美術館について
美術館評価制度
横須賀美術館評価委員会(平成27年度第1回)
日時:平成27年(2015年)7月14日(火)午後2時~4時
場所:横須賀美術館 会議室
1 出席者
委員会 委員長 小林 照夫 関東学院大学名誉教授
副委員長 菊池 匡文 横須賀商工会議所事務局長
委員 柏木 智雄 横浜美術館学芸グループ長
委員 黒岩 弘明 横須賀市立大楠小学校校長
委員 榊原 睦美 市民委員
事務局 美術館運営課長 佐々木 暢行
美術館運営課広報係長 栗野 真一
美術館運営課管理運営係長 上野 誠
美術館運営課(管理運営係) 秋山 卓雄
美術館運営課(学芸員) 工藤 香澄
美術館運営課(学芸員) 沓沢 耕介
美術館運営課(学芸員) 冨田 康子
欠席者 委員会 委員 安藤 浩史 観音崎京急ホテル社長
委員 庄司 佳子 市民委員
2.議事
(1)平成26年度の評価について
(2)平成27年度の事業計画書について
3.会議録
【開会】
〔事務局・上野〕:定刻になりましたので、「平成27年度 横須賀美術館運営評価委員会 第1回」を開会いたします。
開会にあたりまして、本来ならば、横須賀美術館館長事務取扱、教育総務部長より、ごあいさつ申し上げる所ではございますが、所用のため、本日は欠席させて頂いております。かわりまして、美術館運営課長の佐々木よりご挨拶させて頂きます。
〔事務局・佐々木課長〕:本日は、ご多忙の中、「平成27年度 横須賀美術館運営評価委員会 第1回」にご出席たまわり、誠にありがとうございます。
また、本日の会議開催にあたり、委員の皆様には、お忙しい中、短期間で26年度事業に対する二次評価を行って頂きました。重ねてお礼申し上げます。
本日、皆様に二次評価のご議論を頂き、26年度の評価が確定いたします。皆様のご意見のひとつひとつを、今後の運営に生かし、さらに一層の努力や工夫を凝らし、美術館の目標でもある、「市民に親しまれる・愛される美術館」を目指し引き続き努力してまいります。
それでは、本日もよろしくお願いいたします。
〔事務局・上野〕:新年度になりまして、事務局に人事異動があり、前広報担当係長の吉田が教育指導課へ異動いたしました。また、新たに美術館に配属になり、当運営評価委員会の事務局担当者となります職員を紹介いたします。
〔事務局・秋山〕:自然環境共生課から参りました秋山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
〔事務局・上野〕:次に、本日は、安藤委員、庄司委員が欠席となります。安藤委員におかれましては、7月付けで京急本社に異動という事になり、皆様にご挨拶できずに申し訳ありませんとのお言付を頂いております。また、本日は傍聴の方が2名いらしております。
では、資料の確認をさせて頂きます。
-(資料確認・略)-
それでは、小林委員長、議事の進行をお願いいたします。
【議事(1)平成26年度の評価について】
〔小林委員長〕:それでは、次第に沿って、議事を進めさせて頂きます。「議事(1)平成26年度の評価について」事務局から説明をお願いします。
〔事務局・佐々木課長〕:では、説明いたします。資料1「平成26年度 評価報告書(二次評価まとめ)」ですが、皆様からお送り頂きました二次評価の結果を事務局でまとめさせて頂いたものでございます。この資料をもとに、後程ご議論を頂きたいと考えます。
ご承知のとおり、①から⑧の目標があり、それぞれに「達成目標」と「実施目標」があり、16の評価項目となってございます。
次に、二次評価確定の進め方について、ご提案させて頂きます。
事務局からは、最初に①の目標について、一次評価及び委員から頂いた二次評価の説明を簡潔に行います。委員の皆様には、委員会としての二次評価についてご議論頂き、評価を確定して頂きます。以降、順次目標ごとに繰り返し、進めていきたいと考えます。
それから、評価報告書の体裁ですが、昨年どおり、コメントは同様のご意見を1つにまとめ、すべて掲載をしたいと考えます。よろしければ、今まで通り、コメントのうしろにカッコ書きで記名をさせて頂きたいと考えております。以上でございます。
〔小林委員長〕:では、進め方、評価報告書の体裁についてですが、いかがでしょうか。
(委員「よろしいです」)
〔小林委員長〕:それでは、まず目標①から、事務局は説明をお願いします。
〔事務局・栗野〕:それでは、資料1「評価報告書 二次評価のまとめ」及び、「評価報告書 一次評価」に基づき、目標ごとにご説明申し上げます。評価報告書(一次評価)の1頁をご覧ください。
私からは「Ⅰ美術を通じた交流を促進する」のうち、「①広く認知され、多くの人にとって横須賀市を訪れる契機となる」の一次評価について、ご説明させて頂きます。
まず、平成26年度は、達成目標の年間観覧者数102,000人に対し、実績は、113,007人となりました。菊池委員、榊原委員からのご意見の中でも着目して頂いたとおり、来館者数につきましても、前年比で2万2千人程増加しました。
達成率111%と大幅に目標を上回ったことから、「S」評価といたしました。目標を上回った最大の要因は、夏休み期間中に開催した企画展「キラキラ、ざわざわ、ハラハラ展」の観覧者数が、達成率167%と、見込みを大きく上回ったことです。
「海辺のミュージアムでみる日本画展」が128%、「おいしいアート展」が114%と見込みを上回り、さらに、柏木委員からのご意見のとおり、「生誕110周年 海老原喜之助展」の観覧者数が1万1千人を超え、目標に達することができたことも要因の一つだと考えています。
ただ、「小林孝亘展」については、榊原委員からのご意見にもありますとおり、美術館としての役割を果たす開催意義の高い展覧会であったと考えていますが、達成率57%と見込みを下回り、見込みが甘かったことは否めません。開催時期や会期日数などを良く考慮して、各展覧会の観覧者見込みを算定するようにいたします。
次に、2頁をお開きください。実施目標の「広報、パブリシティ活動を通じて、市内外の広い層に美術館の魅力をアピールする」ですが、一次評価の理由としまして、無料での情報掲載数、ツイッターのフォロワー数、商業撮影の件数等が目標を上回ったため、評価できるものと考えて「A」評価としました。
なお、昨年、この実施目標から数値目標は除くべきとして、数値目標をこの実施目標の中から削除させて頂きました。目標を上回ったため、目標を達成するなどの表現をしている箇所がいくつかありますが、数値目標はもうありませんので、この記述は誤りです。誤った箇所は修正させて頂きます。大変申し訳ありませんでした。
説明を続けます。2頁の中段の(無料での情報掲載数)ですが、平成26年度は前年度を大きく上回り、特に雑誌、フリーペーパーへの掲載が増加しています。表の下に書かれているとおり、ツイッターのフォロワー数も伸びている状況です。
3頁をご覧ください。重点事業のひとつとして取り組んできた「商業撮影」ですが、記載のとおり、撮影件数、使用料ともに増えています。ドラマ撮影が行われ、実施には至らなかったもののテレビCM撮影の相談が何件もあるなど中身は確実に変わってきており、時間外での撮影立会いなど事業者のニーズに合わせた対応は、効果として数字に表れていると感じています。
4頁をお開きください。また、もうひとつの重点事業として取り組んできた「(5)団体集客の推進」では、クラブツーリズム、小田急トラベルのツアー誘致に成功したことで、募集型企画旅行(ツアー)による観覧者数が、平成23年度は161人であったのが、昨年度は、クラブツーリズムと小田急トラベルだけで合わせて2,133人と大幅な増加となりました。
クラブツーリズムの観覧者数が一昨年度より減少しているのは、横須賀地方総監部の艦艇ツアーの受入れが少なくなったことによります。このように、当館の運営に広報としての貢献ができた年だったと考えています。
〔小林委員長〕:ありがとうございます。今説明頂いたことに対して質問なり確認したい点はございますか。よろしいですか。ないようでしたら二次評価に入りたいと思います。
まず、「広く認知され、多くの人にとって横須賀市を訪れる契機となる」について、一次評価では「S」が付いていて、二次評価では柏木委員、庄司委員が「A」となっています。庄司委員は本日お休みですので、コメントについて柏木委員から説明をお願いします。
〔柏木委員〕:コメントが分かり難いかもしれませんが、今事務局からも説明がありましたが、地域ゆかりの現代作家 小林孝亘さんの展覧会が57%というのが実に残念だったという事が突出して目立っていたので、「A」評価とさせて頂きました。全体的に見れば、皆さんお示し頂いているように「S」で構わないかなと思います。
〔小林委員長〕:他の方は「S」という評価で一次評価と同じですが、お話をしておきたいと言うことがありましたら、どうぞ。よろしいですか。
では、柏木委員からお話があったことを入れると、二次評価については「S」と言うことに委員会としてはさせて頂きたいと思いますが、よろしいでしょうか。
次の実施目標については一次評価「A」ということで、二次評価なのですが、ご意見を頂きたいなと。むしろプラスになっているので問題ないと思いますけれども、菊池委員、「S」にした理由について説明を頂ければ。
〔菊池委員〕:基本的にはここに書いてある通りですが、自然発生的に来館者数が伸びるということは、たまたまというのもあるかもしれませんが、やはりパブリシティ効果を反映していると率直に考えて良いと思いますし、今も事務局の説明にもありましたように、ここあるとおりの、いわゆる露出度ですね。
一般的な露出効果というものがはっきりと実感できるような、我々がここで活字で評価するというよりも、実態はですね、感じている印象よりも上手にパブリシティをされてきているなと。それは、多分、経験値ですとか、露出させる場所のポイントとか、そういったものを大分研究されてきたのかなと思いますし、フィルムコミッションなども例年の2倍以上注文が入っているのは、それを表現していることであります。
たとえば、近年、ここ2~3年だと思いますが、フェイスブックですとかSNSに注目して活用しているというのは、おそらく来館者数とか美術館の知名度向上に寄与しているなどの効果が出ていると思います。
先程の、実施目標であるにもかかわらず、数値目標の達成と言う表現があったということなのですが、それは、確かに私の方で言ったことなので、それはそれで良いのですが、ただ、事務局内の努力目標として数値目標を無視してやる必要はないと思います。
表に出す、それを評価の対象にする必要はないと思いますが、やはり、数値基準と言うのは普遍的な分かりやすい基準でもありますので、ぜひそれは内部で共有すべきで、数値を設定したり何かを目標数にすることはあってしかるべきだと思います。絶対にここにそういう表現があってはいけないということではないので、もっと柔軟に考えて頂いてよろしいかと思います。そういう事で「S」にした訳です。
〔小林委員長〕:榊原委員はいかがですか。
〔榊原委員〕:無料での情報掲載数というのを見ましたら大幅に増えていますので、それで「S」とさせて頂きました。
〔小林委員長〕:非常にパブリシティの成果が上がっているということで、お二人は「S」を付けていますが、他の委員の方は一次評価で付けられた点について妥当だろうというような意見を出している感じがしますね。私の所は2つとも空欄になっているのですが、だいたい評価が同じならば、書かなくても良いなと、そんな約束だったので、余分なことは書かなかったのですが。
それで、これは「S」を付けて下さった方もありますが、全体的に見て、割って平均でという事でもないですが、いかがでしょうか。菊池委員いかがですか。
〔菊池委員〕:どこかに、まだまだ伸び代があるという事もあるかもしれませんので、「A」と「S」の境がどうなっているのかというのも非常に難しい所ですし、ここは、皆さんの印象が優先されると思います。
〔小林委員長〕:分かりました。数の論理ではなくて、そういうふうな形でコンセンサスを得たという事で、「A」にさせて頂くという事でよろしいでしょうか。ありがとうございます。
では次の②についてよろしくお願いします。
〔事務局・沓沢〕:「②市民に親しまれ、市民の交流、活動の拠点となる」について、一次評価の説明をさせて頂きます。
まず達成目標について、市民ボランティア協働事業への参加者数延べ2,400人というのを目標としておりました。26年度の延べ参加者数は、2,255人となり、目標を下回っています。
その理由として、プロジェクトボランティアのゴールデンウィークと、夏のイベントを定員制にした事が挙げられます。夏のイベントは、自由参加の部分を設けた訳なのですけれども、近年参加者数が増加傾向にあり、夏場の屋外活動として安全に実施できる限界に近付いていると考えたため、(暑い時間帯を避けて)夕方近くに実施いたしました。この事も、参加者数が少し減少した要因であると思われます。
しかしながら、この目標には及ばなかった訳でございますが、そのように意図した部分もあります。その結果、わずかに目標を下回ったものと考え、達成目標については、一次評価を「B」とさせて頂きました。
次に実施目標といたしましては、「市民が美術館に親しみを感じ、訪れる機会をつくる」、「市民ボランティアがやりがいをもっていきいきと活動できる場を提供する」という事を目標としております。この評価については「A」とさせて頂きました。
26年度につきましては、ボランティアの多様な活動の実態と、ボランティアからの近年の要望に応じて、活動内容や募集の方法を見直しました。サポートボランティア活動の目的を明確にし、細分化しました。5つに再編した訳でございますが、このように組織を組み替えた事によって、ボランティアに参加しやすくなり、参加者も増加したものと思っております。
それぞれの活動内容については、詳しくは申しませんけれども、ギャラリートークボランティアにつきましては、24年度の3期生も本格的な活動をされている事、また研修なども、適切に行っていると思います。小学生美術鑑賞会ボランティアにつきましては、引き続きボランティア1名につき、1クラスの引率をお任せしており、責任感とやりがいをもって取り組んで頂いているものと思います。説明は以上です。
〔小林委員長〕:ありがとうございました。まず、達成目標ですね。これについては、25年度は「S」で、このたびの26年度は一次評価「B」と。そして皆さん方の評価が色々出ている訳ですが。まずは菊池委員、「A」となさっていますが、理由をお願いします。
〔菊池委員〕:先ほどの①の方は、どちらかというと、達成目標があって、それに紐付いて、実施目標の成果があがったという事だったのですけれど、こちらはどちらかというと、中身の質ですね。
ボランティアの方々と一緒に美術館を運営しようという協働精神ですね、そういったものが感じられたので、数の設定としては2400という事であったのですが、色々この中身をつぶさに見てみると、ボランティアの方と参加者の方の数のバランスですとか、色々と配慮される中で、ただ数ではなくて、適正人数とかを考慮しながら、結果2255なってしまったのであれば、あくまでも数値目標ですから厳しく見れば「B」なので、これが結果として「B」になってしまっても良いのですけど。
私の気持ちとしては、そういう配慮があって、結果的に2255になるというのであれば、これは、足りなくて、要するに、2400行かなくてはいけないのに、足りなくてフォローアップできなかった、という現状であれば、「B」でもあり、「C」でもあるかもしれないのですけど、色々な側面を考え合わせながら、その時々の適正な人数を考慮した結果が、2255になってしまったという事であれば、運営上間違った方策ではないので、そういった意味で私は「A」としました。
〔小林委員長〕:とても良い意見だと思うのですよ。これは参考になる。また、黒岩委員は同じく「B」なのですが、いくつか意見を指摘されていますので。お願いします。
〔黒岩委員〕:関連しますので。良いですか。達成目標は2400と設定して、今回2255ですから、145少ないのですね。ただ、参考資料集の16頁を見た時に、「すかび隊」のシャボン玉仮面、これを定員制にして150の3回だから、Maxでも450しか行かないのですよ。どうがんばっても。去年は730、ここですでに、280くらい、達成できないって言っている訳ですよね。
という事は、最初に2400で設定したのだけど、安全面等考慮する中で、実際は2200に下げたとか、そういう目標値の変更をするべきではないかと思うのですけれども。実際に2400でやったら限度がある。夕方に開催して、しかも定員制にしたと。
なので、2400で設定したけども、2200に下げさせてもらうよ、という事になれば、充分達成している訳だから、「A」になる訳ではないですか。達成目標はどちらかというと、外して安全面を考慮したというのであれば、変更しても良いのではないかと私は考えます。
〔事務局・沓沢〕:ありがとうございます。この②ボランティアとの協働事業についての達成目標の設定というのは、前年度の実績等々を積み上げて目標化している訳ですが、まず、その中にはさまざまな要素があるという事。プロジェクトボランティアが、たまたま参加者数でいうと比率が大きいので影響は大なのでございますが、そのほかにももちろんギャラリートークの参加者などの要素も含まれており、そちらはちょっとずつ増えているという実績もあります。
おっしゃるように、ボランティアさんとの話し合いのなかで、やり方や定員数について、適切なものを常に求めてやっている訳で、その中で、年度当初に決めた目標を達成し得ないような状況になる事も充分考えられますが、なかなかそこで目標を修正するというのも実施には難しいので。
すでにご説明している27年度の事業計画書では、目標自体2000というふうに、かなり下方修正しております。そういった年度ごとの目標設定の範囲で調整していかれれば、評価制度の運用としてはよろしいのかなと考えております。
〔黒岩委員〕:いや、何かもったいないような気がして。充分達成しているのに「B」と書かなければいけないのは...
〔事務局・沓沢〕:そうですね、他の所でぜひ、評価をして頂くのであれば、実施目標の方で評価を高くして頂けたら大変嬉しいです。
〔黒岩委員〕:分かりました。
〔小林委員長〕:どうですか、こういうふうに評価したけれども、ちょっと一言申し上げておきたい事があるとか。そんな事がありましたら。よろしいですか。では、多くの人が「B」にしておられますので、達成目標は「B」という事で評価させて頂きますが、よろしいでしょうか。
次に実施目標ですが、「市民が美術館に親しみを感じ、訪れる機会をつくる」、「市民ボランティアがやりがいをもっていきいきと活動できる場を提供する」という事についての一次評価は「A」という事になっております。これに対して、柏木委員からは「S」という評価をされているのですが、それについてご意見頂きたいと思います。
〔柏木委員〕:①のパブリシティについては、菊池委員からもお話があったのですけれども、ポテンシャルはまだまだあって、伸び代はあると私も思うのですけれども、ことボランティア活動について言いますと、今の最初の達成目標でも、数値的にはこういう数字がでているという事で明らかなのですけれども、多分この美術館のスタッフのマンパワー等も考えた所で、ぎりぎり一杯の所で努力なさっているのではないかという印象をずっと持っておりまして、本当にできる事を精一杯なさっているという評価です。それで、「S」という評価をつけさせて頂きました。
〔小林委員長〕:菊池委員のコメントを見せて頂くと、共に創るという動きが感じられる、というご評価とあわせて、今後はユーザーボイスの分析もあれば、という記載があるのですが、これについて説明して頂けますか。
〔菊池委員〕:私もボランティアに関しては、柏木委員が以前から、その実態についてはかなり、この規模の美術館では、充分すぎるほどのケアができている、という話は以前から頂いていたので、私もそういう中で、最近、中身もさらに充実しているので、私も気持ちとしては「S」なのですけれども。
すべてに共通する事かもしれないのですけれども、どちらかというと、ユーザーボイス、お客さんの意見という部分を採りあげる部分がなくて、一次評価にしても、スタッフ側の評価をそのまま、我々はそれを見ながら評価をするという流れが出てきたと思うのですね。でも、やはり参加者の声でしょう。そこでどういう声が上がっているのか、という事が評価に反映されないと、いわゆるお客様目線という評価につながらないのかなと。
特に、ボランティアさんも、言ってみればひとりのお客さんとしてお手伝いを頂いている訳なので、そういう声を含めて、それに参加する参加者の声というものを、ボランティアさんに限らず、色々な場面で、聴取のできるものはして、一次評価の中にも組み込んで、より一層、スタッフの評価を色付ける、立体的な評価につながっていくのではないかと思った次第です。
〔小林委員長〕:ありがとうございます。榊原委員、色々と書いて頂いたのですが、これだけは改善のために言いたい、という事がありましたら。
〔榊原委員〕:ボランティアを募集する時に、私も色々声をかける訳ですね。そういう時に、「えっ、交通費出ないの。じゃあやめる」という方もけっこういらっしゃるのですよ。その辺を少し書いておいたらと思って、書かせて頂きました。
〔小林委員長〕:ありがとうございます。いかがですか、柏木委員、「A」という評価でよろしいですか。では、ここの所は、達成目標「B」、実施目標「A」というふうにさせて頂きます。
次は3番目ですね。大きな項目「Ⅱ 美術に対する理解と親しみを深める」について、よろしくお願いします。
〔事務局・工藤〕:「③調査研究の成果を活かし、利用者の知的欲求を満たす」の項目について説明いたします。「達成目標は企画展の満足度80%以上」と設定いたしました。実際に昨年度の数値は総合で「84.6%」となり、目標の80%を超えましたので、「A」とつけさせて頂きました。
こちらの数値の内訳ですが、企画展の中で「アール・ヌーヴォーとアール・デコ」展以外は全て80%を超えました。特に内容で言いますと「作品」の評価が全体の数値を押し上げる結果となったと考えています。先ほど話題にもなりました「海老原喜之助展」の満足度は90%を超えておりまして、これが全体の数値を引き上げる要因になったと思います。
特に満足度の内訳の中でも「観覧料」「順路」は美術館の建物の構造や、観覧料の設定からいって、この数値を上げていくことは難しいのですけれども、引き続き「作品」「配置・見やすさ」「解説」については努力を重ねてまいりたいと思います。
実施目標に移っていきたいと思います。「幅広い興味に対応するようバランスをとりながら、年間6回の企画展を開催する」「所蔵品展・谷内六郎館を年間4回開催する」「知的好奇心を満たし、美術への理解を深める教育普及事業を企画・実施する」「所蔵図書資料を充実させる」「多くの人が気軽に利用できるよう、図書室の環境を整える」「主として所蔵作品・資料に関する調査研究を行い、その成果を美術館活動に還元する」。
年間6回の企画展ですけれども、絵画以外の領域でデザインに着目した「アール・ヌーヴォーとアール・デコ展」や、親子で楽しめる現代美術の「キラキラ、ざわざわ、ハラハラ展」、親しみやすい「食べる」というテーマの「おいしいアート」、また「小林孝亘」「海老原喜之助」といった日本近現代の個展、というように広がりのあるテーマで組みました。
また補足いたしますと、所蔵品展や谷内六郎館も、所蔵品の中ではありますがそれぞれテーマを組んで開催しています。谷内六郎展ですと「かぞくの時間」「子どもの一日」というテーマを設けまして、それぞれ開催しています。所蔵品展につきましても、実は企画展示室より広いスペースです。企画展示室は約700平米、所蔵品展示室は約1200平米ありますけれども、その中で小企画を盛り込むようにしておりまして、場合によっては所蔵品だけでなく借用作品も加えて、展示を構成しております。
たとえば第4期所蔵品展では、横須賀出身の日本画家である「吉田多最」の展示と、「前田昌良」というおもちゃや装丁をしている作家の小展示を行うことで、企画展を目当てに来た方も、所蔵品展で複数の展示を見てもらうことで、横須賀美術館に対する満足度が高まっているのではないかなと考えております。
教育普及事業についても、「キラキラ、ざわざわ、ハラハラ」で展示をした現代作家のトークショーを開催したり、関連した事業を行っております。また映画上映会が恒例化して、人気がありまして、安定した参加者数を得ています。こういった様々な教育普及事業を行っておりまして、一次評価を「A」とつけさせて頂きました。
〔小林委員長〕:ありがとうございます。説明のありましたように、一次評価、実施目標は「A」ですね。柏木委員は「S」をつけていますので、ご意見を頂きたいと思います。
〔柏木委員〕:別冊の資料にあります満足度を見ますと、軒並み作品に対する満足度が、目標数値を達成しております。目標数値を大きく上回る数値です。観覧者数的には、なかなかうまくいかなかった「小林孝亘展」についても、展覧会の内容については、いらした方はかなり満足しているということが数字で分かる。
それは逆にいうと、広報展開がうまくいかなかったということを示している。展覧会そのものについては、いずれも数値的には目標達成以上になっているので、私は評価しても良いのではないかと。企画展のラインナップもバランスが非常によろしかった。この美術館でやるべき展覧会もしっかりと、たとえば「海老原喜之助」や、「小林孝亘」もゆかりの作家ですからしっかりとやっていた。そういう意味でも良くできていた。
事務局からの説明にもありましたけれども、コレクション展に非常に力を入れているということが良くわかって。やはり、コレクションを持っている美術館が、コレクションをいかに発信するかということは、日本の場合は企画展に頼りがちの場合が多いのですが、コレクション展を非常に意識的に充実させているということは高く評価したいと思います。
〔小林委員長〕:ありがとうございます。皆さんご存知のように柏木委員は横浜美術館の学芸員ということで、非常に大きな美術館からみると、横須賀は良くやっているのだという気持ちが評価に現れているのではないかなと思います。その、がんばっているのだ、という評価を理解しつつ、評価としては「A」ということでよろしいでしょうか。それから、実施目標としては、他に、ご意見を記載されているので、黒岩委員はいかがですか。
〔黒岩委員〕:企画展の内容としてもバランス良いですし。それにあわせた講演会やワークショップも非常に充実がはかられている。内容としては「A」という評価を私はいたしました。
〔小林委員長〕:榊原委員はいかがですか。
〔榊原委員〕:書いてあるとおりです。
〔小林委員長〕:よろしいですか。柏木委員は「S」なのですが、全体的に「A」ということでよろしいですか。では達成目標「A」,実施目標「A」という事で二次評価をさせて頂きます。では、次よろしくお願いします。
〔事務局・沓沢〕:15頁「④学校と連携し、子どもたちへの美術館教育を推進する」の一次評価につきまして、ご説明申し上げます。
まず達成目標でございますが、中学生以下の年間観覧者数22,000人を目標として掲げておりました。これに対して、26年度の中学生以下の年間観覧者数は26,070人となり、目標を大幅に上回っております。
この事について、短期的な要因といたしましては、7月から9月の夏休み中に開催した「親子で美術を楽しみたい!キラキラ、ざわざわ、ハラハラ展」が、タイトルの中ですでに、「親子で楽しみたい!」と書いております。親子、家族連れで楽しんでもらえる展覧会である事を示しました。これにたいへん良くお客様がお応え頂きまして、7月、8月の中学生以下の観覧者数は13,808人と、8月だけで1万人を超える状態でした。この時期の全観覧者数に占める割合は、約36パーセントにものぼり、特にこの展覧会開催中につきましては、小学生と幼児の増加が顕著に見られました。
それから、この「キラキラ、ざわざわ、ハラハラ展」と、9月から11月にかけて開催した「おいしいアート」展のふたつの展覧会で、市内の小中学校の全児童生徒にチラシを配布しております。10月、11月の中学生以下の観覧者数が多い理由としては、この展覧会自体が質の良い展覧会であったという事もありますけれども、こうした展覧会情報の周知の仕方を、学校からの配布物という確実な方法で行った事も、効果が高かったと考えております。
これは短期的な理由でございますが、もちろん、美術館では以前から、子ども向けワークショップや、児童生徒造形作品展の開催を通じて、子どもが美術館を訪れやすい環境づくりにまい進してまいりました。このように造形活動についても支援している。鑑賞の面では、24年度から、親子向けの展示案内、親子ツアーを各企画展で実施する、また、全市立の保育園での鑑賞プログラムを実施しております。
それから、小学生美術鑑賞会の充実を図っております。親子ツアーとか、保育園連携事業というのは、対象は少人数ではあるのですが、継続的に鑑賞支援をしている、という事も、鑑賞者数の増加に長期的にはつながっているものと考えております。
このような理由で、達成目標の一次評価としては「A」とさせて頂いております。
次に実施目標についてでございます。まず、児童生徒造形作品展の実施、学校と連携し、親しみやすい鑑賞の場をつくるという事、子どもたちとのコミュニケーションを図る、鑑賞と表現を結びつけたプログラムを実施する、小学生美術鑑賞会を充実させるため、学校との連携を強化する、といった事を目標として掲げております。例年、力を入れた取り組みをしています。
特に、平成25年度、ひとつ前の年度になりますけれども、この年にアートカードを制作いたしました。平成26年度は、これを活用して、鑑賞教育の質を上げるための、教員向けの研修を実施しております。文部科学省、それから各地の美術館の鑑賞教育に関わっている職員を招いて、フォーラムを開催いたしました。これらは、横須賀美術館学芸員と教員で組織する「地域とはぐくむ子どものための鑑賞教育基盤整備事業実行委員会」の事業でございます。
こういったような取り組みをして、計画通り実施できましたので、一次評価としては「A」とさせて頂きました。説明は以上です。
〔小林委員長〕:ありがとうございました。この、「学校と連携し、子どもたちへの美術館教育を推進する」という項目の達成目標なのですが、ずっと見ますと、今日は安藤委員はお休みですが、あとは榊原委員が「A」という事なのですが、見てみますと、かなり成果を挙げているのではないかと。かなりプラスの方に反応しておりますね、これで見ますと、皆さんの記載からみて、「S」というかたちで、二次評価をさせて頂いて、よろしいでしょうかね。では「S」にさせて頂きます。
次の実施目標についても、「A」、「S」、「A」というふうに分かれているのですが、「A」の方は、いわゆる一次評価どおりですから良いのですけれども。「S」をつけて頂いている方のご意見を伺いたいなと思います。まず菊池委員から。これは、かなり積極的な「S」ですか。
〔菊池委員〕:そうですね。これはアートカードにつきると思いますけど、事業計画の中でも、強くうたっていたという事があって。それをきちっと遂行して、それが幼児、小学生という若い感性豊かな方々に事前に教育をして、先生方にも教育をして、それで美術館の本当の絵に触れるという、そういう流れというのは大事な事だと思いますし、これから続いていくのではないかと思います。単発ではなくて。課題としても挙げられていますし。
そういった意味でいくと、それこそ、これ以上どうやって「S」の評価に結びつけるのに、付加していくのかな、という部分もありますしね。この場面では一定の評価以上を。柏木委員も、達成目標の所にアートカードの普及を書かれていますけれど、多分そこが、今回の26年度としては大きなポイントで、これをきちっと生かした、という意味では、僕は達成も実施も「S」であって良いのかな、と。そういう事です。
〔小林委員長〕:ありがとうございました。次に黒岩委員。学校関係者、校長先生から見て、ひとつ積極的な意味でのご意見を。
〔黒岩委員〕:学校と美術館との連携という事で、平成25年度に、小中学校の先生方と、学芸員さんと、そして教育委員会とで、アートカードづくりをスタートしたのですね。横須賀美術館の所蔵作品約4500点の中から、64点の作品を選んで、それを小学校1年から中学校3年まで9年間、発達段階に応じて、学習できるプログラムをつくって、昨年平成26年度に、全小中学校に10セットずつ配付して頂いた。
特に顕著に効果が現れたのが、6年生が毎年美術館に鑑賞会に来ている訳ですけれども、その事前授業として、このアートカードをつかった授業をほとんどの学校でやって頂いた。資料の17頁にもありますけれども、約9割、88パーセントの学校で美術館に来る前に、まずアートカードで授業をやってから来るのだという所も、定着をしてきている、という意味では、学校と美術館の連携という部分では非常に大きな成果を挙げているのではないかと私は思っていますので、ぜひここは「S」でお願いしたい所です。
〔小林委員長〕:ありがとうございます。数的にみると、「S」よりも「A」という評価が多くて、私も「A」としているのですが。学校教育と関連付けた所では、非常に前向きに努力されているという事で。その視点では自信をもって「S」だ、という事を踏まえまして。榊原委員、どうですか。「S」という事では。
〔榊原委員〕:私もそう思います。
〔小林委員長〕:ではそういう事で。色々な説明や「A」の人の評価も踏まえまして、「S」という事にさせて頂きますが、よろしいですか。では、達成目標は「S」、実施目標も「S」という事にさせて頂きます。
次に所蔵作品を充実させ、適切に保管するという事について、説明お願いします。
〔事務局・沓沢〕:「⑤所蔵作品を充実させ、適切に管理する」の一次評価について、ご説明申し上げます。
まず達成目標といたしましては、非常に数値化が難しい項目であるという事は、再三申し上げている所でございますが、環境を整えていく、また作品を集めていくために、必要な活動、環境調査の実施を年2回する、美術品評価委員会の開催を年1回する、という事を、数値目標というには少しおかしいのですが、目標として掲げさせて頂いております。これは予定通り実施をいたしましたので、「A」評価とさせて頂いております。
次に実施目標といたしましては、4項目挙げております。「収集方針に基づいて、主体性をもって積極的な収集活動を行うこと」、「適正な保管環境を維持し、そのチェックのため必要な調査を実施すること」、「計画的に所蔵作品の修復、額装を行うこと」、「他の美術館等で開催する企画展などに所蔵作品を活用すること」。以上の4点を挙げております。
これに関しても、例年とあまり評価が変わらないのですが。いちばん大切な収集活動について、寄贈に頼っているという状況が大きくございまして、それに対する評価として、一次評価「C」としている所です。
一方、寄贈作品はかなりたくさん頂いておりまして、大きいものとしては、2014年に亡くなられました、木村利三郎さんの作品、版画37点でございます。それから海老塚耕一さんの作品は、平成26年度の所蔵品展で、触察、触って楽しめる作品としてご紹介させて頂いたもので、その事が寄贈のきっかけとなっております。藤田修さんの版画作品は、前年度、平成25年度に開催いたしました企画展「街の記憶」に出品されたものをご寄贈頂きました。
このように、例えば木村利三郎さんの作品については、37点のご寄贈を受けた訳でございますが、実はとてもたくさんの候補作品があったのですね。本市出身の画家で、ゆかりも深い事ですし、アメリカを舞台に大変活躍された方ですので、受け入れる事についてはまったく問題ないと思うのですけれども、あまりたくさん寄贈を受けてしまうと、またバランスの問題等もあります。これは私どもとしても、たいへん頭を悩ませて、厳選させて頂いた、という所があります。
そのように、寄贈といっても、お申し出がある分全て受け入れているという訳ではなく、非常に苦慮しながら受け入れている、という状況がございます。
その他、環境調査ですとか、修復・額装、所蔵品の活用についても、目標どおり実施している所でございます。説明は以上です。
〔小林委員長〕:なかなか難しい問題なのですけれども、ここでまず、榊原委員から評価はできないという記載があるのですが。
〔榊原委員〕:全然分からないのですよね。ですので、皆様の評価に従うという意味で。
〔小林委員長〕:菊池委員は、コメントは書いておられないのですが、評価は「F」なのですよね。この辺もちょっと説明して頂けますか。
〔菊池委員〕:榊原委員と一緒で、ここの達成目標を達成したから、どういう効果があるか分からないので。この部分は何か深いものがあるのかな、というのもあるし。
〔小林委員長〕:どうですか、柏木委員、委員ではなくて専門家から見てお話をしてください。
〔柏木委員〕:私は、どちらかというと分かりすぎるほど分かるのですけれども、なかなか、こういう場で基準を立てて、その基準に基づいて評価するというのが難しい部分だと思います。
美術館として当然やるべき、作品を保全していく事とか、収蔵庫をきちっと管理するといったような事、作品を適切に活用していくという事に関しては、事業展開を見ても、ここに書いてある年の事に関しても、充分にやっていらっしゃる。全然過不足なく、充分にやっていらっしゃる。
それから、美術品を収集する機会を必ず年1回設けるというのは、ただ単に委員会を開くというだけではなくて、それに向けて諸々の調査とか、相手との交渉とか、先ほどお話がありましたように、寄贈を全部受けられない中で、バランスを見ながら交渉するという事は、公平に美術品の収集を、公立の美術館として実施していくというのは、色々な配慮が必要な事で、きちっと年間通して計画的にやれているという事は、普通の公立の美術館として達成すべき事をきちっとやっていると、私は思います。
〔小林委員長〕:今の柏木委員のお話を聞いて、菊池委員はいかがですか。
〔菊池委員〕:そうですね、そのような形で柏木委員がおっしゃるのであれば、それに対して言う事はないです。
〔小林委員長〕:納得して頂けたら。「F」をどう考えたら良いのかという問題があるもので。だからといって、「F」がないから「A」ではなくて「B」だという事も分かりにくいと思うのですが。全体から見ると、多くの人がそうですし、柏木委員の専門家のご意見として出た話を評価するという事で、よろしければ「A」という事にしたいのですが。
〔菊池委員〕:もちろんです。ただ、いつもね、私「F」という評価で、「F」という評点を加えたのも私なので、責任もあり放棄する訳にはいかないので。逆に、柏木委員と委員長、事務局の方で、この項目の目標設定というものは、もっとその我々、各立場の人が参加している中で、分かりやすい目標設定というのですかね。本質は変えずに。そういうものが何かないか、逆に議論して頂ければありがたいですね。我々の方から、この項目をこうしろ、という事はなかなか言えないですよね。評価する事すら難しいので。
〔柏木委員〕:確か、達成目標の所の数値目標というのは、最初はなかったのではでないでしょうか。それで、やはり、年に2回は、収蔵庫内の環境調査をやる、きちっとやります、あるいは、収集のための機会を必ず年1回、それに向けて事務局としてきちんと取り組みます、という事が、可視化できる目標となりうるのではないか、という事にした経緯があったと思うのですが。
一度そこが議論になって、やはり分かりにくいという事があって、議論があって、では何かやはり数値的な事で目標を立てましょうという事があって、こういうふうになったのだと思うのですね。実施目標を数値化するのは難しいですけれども、達成目標については、そういう経緯があったように私は記憶しているのですけれども。
〔小林委員長〕:何か補足する事ありますか。
〔事務局・沓沢〕:ありがとうございます。環境調査につきましては、もちろん、収蔵庫環境を正常に保つ、これは保つという事であって、良くしようという訳でなく、悪くならないようにしよう、という事でして、なかなか数値的には示しにくいのですね。
まさに菊池委員のご指摘のように、なかなか一般には分かりにくい仕事になるかと思います。しかしそれなりの予算もかかっている事業ですので、こういう所で、こういう事をやっているという事を紹介する事によって、それを継続していく支えになっていけば良いのか、というふうに考えている所です。
美術品評価委員会につきましては、予算的な事ではありませんけれども、収集のための努力を続けているという事を、この公開された委員会でお示しするという所に、積極的な意義があるものと考えております。
〔菊池委員〕:それで、とりあえず、評価はしても良いのですけれども、結局すごく空しい評価になるのですよね。ここに書いてある、年間2回調査して、1回評価委員会やりましたから、じゃあ「A」ですね、という評価以上のものは出ない訳ですよ。
それでよければ良い。でも責任がありますからやはり、達成目標と実施目標がリンクするようなものでないと。定量評価と定性評価というものは、やはり別々に判断はできなくて、そこが何か、うまく表現ができるような目標があればと。
ただ、数値評価だから達成目標というのは難しいですよね。管理というものをどう数値化するのか、という事になると、何を何回やれば「A」で、それ以上やれば「S」という、評価は「S」から「C」(D)まである訳で、その基準は何なのと言われた時に、ちょっと難しいですよね。なので、「F」から私がなかなか脱皮し得ない、というのはそういった意味ですね。
〔小林委員長〕:今回は、今までの形の中で、そこの所まで議論していくと、なかなか評価が立たなくなりますので、これは次年度の課題、ここをどういうふうにきちっと位置付けるのかという事を、管理目標についての宿題にする、という事でいかがでしょうか。今回は、その辺の議論もあるでしょうけれど、頂いた資料の中での判断に基づいてやらせて頂くと。
次に実施目標なのですけど、この中で菊池委員の気持ちが分かって。達成目標と、実施目標とが連動していく訳ですが。まず黒岩委員が、ここで「B」としていますけれど、この辺のお考えをお聞かせください。
〔黒岩委員〕:実施目標の一番上の、「収集方針に基づいて主体性をもって積極的な収集活動を行う」と挙げられているのですけれど、実際ここについては、作品購入費が配当されない訳ですから、積極的な収集というのは不可能な訳ですよね。それは美術館の運営の問題ではない所にあるのかもしれないです。
その中で、寄贈された作品について、全部受け入れる訳ではなくて、そこを価値付けて、コレクションのバランス、充実を図っている、という点については、消極的ではあるのだけれども、評価してあげたいな、という意味での「B」です。
〔小林委員長〕:そうですか。いわゆる評価を付けるという事になって、菊池委員の先程出された問題提起を踏まえまして、次回その辺の問題を検討したらどうかという事にしまして、ここは、全体的に見て、一次評価どおり、「C」の評価という事でよろしいですか。
では⑤の二次評価については、達成目標「A」、実施目標「C」というふうにさせて頂きたいと思います。
それでは6番目の説明をお願いいたします。
〔事務局・秋山〕:「⑥利用者にとって心地よい空間・サービスを提供する」について説明いたします。一次評価書の20頁、二次評価まとめでは11頁です。
達成目標は、「館内アメニティ満足度91%以上」、「スタッフ対応の満足度80%以上」といたしました。一次評価の理由ですが、26年度の実績として、「館内アメニティ満足度」が89.9%、スタッフ対応の満足度が81.9%となっていますように、「スタッフ対応の満足度」については目標を上回ったものの、「館内アメニティ満足度」については目標には若干届きませんでした。ただ、概ね目標に近い値を達成していると判断しまして、「B」評価とさせて頂きました。
二次評価において、委員の方々から「スタッフ対応の満足度」の向上については好意的にご評価頂いており、やはり課題は「館内アメニティ満足度」を向上させることと感じています。
次に、実施目標についてですが、「建築のイメージを損なわないよう、じゅうぶんなメンテナンス、館内清掃を行う」、「受託事業者と協力して、ホスピタリティのある来館者サービスを実践する」、「受託事業者と協力して、付帯施設を来館者ニーズに応じて運営する」としております。
実施目標に対しては一次評価を「A」評価とさせて頂きました。
その理由をP21~23に記載しておりますが、主なものを挙げますと、ミュージアムショップに空調を増設したところ、室温に対する苦情がなくなったこと、また、繁忙期(GW・夏季)の休憩所を確保するために、26年度からワークショップ室前に簡易休憩所(屋外用テーブル・椅子)の設営を試行したところ、利用率も高く、ご好評を頂いたこと、受付展示監視スタッフとのコミュニケーションを密にしたこと、等です。⑥については以上です。
〔小林委員長〕:ありがとうございます。菊池委員、いかがでしょうか。「来館者サイドの評価が客観的に分かるように」というコメントを付けて下さっていますね。この辺についてご意見をお願いします。
〔菊池委員〕:ここについては、高い評価をお客さまから頂いている中で、館内アメニティの満足度について91%以上というのが妥当なのかというのがあるのですが、ひとつこれは置いておいて、経年的な変化が本当にないですね。これは良い事なのかもしれませんが、裏を返せば、それ以上にするための、どこが悪いのかという部分をつぶさに分析できていないからだと思うのですね。
先程の実施目標の所にあったように、何か手を施した時にその苦情が消えたというような形で、必ずどこかに不満があるという事を突き止めなければ多分、全体的な評価は上がらないと思うのですね。なので、経年的にやって行くとどこかが多分、常に低い部分を引っ張っている要素があるのではないかと思うので、そこを突き詰めた方が良いのではないかと思います。「来館者サイドの評価が客観的に」というのは、要は今言った事です。
来館者が、どこを良いと思って、どこが悪いと思っているのかという部分を、きちっと客観的に分かるような、アンケートの書式を変えるのか分かりませんが、何らかの形の調査をしないと、この91%という目標を達成しようとしても多分無理だと思います。なぜ「B」にしたかというのは、大事な所で残念ながら数値に達しないという事で客観的に「B」にしたという訳です。
〔小林委員長〕:それは本当に言い得ていますね。例えば23年度は館内アメニティ満足度が90.4%ですよね。おそらく、この数字が基準でしょう。この美術館ができた最初の年は、皆さん来た人は「わあ、すごい」とびっくりして見ていたと思うのですよ。何のサービスもなくて入っただけで。そういうような状況を考えると、その時に90.4という数字があったからといって91%というのが求められるのかどうなのか、
また、今菊池委員がおっしゃったような事を踏まえて、少し分析してみる必要があるかと思います。どうでしょうか、そういう意味で、「A」をつけた人もいるのですが、私自身もそうですが、ここは一次評価どおり「B」とさせて頂いて、ここにおける課題、91%とか90%とかいう問題をもう一回きちっと捉え直すという事で、いかがでしょうか。よろしいですか。では二次評価を一次評価と同様にすると。
実施目標についてはものすごく努力されているというのもあって、皆さん、これについては「A」評価ということで問題ないと思いますので、このまま「A」ということで評価させて頂きます。そうすると、「利用者にとって心地よい空間、サービスを提供する」について、達成目標は「B」、実施目標は「A」ということでよろしいですか。
では、「すべての人にとって利用しやすい環境を整える」という事で、次に説明を頂きたいと思います。よろしくお願いします。
〔事務局・沓沢〕:「⑦すべての人にとって利用しやすい環境を整える」という項目についてご説明いたします。この項目は、主に福祉関連事業についての項目でございます。
まず達成目標といたしまして、福祉関連事業への参加者数延べ340人をこれに対しまして、26年度の福祉関連事業への参加者数は延べ457人となり、目標を大きく上回っております。福祉講演会については、例年通り30名を超える方々にご参加頂いています。今年度大きく増えた要因といたしましては、パフォーマンスの鑑賞者の方が125を数えたという事が大きな要素になっていると思います。
26年度については、託児サービスの受託児数につきましても、数に加えています。かなり大きく上回っておりますので、評価としては「S」とさせて頂きました。
次に実施目標でございます。
実施目標といたしましては、「年齢や障害の有無などにかかわらず、美術に親しんでもらうための各種事業を行う」、「必要に応じて、対話鑑賞等の人的サポートを実践する」となっています。これも計画通り実施されておりますので、一次評価としては「A」とさせて頂きました。以上でございます。
〔小林委員長〕:皆さん「S」となっているのですが、榊原委員から、横須賀市民の人数的な割合はどうなのでしょうか、という質問があるのですが、この辺の所はいかがですか。全体にかなり、数的な問題も含めて、延べの人数は多いのですけれども、かなり浸透していますか、という事ですよね。
〔榊原委員〕:そうですね、横須賀市民の割合は、という事では。
〔事務局・沓沢〕例年、ご説明の時に申し上げているのですけれども、福祉関連事業というのは、もともとパイが少ないので、目標設定しにくいと申しますか、数値が事業の内容によってかなりぶれがあります。
一応これは平均から算出したという目標設定になっているのですけれども、今年度は比較的多くの、パフォーマンス観覧の方がお集まりになったために、だいぶ増えているという所があります。
みんなのアトリエに継続的に参加して頂いている方というのは、近隣の方、市内の方が多うございます。
〔小林委員長〕:一生懸命に対応、この美術館としてやられているという、その評価は皆さんの委員の中にも出ていると思うので、ここは達成目標が「S」とさせて頂きたいと思います。
次の実施目標なのですが、菊池委員から「S」とありますので、この辺の所をひとつ、コメントを頂ければ。一次評価よりも高くしている理由をお聞かせください。
〔菊池委員〕:正直、もう限界ではないのかと思っているのですよね、これ以上の事を。内容的に、質を求めるという事だったら良いのですけれど、やはり、学芸員の方々のマンパワーですとか、全体の運営の中でも、色々な要素の中のひとつという事なのだけれど、先程のボランティアの件もあったり、学校教育との連携があったり、その中でこういった福祉関連のものがあって、色々なバランスを取りながらやるなかで、この規模の中でこれ以上の事をやるという事が、もう精一杯やっているではないかな、という気がしますね。
ここは柏木委員にも聞かなければいけない所があるのですけれども、私自身は、そういうふうに思っているのですね。それで「S」にした、というのが正直な所です。
〔小林委員長〕:ある意味で、柏木委員のコメントにもそういう問題が出ていますよね。
〔柏木委員〕:本当に、ボランティアの事もそうですけれども、「S」という評価をどのタイミング、どういうレベルで評価として出すべきか、という事があるのかと思います。
実施目標については、「A」とさせて頂いたのは、私自身が現場の実情を良く理解してないのかもしれないのですけれど、「みんなのアトリエ」みたいな活動が増加傾向にある時、それのオペレーション上、参加者が増加していく中で、どういう対応をとっていくのかという対策というのが、充分議論されているだろうとは推測するのですけれども、この段階でしっかり考えておくべきではないかという事を、オペレーション上、まだ取り組める事があるのではないか、という事で、ここでは「A」とさせて頂いておりますけれども、菊池委員がおっしゃるように、かなり一杯々々の所でなされているのだろうなとは思います。
〔小林委員長〕:では黒岩委員からも、「内容の充実が図られている」という事について。
〔黒岩委員〕:今回の達成目標が340で、457と大幅にアップして一次評価「S」なのですけれども、内容を見ていった時に、パフォーマンス、参考資料の132頁ですけれども、
福祉ワークショップ&パフォーマンス、COINNの不思議な音と魔法の杖、内容を見ていった時に、福祉に入っているのだけれども、幼稚園児を対象とした、表現と鑑賞を一体化した内容の企画なのですよね。
来年度この達成目標をいくつにするのか考えなければいけない時に、こういう内容のものを来年度も継続してやっていくのか、いかないのかで、この達成目標の数値も大きく変わっていく、という事になるのですよね。福祉という内容の中に、こういう園児を対象としたこういうものも含めて、来年度もやっていくという、内容を精査していって頂ければ、良いかなと思っているのですよ。いかがでしょうか。
〔事務局・沓沢〕:今日この後でご説明する所でもあったのですが、27年度の事業計画といたしましては、未就学児ワークショップを、今まで④学校連携、子どもたちへの美術館教育という所から、対象の年齢等を考慮して、⑦福祉に関連する事業という区分に振り替えていく。つまり障害児者向けの事業が主なのですけれども、それに加えて託児サービスですとか、未就学児ワークショップのような、未就学児に対する事業というものを、この中であわせて考えていく事で、それはそもそも福祉に関連するから、という事なのですけれども、この項目について考える時に、そういったものもあわせて数値を図っていきたいと考えております。
〔黒岩委員〕:そういう方向で考えていって頂けるなら、良いですね。
〔事務局・沓沢〕:そうですね。障害者だけではない、福祉に対して、もう少し広い枠組みで考えていきたいと思います。
〔小林委員長〕:皆さん、そういう思いがある。本当に良くやっているなという思いがある。書かれている事を見ても、ものすごく良くやっていると。しかし、ここはひとつ、そういう思いはあるけれども、一次評価で出された「A」というのを尊重して、二次評価を「A」にしようという事で、よろしいですか。達成目標が「S」、実施目標が「A」という事です。
最後に、8番目お願いします。
〔事務局・上野〕:「⑧事業の質を担保しながら、経営的な視点をもって、効率的に運営・管理する」の一次評価について、ご説明させて頂きます。
評価報告書の27頁をご覧ください。
まず、達成目標についてですが、平成26年度の達成目標は、電気・水道・事務用紙などの使用量を前年度以下にするというものでした。頁中段に表がございますが、ご覧のとおり、目標を達成することができませんでしたので、一次評価は「C」としました。
達成できなかった理由としましては、表組みの下にございますとおり、主に来館者の増によるものと思われます。
来館者の増については、館全体で来館者を増やす努力をしている中では喜ぶべきことなのですが、以前、委員の皆様からもご指摘を頂きましたとおり、それと相矛盾してしまう目標になってしまっているということが反省点でありまして、そのため、後程ご説明いたします27年度事業計画では目標を修正させて頂いております。
続いて28頁をご覧ください。
実施目標「職員全てが費用対効果を常に意識し、事業に取り組む」につきまして、実施目標の評価自体は「B」評価としました。
理由としましては、記載のとおりですが、各種契約において、一般競争入札や見積り合せによる契約を多く取り入れることはもちろん、かなり細かいことなのですが、作品の借り受けなど展覧会の出張におきましても、一番経費のかからないルートを選択し、かつ出張回数が少なく済むよう、いくつもの美術館にまとめて出張するなど、業務の質を落さない範囲で経費削減にも努めており、職員全員のコスト意識が毎年向上してきていると感じております。⑧の説明は以上となります。
〔小林委員長〕:どうもありがとうございます。ここも難しい問題なのですね。特にここで意見を申し述べておきたいという委員の方もおられましたので、いかがですか。
〔菊池委員〕:では私が。評価がどのような形になるのかは別にして、実施目標についてなのですが、今の説明にあったように、私が最初に見た時から比べて、本当に館のスタッフの方々のコスト意識、費用対効果に目を向ける意識が非常に上がってきていると思います。そういう意識が皆さんの中にあって、日常の行動につぶさに表れてきているのは、我々よりも運営スタッフの方々の手応えではないかと思います。達成目標の方にも書きましたけれども、これはどちらかというと実施目標の意識の改革があって初めて達成目標を何にしようかというふうな流れが一番作りやすいものなのですね。というのは、日常ずっとつぶさに気にしながらですね、手応えを感じながらやるので、では来年はこういう事に取り組んでみようという事を考えやすいと思うのですね。当初はそういう事がそれぞればらばらでしたし、美術館にそもそもこういう意識が必要なのかという、そういうレベルだった頃からするとですね、数段も意識が変わってきている訳ですよ。ですから、目標設定にしても、実施目標の中でこういう意識が醸成されたのであれば、その中から自ら皆で話し合って数値目標につながるものが出来るというふうに思うという事が、ここに書いてある事なのですね。
もうひとつ申し上げたいのが、上にありますように「事業の質を担保しながら経営的な視点を持って効率的に運営管理する」という意味はですね、とことん絞って絞って一滴も出ない位までやりなさいという事ではなくて。先程も予算がないのでなかなか所蔵品云々という事もありました。これはどういう事かというと、経営的視点を持つというのは、決して絞るという事だけではなくて、絞った中から生まれた余剰のものをプラスに転換するという事が経営的な視点という事なのですね。ですから、経費を絞り込むだけではなく、そこで浮いたものをプラスに転化するというのが発想として大事なものですから、何か費用的な面でここは何とかしなければいけないという事を、こういう面で補うという観点が経営的な視点という事を改めてスタッフの方々も考えた方が良いのではないかと思います。やはり息切れしますよね、いずれ。疲れ果てますよ、これをずっとやっていると。だけれども、努力したものがプラスに転化できるという観点があると、これはまた違ったモチベーションに変わりますから。そういう点でこの8番を考える時期に来ているのではないかという事を申し上げたい。
〔小林委員長〕:はい、ありがとうございます。非常に重要な事だと思います。柏木委員から何かございますか。
〔柏木委員〕:ここに書いてあるとおりで、前回と同じような事なのですが、美術館という施設の特性を鑑みた時に、電力消費量のような外的な要因に左右されるものが一律に達成目標とされる事がどうなのかなと、かねがね思っていた所です。
〔小林委員長〕:このような一次評価を付けた理由はありますか。遠慮しているという事はないですかね。
皆さんの「B」は、「C」を上に上げた「B」ですから、普通の「B」とは違う意味を持っていると思うのですね。そういう訳で、「B」という事でよろしいですか。かなり「C」を上に上げた「B」ですので。
次に、「職員全てが費用対効果を常に意識し、事業に取り組む」という実施目標ですが、ずっと「B」、「B」、「B」と来て、菊池委員は「A」と来て、榊原委員は「A」と来ている訳ですが、いかがですか。ひとつご意見を、榊原委員。
〔榊原委員〕:「A」で良いかなと思うのですけれど。
〔菊池委員〕:ひとつ私が気になったのは、25年度が「A」で、なぜ今年度を「B」にしたのか。年々意識が高まってきた所で、「B」にした理由、そこを逆に聞きたいですね。
〔小林委員長〕:すごく色々と努力されているし、意識は向上していると思うのですけれどね。
〔事務局・上野〕:判断基準から言いますと、「A」が「達成している」、「B」が「ほぼ達成している」という基準がございますので、「達成している」と付けてしまいますと、そこで満足してしまうというか、もっと高みを目指せるかなとは思っています。
先程、菊池委員からもご意見頂いたように、経営的な視点という考え方も私どもの狭い視点がございましたので、そういった点から考えましても、意識という点については、まだ上を目指していけるのではないかと思っております。
〔小林委員長〕:黒岩委員、いかがですか。「B」となっているのですが、書いてあることはすごく意識が高いと...
〔黒岩委員〕:はい、とても意識は高いし、前向きに取り組んでいるのですが、残念ながら達成目標が前年度以下となってしまうと、結局、達成目標が達成できないから「B」にしかしてあげられないという、そういう残念な所があります。
〔小林委員長〕:そうしますと、ここは「B」なのだけれど、二次評価として、意識の点では非常に高い取り組みがなされているということで、「A」という事でよろしいですか...はい。
そのような事で8項目、16に渡って評価させて頂いたのですが、少し評価が揺らぐ所もありましたが、大体ほぼ一次評価と二次評価が重なり合いましたね。これはやはり、現在、自己点検と評価という事がひとつの大変重要な項目になっていて、やはり美術館側の取り組みというものを、より客観性を入れながらシビアにしていると。また、委員の方々も資料を見ながら、データを見てきちっとした分析をしていると。そういう事で、一次評価と二次評価の整合性がかなり高くなってきているなと。これは、ある意味では非常に良い事ですので、それなりの意味を持つのかなと思います。
そういう事で、今日は二次評価をさせて頂きました。皆さん、第一の議題についてはよろしいですか。
では第二の議題、事業計画ですね。よろしくお願いします。
【議事(2)平成27年度の事業計画書について】
〔事務局・佐々木課長〕:はい、では平成27年度の事業計画について説明をさせて頂きます。今年の3月に開催しました会議でご意見を頂き、事務局で再度検討しまして、事業計画を修正し完成したものが、本日配布させて頂いた資料でございます。修正させて頂いた事項を中心に事務局から簡単に説明させて頂きます。
〔事務局・栗野〕:それでは、事業計画書の2頁をご覧ください。
3月にお示しした事業計画案から修正させて頂いた事項を中心に説明させて頂きます。
「Ⅰ美術を通じた交流を促進する」のうち、「①広く認知され、多くの人にとって横須賀を訪れる契機となる」の事業計画につきましては、中段の2「広報・集客促進事業」の「(1)訴求活動による集客促進」の5点目、「インバウンド推進の第一歩としての英語版パンフレット作成」に「・配布」を追加しました。
次に、3頁の「(3)外部連携の推進①他部局との連携」の3点目に、「横須賀製鉄所(造船所)創設150周年記念事業の一環としての博物館、文化振興課等との共同イベントの開催」と、150周年記念事業の冠事業として共同イベントを開催することを盛り込みました。
次に、「(4)団体集客の推進」の1点目、3月にお示しした時には、「市内民間事業者と連携した商品開発の検討」としていたものを、私たちが商品開発をする訳ではありませんので、「市内民間事業者と連携した企画(ツアープランなど)の検討、提案」と修正しました。
また、達成目標ですが、その下の目標設定の理由にも書かせて頂きましたが、開館当初から毎年達成すべき観覧者数としてきた10万人以上を達成目標とさせて頂きました。
さらに4頁をご覧ください。
中段の実施目標ですが、3月にお示しした際には、「広報、パブリシティ活動を通じて、市内外の広い層に美術館の魅力をアピールする。」と書かれていたのですが、もう少しやるべきことを分かりやすく、評価もしやすいように、ここに書かれているとおり5点に細分化させて頂きました。一番下の実施目標の目標設定の理由の3点目、4点目を補足的に追加しました。私からの説明は以上です。
〔事務局・沓沢〕:「②市民に親しまれ、市民の交流、活動の拠点となる」という部分についてご説明申し上げます。
美術館ボランティア活動として、26年度に引き続き、下の5つの項目に基づき、活動を続けてまいります。
達成目標といたしましては、市民ボランティア共同事業への参加者数、延べ2000人を目標といたしました。この積み上げ根拠につきましては、6頁下段の表の通りとなっております。
実施目標といたしましては、引き続き「市民が美術館に親しみを感じ、訪れる機会をつくる」、「市民ボランティアが、やりがいを持っていきいきと活動できる場を提供する」としております。
〔事務局・工藤〕:「③調査研究の成果を活かし、利用者の知的欲求を満たす」の項目について説明いたします。10頁をご覧ください。
達成目標の「企画展の満足度80%以上」は、変わらないのですけれども、ご指摘を受けまして変更いたしましたのは、「企画展満足度(補正値)」と記載していたのですけれども、その内容が良くわからないとのご指摘を受けましたので、どのように数値を出しているのかという数式を出しております。
4つ目の理由の下に、「年度ごとの「企画展満足度」を算出する際には、それぞれの企画展の観覧者数の比率を反映させています。」として、ここに数式を記しております。ここは変更しております。
実施目標も変わらず、「幅広い興味に対応するようバランスをとりながら、年間6回(児童生徒造形作品展を含む)の企画展を開催する」、それから、「所蔵品展・谷内六郎展を年間4回、テーマをもたせた特集を組みながら開催する」、ここは前回ご指摘を受けて少し補足をしています。前回は「所蔵品展・谷内六郎展を年間4回開催する」であったのが、実際の内容について加えています。
「知的好奇心を満たし、美術への理解を深める教育普及事業を企画・実施する」、「所蔵図書資料を充実させる」、「利用する人が快適に過ごせるよう、図書室の環境を整える」、「主として所蔵作品・資料に関する調査研究を行い、その成果を美術館活動に還元する」とさせて頂きました。以上です。
〔事務局・沓沢〕:「④学校と連携し、子どもたちへの美術館教育を推進する」について、事業計画として、学校との連携と、子どもたちへの美術館教育に関する部分について項目立てしております。先ほども申し上げましたように、未就学児ワークショップにつきましては、この部分の内容から除いているということになります。
達成目標として、中学生以下の年間観覧者数22,000人と設定しております。前回の会議でご指摘を受けて、中学生以下の観覧者数の表の中で、27年度の目標値について、内訳を示すことといたしました。先ほどもご説明しましたように、26年度に非常にたくさんの、中学生以下の子どもたちが観覧してくれた要因として、「キラキラ、ざわざわ、ハラハラ展」への幼児の観覧者数がたいへん大きく影響しておりました。今年度はそういう性格ではございませんために、幼児の目標設定を例年並とし、その積み上げの結果として、22,000人という目標設定としております。実施目標につきましても、アートカードの活用を含め、ご覧の内容の目標を設定しております。
「⑤所蔵作品を充実させ、適切に管理する」について、収集・保管に関する4つの項目に基づき、事業計画をしております。このなかで達成目標については、先ほどもご質問頂きましたけれども、環境調査の実施と美術品評価委員会の開催について、目標設定の理由を明確に書き改めました。実施目標につきましても、この4つの項目に対して設定しております。
〔事務局・秋山〕:続きまして、「⑥利用者にとって心地よい空間、サービスを提供する」について説明いたします。17頁をご覧ください。
内容は前回、事業計画(案)としてお示ししたものから変更はございませんが、平成27年度も受託事業者との連携を図り、利用者の満足度を高めて参ります。
現在開催されている「ウルトラマン創世紀展」ではミュージアムショップに対する来館者のニーズも高く、企画展に即したサービス提供の重要性を感じています。⑥については以上です。
〔事務局・沓沢〕:「⑦すべての人にとって利用しやすい環境を整える」ここでは、福祉に関連する事業について、事業計画を示しております。26年度と変わった所として、未就学児ワークショップについて、こちらの項目に加えて考えることといたしました。
達成目標として、福祉関連事業への参加者数延べ400人以上、としておりますけれども、これについても、資料の表で、内訳をお示ししました。ここには、託児サービスの受託児数、未就学児ワークショップの参加者数を加えております。実施目標につきましては、変わらずご覧の内容を掲げております。
〔事務局・上野〕:それでは21頁をご覧ください。「⑧事業の質を担保しながら、経営的な視点をもって、効率的に運営・管理する」の事業計画について説明させて頂きます。こちら、3月に案としてお出ししたものからは、変更ございません。
なお、前年度の事業計画からの変更点としましては、3月にもご説明させて頂きましたが、達成目標=数値目標から、公用車走行距離を削除しました。また、以前の目標では「前年度以下とする」としていましたが、「直近3年間の平均値以下とする」という形に修正いたしました。こちらは以前より菊池委員を始め皆様方から、「前年以下」を続けていくのは無理がある、苦しくなると、ご指摘頂いておりました点を修正させて頂いたものです。
ただ、二次評価でもご意見頂きましたように、そもそも電気や水道を目標項目にすること自体がいかがなものかという問題もございますし、「直近3年間の平均値以下」にすれば問題が無いというわけでもありませんが、電気・水道・事務用紙などを野放図に使って良い訳でもありませんので、ここで目標設定することにより、一定の歯止めを効かせる効果はあると考えておりますので、ご理解の程よろしくお願いいたします。
⑧の説明は以上となりますが、最後に事業計画書22頁に、平成27年度予算を載せさせて頂いております。こちらも3月にお出ししたものから変更はございません。予算案が市議会を通過しまして、本年度、この予算を基に動いております。予算の執行にあたりましては、引き続き、適正に運営してまいります。説明は以上となります。
〔小林委員長〕:はい。今説明頂きました事に関して質問ございますでしょうか。
〔菊池委員〕:一点だけよろしいですか。特にこれにという訳ではないのですが、先程もありましたように外国人の方への対応ですね。今は来館者に英語版の説明をお配りしているという事ですけれども、外国人の来館者数の具体的な数字ではなくて印象でも良いのですが、状況はどのような感じでしょうか。増えているのか、一定なのか。
〔事務局・佐々木課長〕:受付で外国人かどうかの数字は取っておりません。以前にそのようなご意見を頂いた事がありましたので、スタッフに感想として聞きました所、当初よりは増えているかもしれないというのと、アジア系に関しては分かり難いので、その辺が把握できないというのが実情でした。それから、これは近年という事ではないのですが、団体のお客様の中にはアジア系の団体が、中国系ですとか東南アジア系の方が来られているという機会がいくつかありました。感覚的ではありますが、多少、微増傾向なのかなという気はしております。
ここは社会教育施設ですので、観光施設と比較するのはどうかと思いますが、ニュース等にあるアジア系の観光客の誘致というのは、お話も良く聞きます。否定する訳ではないのですが、そういう方々が逆に日本あるいは横須賀を知って頂くという事では、そういう方々が増えていくという事も考えていかなければいけないという感覚は持っています。
〔菊池委員〕:横須賀にはベースがあって、そこには多くの外国人の方がいらっしゃって、それは市民と同じような位置付けなので、決して観光客という位置付けではなくてね。やはり、同じように横須賀に住んでいる住民という形で考えれば、同じサービスを受けても問題はないと思うので、だからといって言語が違う事によって敷居が高くなるような状況を作るというのは違うなというのがありますし。
これから2020年のオリンピックを考えると、やはりその時期を狙って家族で夏休みにこちらに来られるとか、そういうケースも非常に増えてくるというのがあるとすると、やはり美術館というのは横須賀の特色のひとつ。この景観も含めてね。だとすると、もっとプロモーションをしながら、国籍を問わず楽しめる美術館であるということがあっても、横須賀らしさにつながるのかなというのがありますのでね。今の所まだプロモーションをしていないとすると、特に外に対してする必要はないと思いますけれども、ベースの中に住んでいる方々に、ひとつの横須賀の要素としてPRするのは必要なのではないかなと思っています。
〔事務局・佐々木課長〕:言葉が足りない所がありましたけれども、本当に最近ですけれども、ベース内に出している、横須賀でやっている事業を英語版にした、ベースの方を対象にした印刷物があるのですが、そこに毎回ではないのですけれど、美術館の事業を英訳したものを載せてもらうようにし始めた所です。今はそこまでしかないのですが、その反応をまた見る事ができれば対応として、次にやるべき事が見えてくるのかなという気がしています。
〔小林委員長〕:今度、斉藤文夫さんのコレクション展とか、話が出ていますが。横須賀製鉄所創設150周年で横須賀市は観音崎地区も何かイベントを考えているのですか。初代灯台はヴェルニーさんが造ったものだとか、この観音崎を含めた大きなイベントなどは。これは余分な話ですが、参考までに。
〔事務局・佐々木課長〕:全体的には、かなりの数の事業を150周年の事業としています。美術館としましては、美術館という性格の中では、関連付けた部分でありますけれど、前回の会議でお示しした斉藤文夫さんがお持ちの当時の浮世絵、横浜浮世絵と言われるものの中から神奈川や横須賀のその時代を浮世絵で見せるという展示、それからモンゴルフィエ家からお借りする資料の展示も地下でやろうと思っています。
そう言いましても、製鉄所150周年では、その時代を明らかにするという所がありますので、市としては多分、文化振興課それから博物館の事業がメインになるかという事と、特に学校教育でも150年前の横須賀が日本の開国の端になる事を市民に理解して頂くような教材を用意していく取り組みはしたいという事で、全市的に盛り上げていこうという考えでございます。
〔菊池委員〕:全庁的にやるものの要素のひとつとして美術館も何かをやるという事ですね。
〔事務局・佐々木課長〕:はい。
〔小林委員長〕:美術館により多くの人に来てもらうため、そのひとつが、先程のベースの人たちへのね。横須賀美術館に外国人の方が来るというのが特徴になる、横須賀の街全体の特徴というか、そういう事も含めて、英文のパンフレットを作るとか色々。それは出来たのですか。
〔事務局・栗野〕:受付では配布させて頂いております。
〔小林委員長〕:そのようにPRできる場が増えてくると良いですね。ありがとうございます。他になければ第3の議題に移らせて頂きますが、よろしいですか。では、スケジュールについてよろしくお願いします。
〔事務局・秋山〕:それでは、資料3「今後のスケジュール」をご覧ください。
まず、本日ご議論頂きました評価結果を基に、早急に評価報告書を作成し、委員の皆様にご確認頂きたいと考えております。その後、教育委員会への報告を経て、公開の運びとなります。
次に本年度が委員改選の改選年度になっておりますので、現在の委員の皆様の任期は9月末となっております。8月に市民委員の公募を行い、10月に新委員の委嘱となります。その後は、例年同様、年3回の会議、中間報告から事業計画へという流れで進めてまいります。今後のスケジュールについては、以上となります。
〔小林委員長〕:何か、委員の方でご質問はございますか。ありませんか。では、どうもありがとうございました。これで事務局へお返ししますので、よろしくお願いします。
〔事務局・上野〕:皆様、本日はどうもありがとうございました。これで評価、事業計画、今後のスケジュールと、本日の議題は終了になります。また、ご覧頂いた方もいらっしゃるかとは思いますが、会議が終わった後にお時間の許される方は「ウルトラマン創世紀展」をご案内させて頂きますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【閉会】