに努力して、よろしくお願いします。
では、次に7番目、「すべての人にとって利用しやすい環境を整える。」について、ご説明願います。
【⑦すべての人にとって利用しやすい環境を整える。】について
[事務局・沓沢]:ご説明いたします。19ページをご覧ください。
この項目は、私どもで事業の柱の一つとしております福祉関連事業、それからバリアフリーに関わることについての項目でございます。
事業計画といたしましては例年通りでございますが、まず1番、福祉に関わる講演会の開催、次に2番、障害者向けとありますが福祉に関わるワークショップの開催、3番として障害児向けのワークショップ「みんなのアトリエ」を毎月1回、年間で12回、26年度も開催しようと考えています。
4番、福祉関連の事業としてのパフォーマンスの実施、それから5番として、こちらは障害者福祉の観点とは別に、託児サービスの実施を16回予定しています。これは小さいお子さんをお持ちの方にも、気軽に美術館の展覧会やワークショップを楽しんでいただくためのサービスとして実施をしております。
達成目標といたしましては、福祉に関連する事業への参加者数を取りまとめまして、延べ280人としました。この数字は24年度実績とほぼ同じであります。表中の今年度については、まだ福祉関連ワークショップとパフォーマンスを実施していないため、このような数字になっております。
ページ変わりまして、実施目標といたしまして、「年齢や障害の有無などに関わらず、美術に親しんでもらうための各種事業を行うこと」、いま申しあげた事業ですね。
その他に「必要に応じて対話鑑賞等の人的サポートを実践する。」、を揚げております。これは目の不自由な方や、聴覚に障害のある方から、お申し出いただきましたら、私ども学芸員が一緒に展覧会を見て、その鑑賞をサポートさせていただくという事業でございます。
説明は以上でございます。
[小林委員長]:ありがとうございます。この辺は、大変重要になってきまして、障害の問題だけでなく、年齢の問題とか、そういうことに関わらずと書いてはありますけれども、やはり行政の課題というのが年々重視されてきておりますので、皆さんご意見がありましたらどうぞ。
[庄司委員]:託児サービスというのは、どこかにお部屋を設けるのですか。
[事務局・三堀]:会議室がございまして、そちらにマットを敷いて、走り回ったり、這ったりできるようなスペースを作り、実施しております。
[庄司委員]:対象年齢はいくつですか。
[事務局・三堀]:1歳から未就学児までを対象とさせていただいております。
[榊原委員]:「みんなのアトリエ」ですが、12回、参加は多いのでしょうか。
[事務局・沓沢]:今年度の例を申しますと、結構いつも決まった方もいらっしゃるのですけれども、10組を定員としてそれを少し上回るくらいの応募を毎回いただいております。場合によっては抽選とか、実施内容によっては少し定員オーバーでも受け入れております。2倍までにはなっていないようです。
こちらも継続的な事業でございまして、現在のところ20歳以下を対象としているので、卒業されてしまう方とか、また新たに加われる方もいるのではないかと思います。
[小林委員長]:大変気をつかって問題点を整理していただいていますね。
では最後になりますが、「事業の質を担保しながら、経営的な視点をもって、効率的に運営・管理する」という、また大変難しい問題がありますけれども、こちらをご説明願いたいと思います。
【⑧事業の質を担保しながら、経営的な視点をもって、効率的に運営・管理する】について
[事務局・三堀]:説明させていただきます。21ページをご覧ください。
まず事業計画につきましてご説明させていただきます。
最初に、「効率的な開館時間を設定します。」でございますけれども、美術館条例上は季節により曜日により20時まで開館する規定を設けております。しかし、平成24年度から開館時間を「10時から18時」としております。
こちらは、仕事帰りに立ち寄る立地条件ではないことから、夏場ですら17時を過ぎると極端に観覧者が減る傾向にございます。よって現在、通年18時閉館とさせていただいております。
26年度も引き続き18時閉館として、受付展示監視等の業務委託料ですとか、光熱水費等を節約させていただくという形を取らせていただこうと思っております。
2点目の「エネルギーの消費管理を行ない、省エネ対策を推進します。」についてですが、いままで非常勤職員で対応しておりました施設の運転管理点検等の業務につきまして、26年度から委託業務とさせていただくことになりました。その中で省エネ対策についても提案する、ということを盛り込まさせていただく予定でおります。ビル管理の専門の業者さんの目から見ました省エネ対策を提案していただき、これから達成目標を説明させていただきますけれども、この達成目標をクリアして行きたいと考えております。
3点目の「サービスを低下させず、経営的な視点で、委託業務の内容の見直しを行う。」ですが、先ほど上野から説明させていただきましたけれども、受付展示監視業務、ですとか警備業務に関しまして、26年度、業者の選定を改めて行う予定でおります。その際に、減らす、お金を安くすませる、価格を安くするという視点だけではなく、経営的な視点を持ちながら、いま以上のサービスを提供できるように業務内容の見直し、先ほど申し上げた研修ですとか、そういったものを盛り込んで、サービスの増進を図っていきたいと思っております。
次に達成目標ですけれども、こちら毎回いろいろご指摘をいただいている箇所ではございますが、26年度に関しましても前年度と同じ目標とさせていただきました。
理由につきましては、定点という視点で消費量を捉えることで、職員で原因や改善策を話し合えたことは非常に有意義であったと思います。また、計算してみてかなり驚きましたが、電気料、水道料、下水道料、これらが、人件費を含めました美術館の総事業費の12.9%を占めておりました。そのため、やはりこれらに関しては、目標を設定し、節約、管理していく必要があると考えております。
次に実施目標でございますけれども、「費用対効果を常に意識して事業に取り組むこと。」これを全職員が再確認して行くことが、やはり、目標達成するために必要だと考えております。
以上で簡単ですけれども、ご説明を終わらせていただきたいと思います。
[柏木委員]:「顧客サービス系の委託業務」、それから「施設管理系の委託業務」があると思いますが、これは毎年度入札ですか。
[事務局・三堀]:人の確保に関することなので毎年度入札ということはなかなか難しいので、3年から5年を目安として長期契約をさせていただいております。
[柏木委員]:それは市としては大丈夫なのですか。
[事務局・上野]:市で定める長期継続契約の対象案件がありまして、例えば物品リースや機械警備業でしたら7年以内ですとか、有人警備や建物清掃業務が3年以内とか、そういった決まりに基づいて契約させていただいております。
[柏木委員]:それは本当に良いことだと思います。質を担保するという意味と、こういう経営的な部分の、要するに費用対効果を担保するという意味でも、単年度ごとに入札で業者が変わると、質を一定に保つのが大変難しいと思います。市の契約のコンプライアンス上、問題が無いということですので、非常にそれはすばらしいなと思います。
[小林委員長]:水道とか電気などは、比較することはできないのですけれど、市役所の本庁から見ると、意識的な形として、美術館はかなり厳しい状況として位置付けているのでは。
[事務局・三堀]:横須賀市の環境マネジメントシステムというものに組み込まれており、市全体で取り組んでおります。美術館だけ特に減らしなさいということはないですが、やはりこれだけ大きい施設ですので、使用量、使用料ともに大きくなっております。
[小林委員長]:それから公用車の走行距離の問題ですが、これは非常に努力されていると思います。公用車というのは、市役所との間で連絡に使われたり、いろいろ中学校や小学校を訪問したりするのに使うと思うのですが、一方ではそういった事業を拡大したいなと言っているところですので、あまり走行距離を減らすことを考えすぎますと、活動を締めてしまうことになりかねないと思いますが。
[事務局・三堀]:本庁というか市役所におりますと、どこか出先に行く業務を取りまとめてということも可能かも知れませんが、美術館におきましては行くことが業務というか、行かなければいけないので使用していますので、目標から削除するかどうか検討はしたのですが、いくつかの用事を一度に済ませたり、乗り合わせたりはある程度可能ですので、一応目標として入れさせていただいております。
[小林委員長]:活動を拡大すればするほど必要になるけれども、一方で締めていかないといけない。本当に一生懸命やってくださっていることがわかります。
では次に予算案が付いていますので、ご説明をお願いします。
[事務局・三堀]:前回、事業計画というのは予算に基づいているものではないかというご指摘をいただきました。今回、まだ予算案が審議中ということで決定の数字ではないのですけれど、これまで説明させていただいた8つの事業に基づいた当初予算額を載せさせていただきました。
下の方、「美術館費全体の予算案」の中、歳出のところから給与費を除いた分を事業費の中で割り振りさせていただいております。
それぞれの事業に基づいて、当初予算このくらいで見込んでおりますという、案を載せさせていただいております。
昨年度当初予算では企画展が5本組んでおり、今年は当初から6本を組んでおりますので、前年度に比べますと3,800万円程度多くなっております。
[柏木委員]:企画展1本分が増えているから、歳入も歳出も少し膨らんでいるという予算案ですね。
[事務局・三堀]:大きいのが消費税の8%、委託料の関係ですとか全て8%がかかってきてしまうので、歳出経費は膨らんでおります。8%改定することに伴って、4月1日から所蔵展の観覧料、現在300円ですが310円にさせていただきますが、その関係で館内のサインですとかパンフレット類を一新しなければいけない。そのために、膨らんでしまった部分もございます。
[小林委員長]:時間もかなり押してきましたが、何か質問がございましたら、どうぞ。
[柏木委員]:横須賀市の基本方針としては、消費税が上がることに伴って、受益者負担分を上乗せすべし、という方針なのですか。
[事務局・三堀]:美術館の使用料に関しましては、3%上がった分は上乗せします。市全体で上乗せすべきという判断がありまして、美術館も対象となります。
[柏木委員]:するとコレクション展の観覧料とか、あるいは施設の貸出に伴うものとか、条例で縛られているものは3%分を上乗せすると。
[事務局・三堀]:施設の貸出については美術館に規定がございません。駐車場の使用料に関しては300円を310円になど、細かくなってしまうのですが、上げさせていただいております。
[小林委員長]:どうもありがとうございました。いろいろまだおありかと思いますけれど、今日出ました問題点、委員の皆様が指摘してくださったこと、記憶に留めながら更に前へ進めて行っていただきたいと思います。
あとスケジュールのことがありますので、もう少しお時間をください。
[事務局・上野]:議題の2、今後のスケジュールについて説明させていただきます。
お手元の資料2、「今後のスケジュール」A4、1枚の資料になります。
平成25年度の評価につきましては、25年度の観覧者数、観覧料収入など、そういった諸々の数字が4月に入らないと確定しません。そういった時期も踏まえ、まず事務局の方で25年度の一次評価を5月の中旬くらいまでにさせていただきたいと思っております。その後、一次評価をお送りさせていただき、それを委員の皆様に二次評価していただくという形になります。
現時点では、委員の皆様にお送りするのが5月の下旬、委員の皆様から二次評価をご提出いただくのが6月の上旬、を想定しております。
その資料を基に、6月下旬に開催予定の第1回運営評価委員会にて評価書を確定させていただき、その後、教育委員会定例会への報告をもちまして、平成25年度横須賀美術館評価書が完成、という流れになります。
その他、中間報告書や事業計画書につきましては、例年通りの形で進めさせていただきたいと思います。
よろしくお願いします。
[事務局・三堀]:申し訳ございません。次回会議日程を調整させていただきたいので、ご都合の悪い日を教えていただけませんでしょうか。
-(日程調整・略)-
[事務局・三堀]:ありがとうございました。本日欠席の菊池委員の予定を確認させていただき、決まり次第、メールをお送りさせていただきます、
[小林委員長]:長い時間ありがとうございました。傍聴の方もありがとうございました。
[事務局・三堀]:これで本日の会議を終了させていただきます。
【閉会】