美術館について

美術館評価制度

横須賀美術館評価委員会(平成28年度第3回)

詳細を見る日時:平成29年(2017年)3月30日(木)14時~16時
場所:横須賀美術館 会議室

1 出席者
   委員会 委員長    小林 照夫  関東学院大学名誉教授
       委員(委員長職務代理者)
              菊池 匡文 横須賀商工会議所専務理事
       委員     柏木 智雄 横浜美術館副館長
       委員     樺澤  洋 市民委員
       委員     木下 美穂 市民委員
       委員     草川 晴夫 観音崎京急ホテル取締役社長

   館 長 教育総務部長         大川原 日出夫
   事務局 美術館運営課長       佐々木 暢行
       美術館運営課広報係長    相良 泉
       美術館運営課管理運営係長  上野 誠
       美術館運営課学芸主査    工藤 香澄
       美術館運営課(管理運営係) 秋山 卓雄
       美術館運営課(学芸員)   冨田 康子
       美術館運営課(学芸員)   沓沢 耕介

   欠席者 委員     河原 政子 横須賀市立小原台小学校校長

2.議事
      (1)平成29年度美術館事業計画(案)について
      その他
      

3.会議録

【開会】

〔事務局・佐々木課長〕:定刻になりましたので、「平成28年度 横須賀美術館運営評価委員会 第3回」を開会いたします。
開会にあたりまして、横須賀美術館館長事務取扱、教育総務部長大川原よりごあいさつさせていただきます。


〔大川原部長〕:教育総務部長、横須賀美術館長の大川原でございます。本日は、ご多忙の中、平成28年度 横須賀美術館 運営評価委員会 第3回にご出席たまわり、誠にありがとうございます。また、年度末のお忙しい中、事業計画案をご確認いただき、感謝申し上げます。横須賀美術館は開館から、丸10年を迎えようとしています。観覧者数は、開館当初から目標としていた年間10万人を、ほぼ毎年達成し、今年度も2月には10万人を超えています。また、アンケートによる各種の満足度も、本委員会を立ち上げた頃より着実に上昇しています。これもひとえに、本日お集まりの委員の皆様をはじめとする関係者の皆様のご理解ご協力の賜物であると、心より感謝申し上げます。
さて、本日は、平成29年度事業計画案についてご審議いただきます。後ほど説明させていただきますが、平成29年度は、開館10周年となるため、これを記念した各種行事を計画しています。事業計画案の策定にあたっては、これまでに委員の皆様から頂戴した意見を加味したつもりでおりますが、ぜひ、忌憚のないご意見を頂戴できればと思っております。なお、ご審議いただく事業計画案は、本日頂くご意見と4月に決定される教育総務部の方針を加味・修正したうえで確定とさせていただきたいと考えております。それでは、本日もよろしくお願いいたします。


〔事務局・佐々木課長〕:本日は河原委員から欠席のご連絡を頂いています。また、傍聴の方はいらっしゃいません。それでは、資料の確認をさせていただきます。


-(資料確認・略)-


以上が本日の資料でございます。不備等ございませんでしょうか。
それでは、小林委員長、議事の進行をお願いいたします。


【議事(1)平成29年度美術館事業計画(案)について】

〔小林委員長〕:それでは、次第に沿って、議事を進めます。議事(1)「平成29年度 横須賀美術館 事業計画書(案)」について、事務局から説明をお願いします。


〔事務局・佐々木課長〕:「平成29年度 横須賀美術館 事業計画書(案)」について説明させていただきます。この事業計画案につきましては、新年度予算として、現在、市議会でご審議いただいている事業、また、予算には出てこない部分を含め、新年度開始に先立ち委員の皆様に29年度の計画を事前説明することにより、ご意見を頂き、事業の早期改善に役立て、かつ業務の進行管理を行なっていきたいと考えております。なお、計画書内の28年度の数値は全て1月末現在に統一させていただいておりますので、ご承知おきくださいますようお願いいたします。
 お手元の資料「横須賀美術館 事業計画書(案)」の1頁をご覧ください。はじめに、「より多くの方に愛される美術館に」という運営方針は、29年度も変わりませんが、開館10周年となりますので、各種記念事業を盛り込み、事業計画を策定しました。当館の使命、目標を1頁下段に記載させていただいています。この目標に基づき、事業を展開して参りたいと考えています。それでは、事業計画を各担当から説明させていただきます。


〔事務局・相良〕:それでは、事業計画書の2頁をご覧ください。私からは、「Ⅰ美術を通じた交流を促進する」のうち、「①広く認知され、多くの人にとって横須賀市を訪れる契機となる。」の事業計画及び目標について、説明させていただきます。
まず、平成29年度の事業計画ですが、「1展覧会の実施」につきましては、例年のとおり5つの企画展と児童・生徒造形作品展の開催を予定しています。展覧会名、会期及び観覧者の見込み数は記載のとおりです。年間観覧者見込み数105,000人といたしました。
次に「2広報・集客促進事業」ですが、5つの柱となる(1)~(5)の方向性については、今年度と変更はありません。具体的な取り組みにつきましても、(1)~(5)にあるとおりです。なお本年度は2007年の開館から10年という節目の年であることから、美術館開館10周年を打ち出し、記念コンサート等のイベントや市役所でのパネルの展示、記念グッズのプレゼントを企画し、集客を図る予定です。
次に「達成目標」ですが、3頁中段をご覧ください。開館当初から毎年達成すべき観覧者数としてきた10万人を目標としております。ちなみに今年度の年間観覧者数につきましては、1月末現在で99,271人となっておりますが、その後の観覧者数の状況から目標をクリアする見込みとなっております。
次に「実施目標」ですが、4頁をご覧ください。記載のとおりで、今年度との変更点はありません。私からの説明は以上です。


〔事務局・沓沢〕:5頁をご覧ください。「②市民に親しまれ、市民の交流、活動の拠点となる。」について説明いたします。
横須賀美術館のボランティア活動は、「ギャラリートークボランティア」、「小学生美術鑑賞会ボランティア」、「みんなのアトリエボランティア」、「プロジェクトボランティア」、「プロジェクト当日ボランティア」の5つの柱に分かれています。この分類は、ボランティア活動の実態に即して、平成26年度にそれまでの2種類から改め、それぞれの活動の目的を明確にすることで、参加しやすくしたものです。
(1)「ギャラリートークボランティア」は、毎週日曜日に所蔵品展ギャラリートークを実施しています。29年度は新規募集を行わないため、研修の数は少なくなっています。通常の研修として、所蔵品展の展示替えごとに、展示担当者を講師としてレクチャーを行うほか、ボランティアさん同士で自主研修が行われています。ここで訂正がありまして、ご覧の計画書では通常研修の分が記載されておりませんが、5回実施する予定です。つまりこの(5回)というのが自主研修のことではなくて、所蔵品展のレクチャーを実施するのが5回、と考えております。この場で恐縮ですが、追加訂正をお願いいたします。
次に(2)「小学生美術鑑賞会ボランティア」は、鑑賞会を補助する活動のほか、企画展ごとに研修を行なっております。次に(3)「みんなのアトリエボランティア」です。これは、ワークショップの開催日数と同じ、12回の活動を想定しています。次に(4)の「プロジェクトボランティア」です。これは、毎月2回の会議、イベント開催前後の準備を含め、年30日程度の活動を予定しております。(5)の「プロジェクト当日ボランティア」は、プロジェクトボランティアが企画したボランティアイベントの当日または前日に活躍していただくものです。
次の頁、達成目標です。達成目標につきましては、市民ボランティア協働事業への参加者数を指標としております。29年度は、ギャラリートークボランティア、小学生美術鑑賞会ボランティアともに新規募集を行わないため、研修の数は少なくなっています。また、プロジェクトボランティアでは、28年度は特別に4回のイベントを行いましたが、29年度は通常の3回に戻っています。以上を考慮したうえで、参加者数の動向をふまえ、29年度の目標人数はのべ2,000人とします。
頁を改めまして、実施目標として、「市民が美術館に親しみを感じ、訪れる機会をつくる」、「市民ボランティアが、やりがいをもっていきいきと活動できる場を提供する」の2つを挙げています。市民ボランティアの方々と協働して事業を行なうことによって、市民にとって親しみやすい美術館に近づくと考えられます。また、市民ボランティアに参加する方々自身が、自らの創意と経験を活かして、いきいきと活動できる場をつくることを心掛けてまいります。説明は以上です。


〔事務局・工藤〕:「Ⅱ 美術に対する理解と親しみを深める」の「③ 調査研究の成果を活かし、利用者の知的欲求を満たす。」について説明いたします。  
展覧会事業では、例年と同様年6本の企画展を開催します。次年度は開館10周年にあたり、夏には「美術でめぐる日本の海」展を開催します。春には「デンマーク・デザイン」展、秋には人気の絵本作家である「tupera tupera」の初の大規模個展を準備しております。11月は、当館に多くの作品を所蔵している洋画家「伊藤久三郎展」、また児童生徒造形作品展を挟んで、横須賀ゆかりの洋画家である「青山義雄展」を進めています。  
1枚頁をおめくりください。所蔵品展、谷内六郎館では10周年を記念し、今年度市民の方から投票していただいた結果をもとに、展示を組み立てました。第1期では「みんなが選んだベスト・コレクション」、第2期では「ボランティアが選んだ朝井閑右衛門」、第3期の谷内六郎館で「みんなが選んだ谷内六郎」、第4期では「横須賀のアーティスト」を特集します。教育普及事業についても例年通りの回数、内容をもって次年度を計画しています。
10頁をご覧ください。この項目では、達成目標を「企画展の満足度80%以上」と設定しました。ここ数年の数値の変化の経緯を総合的に判断し、目標を80%以上と定めました。 実施目標としまして、・幅広い興味に対応するようバランスをとりながら、年間6回(児童生徒造形作品展を含む)の企画展を開催する。・所蔵品展・谷内六郎展をそれぞれ年間4回、テーマをもたせた特集を組みながら開催する。・知的好奇心を満たし、美術への理解を深める教育普及事業を企画・実施する。・美術への興味や理解が深まる美術関連の資料(図書、カタログ等)を収集し、図書室で整理・保管し利用者に公開する。・資料の分類や配架を工夫し、快適に利用できる図書室環境の維持に努める。・主として所蔵作品・資料に関する調査研究を行い、その成果を美術館活動に還元する。と設定しました。説明は以上です。


〔事務局・冨田〕:続きまして「④学校と連携し、子どもたちへの美術館教育を推進する」について説明します。事業計画について、12頁をご覧ください。平成29年度は、「学校との連携」、「子どもたちへの美術館教育」合わせて10項目を、次の通り事業計画としてあげています。
学校との連携 1 中学生のための美術鑑賞教室の開催(14回程度)、2 「美術鑑賞会」の受け入れ(市内全小学校6年生、46回)、3 学校で行われる鑑賞活動の支援(学校の要望があるとき)、4 職業体験の受け入れ(学校の要望があるとき)、5 学芸員実習の受け入れ(1回、6日間程度)、6 教員のためのプログラム(4回程度) 子どもたちへの美術館教育 1 ワークショップの開催(8回)、2 映画上映会の開催(2回)、3 親子ギャラリーツアーの開催(4~5回)、4 保育園との連携
まず、「学校との連携」について説明いたします。
1.「中学生のための美術鑑賞教室の開催」、2.「小学生美術鑑賞会」については、例年とほぼ変わらない内容で計画しています。3.「学校で行なわれる鑑賞活動の支援」については、平成28年度まで、「出前授業の実施」として掲載していたものですが、平成29年度は、実態に合わせて項目名を改めました。実施回数についても、「随時」とあったものを「学校の要望があるとき」と改めました。これは、学校との連携を深めていくなかで、必ずしも、「出前」に限らない授業支援の形をとるケースが出てきたこと、また先生の要望も多様化している状況があることを踏まえ、従来「出前授業」で一括していたものを、平成29年度は、「学校で行なわれる鑑賞活動の支援」という文言に改めることとしたものです。平成29年度も、よりいっそうきめ細やかに、学校の要望に応じた授業支援を行なっていくこととします。4.「職業体験の受け入れ」、5.「学芸員実習の受け入れ」は、例年と同様に実施する計画です。6.「教員のためのプログラム」は、平成28年度まで「教員のための研修」として掲載していた項目です。これまでの「教員のための研修」は、アートカードの制作、またはその活用促進を念頭に置き、時期的にも、夏休み期間中に単発で開催してきたものですが、3で述べたように、授業支援の形は多様化し、また、アートカードについても、学校配備から3年が過ぎ、使い方の紹介といった初歩的段階は一段落と捉えています。
さらに、近年、各地の美術館で、教員向けプログラムがたいへん充実してきている現状があります。こうした状況を踏まえ、横須賀美術館でも、平成29年度の先生向けのプログラムをいっそう発展させることを計画していますので、ここでの項目名を従来の「研修」から「プログラム」と改めました。具体的には、夏休みに限らず、年間3、4回程度、教員向けプログラムを実施すること、また、アートカードの紹介はもちろんのこと、地域ゆかりの作家を取り上げるなど、よりテーマ性のある所蔵作品の紹介にも力を入れること、市内の先生方や他地域での美術館活用について先進的な事例を紹介すること、先生向けのギャラリートークなど展覧会を理解していただくための工夫を取り入れることなど、内容を膨らます方向で計画を進めています。これによって、授業支援の多様な要望に対応すること、また、先生方に有益な情報共有の場を設けることを通じ、先生が授業で活用しやすい美術館となることを目指しています。
続いて、12頁後段の「子どもたちへの美術館教育」について説明いたします。1.から4までの全項目について、平成29年度も平成28年度と同様に実施することを計画しております。事業計画については以上です。
13頁では、達成目標を記載しています。④学校と連携し、子どもたちへの美術館教育を推進する、についての達成目標は、中学生以下の年間観覧者数を22,000人とすることとします。数値については、平成28年度から変更ありません。目標設定の理由について、説明いたします。横須賀美術館では、子どもや家族連れも楽しめるような展覧会を、特に夏から秋にかけて積極的に開催し、さらに、ワークショップや映画会など、展覧会以外の事業でも、子どもや家族に対するアピールにつとめています。学校連携においても、先ほどの事業計画で申し上げたとおり、先生に向けたアプローチに新しい工夫を取り入れ、学校による美術館活用をよりいっそう推進していくことを目指しています。このように、取り組みはいろいろと進めてきておりますが、一方で、横須賀市の14歳以下人口の減少傾向は変わりませんので、数値目標を単純に右肩上がりとすることは難しいと考えます。したがって、努力によって実現可能な数字として、昨年並みの数値目標を設定しました。
実施目標については、13頁後段から14頁にかけて記載してありますのでご覧ください。ここで掲げた6つの項目のうち、次の5項目については、昨年と変更はありません。・学校における造形教育の発表の場として、児童生徒造形作品展を実施する。・学校及び関係機関と緊密に連携し、子どもたちにとって親しみやすい鑑賞の場をつくる。・子どもたちとのコミュニケーションを通じて、美術の意味や価値、美術館の役割などに気づき、考え、楽しみながら学ぶ機会を提供する。・鑑賞と表現の両方を結びつけたプログラムを実施する。・小学生美術鑑賞会を充実させるため学校との連携を強化する。
なお、6つ目の項目、「美術館を活用した鑑賞教育がいっそう充実するよう、アートカードの活用推進をはじめ教員の授業作りに有益な情報提供を積極的に行なう」については、昨年までの「アートカード活用促進」に加えて、授業支援に関する要素を取り入れた表現となっています。これについては、授業支援の形の多様化を踏まえつつ、また美術館としても、そうした多様なニーズを積極的に汲み取って、先生方の授業支援を積極的に行い、学校による美術館の活用を推進するという意図があり、このような表現といたしました。「④学校と連携し、子どもたちへの美術館教育を推進する」については以上です。


〔事務局・沓沢〕: 続きまして、15頁、「⑤所蔵作品を充実させ、適切に管理する」について説明いたします。この項目は美術品の収集・保存・管理等に関する項目です。
1の収集につきましては、お示ししている収集方針に基づいて行っております。美術品を購入し、コレクションを形成していくことは美術館の基本的な機能ですが、財政上の理由から購入のための予算は充当されていません。したがって、収集活動は寄贈や寄託に頼っている状態です。
2の所蔵作品の管理につきましては、修復、額装、作品の貸出等を含んでおります。たとえば、ご寄贈いただきます美術品の中には、長い年月の間に本来の姿を失って、そのままでは展示に堪えないものもあります。そういう場合には、受け入れ後に適切な修復を施すことがあります。もちろんすでに収蔵している作品でも、修復や額装の整備の必要があるものもまだあります。貸出依頼や展示の予定があるものなど、優先順位にしたがって、計画的に修復を進めているところです。
作品の貸出につきましては、作品の保全という観点からは当然リスクを伴い、また場合によっては額装、撮影等の手間やコストがかかることですが、美術品を美術館相互で貸し借りすることは、美術館博物館の本来の目的を達成するために、行うべき事業として博物館法で定められています。借用目的が適正であるか、展覧会期や会場の環境に無理がないかといったことを検討したうえで、できる限り対応しています。
3の環境調査は、収蔵庫、保管庫、及び周辺の環境が作品を保管するのに適切かどうかについて調査を行うものです。具体的には、作品を汚損するおそれのある昆虫類、カビ類が増殖していないか、また、紙の劣化をはじめ、物質が変化する要因である空気中の酸・アルカリ濃度が適正であるかについての継続的な調査を、年2回実施しております。
4の美術品評価委員会は、寄贈・寄託をいただく作品について外部委員の方に専門的見地から審議していただく委員会となっています。
達成目標としては、数値目標を挙げたいところですが、たとえば寄贈作品の数や修復する作品の数等は、多ければ良いというものではありませんので、数値目標には適していません。その代わり、継続的に行っていくべき事業、環境調査および美術品評価委員会を、それぞれの回数実施することを目標としています。
実施目標につきましては、事業計画でお示しした各項目についてそれぞれ適切に行っていくことを目標としています。この項目についての説明は以上です。


〔事務局・秋山〕:「⑥利用者にとって心地よい空間・サービスを提供する。」について説明いたします。事業計画書案の17頁です。
事業計画の1 運営業務の、「受託事業者との定期的なミーティングの実施による情報共有」、「受託事業者からの業務日報や来館者アンケートに基づく課題の把握」、「館内巡回によるスタッフ対応等の確認」、これらは、以前より実施しているところですが、基本的かつ重要なことですので、今後も継続してまいります。
「レストランと連携した企画展ごとのコラボレーションメニュー提供の継続」では、企画展のイメージに合わせたメニューを提供して、観覧者に作品と食事の両方を楽しんでいただけるようにしたいと思います。「ショップ・レストランへのアンケート結果等の提供」につきましては、来館者から頂戴したご意見を事業者に伝え、商品や接遇などの改善に活かしていただきたいと考えております。
次に2 維持管理業務としまして、「設備担当スタッフ(委託業者)による設備点検(毎日)」ですが、美術館の機能が損なわれることのないように、設備担当スタッフが毎日、空調機器等の作動状況を確認します。「館内巡回による清掃状況及び施設不具合の確認」ですが、美術館の建設から10年を経過し、施設の不具合も増えていますので、こまめなチェックを行って故障個所等があれば速やかに修理を行えるよう努力します。「案内サイン台帳の作成」については、現在、鋭意作成中です。
次に達成目標につきましては、館内アメニティ満足度90%以上、スタッフ対応の満足度80%以上を目標としました。目標設定の理由は、下に記載させていただいた通りですが、過去の実績を参考に、目標を高く持ちつつも達成が不可能ではないと思われる数値を目標として、これを達成することによって、高い水準を維持することを目指しています。目標の達成度については、18頁にありますとおり、館内アメニティ満足度が92.5%、スタッフ対応の満足度が86.1%と、1月末現在の数字では目標を達成しています。スタッフ対応の満足度については、現在の受付・展示監視の事業者になった平成26年度以来、目標を達成し続けており、事業者の努力が数字に表れていると思われます。⑥については以上です。


〔事務局・冨田〕:「⑦すべての人にとって利用しやすい環境を整える。」について説明いたします。19頁をご覧ください。
「すべての人にとって利用しやすい環境を整える」はおもに福祉関連の事業が該当いたしますが、まず、事業計画については、次の通りです。1 福祉活動講演会の開催(1回)、2 福祉関連イベントの開催(2回)、3 障害児向けワークショップ「みんなのアトリエ」の開催(12回)、4 託児サービスの実施(16回)、5 未就学児ワークショップの実施(1回)、6 他館との連携(MULPA)(シンポジウム1回、ワークショップ1回)。  
このうち、1から5までにつきましては、内容、回数ともほぼ例年通りの開催を計画しております。なお、6.他館との連携 MALPA(マルパ)については、平成29年度からの新規事業となります。こちらは、かながわ国際交流財団の呼びかけのもと、神奈川県立近代美術館、平塚市美術館、茅ヶ崎市美術館、当館が連携し、県内ミュージアム活性化を趣旨として、今後3年に渡る活動を計画しています。内容としては、障害をお持ちの方や、海外から日本にいらっしゃって生活している方などの存在を念頭に、誰もが参加でき、関われるような表現や鑑賞のプログラムを実施するという趣旨で活動を始めています。3か年に及ぶ事業ではありますが、平成29年度にフォーラムとワークショップの開催を予定しています。
次に達成目標について説明いたします。19頁後段をご覧ください。平成29年度は、先に説明した1から6までの事業に対する参加者を420人以上とすることを目標として設定しました。数値については、平成28年度に400人としていたものを、先に述べたとおり、他館との連携事業(MALPA)の事業が増えた分を加算して、420人としたものです。 続いて、20頁をご覧ください。20頁では、達成目標について記載しています。福祉関連の事業については、本来、対象となる方に合わせたきめ細かい内容で実施することが重要です。また内容の充実を図ることが望まれており、そのためには、ある程度、限定的に実施していくことが必要な面もあります。したがって、単純に参加人数が多ければいいというものではありませんが、こうした事業を継続していくことによって、美術館での事業一般には参加しづらいと感じていらっしゃる方にも美術に親しんでいただく機会が生まれ、また、職員の意識形成をはぐくむという点で、意味のある事業かと思います。ただ、目標となっている数値に関しては、平成28年度も目標達成には至っておらず、この点について、引き続き努力が必要であると認識しております。  
続いて、実施目標について申し上げます。実施目標は、・年齢や障害の有無などにかかわらず、美術に親しんでもらう(環境づくりの)ための各種事業を行う。・必要に応じて、対話鑑賞等の人的サポートを実践する。・託児サービスを積極的に周知していく。となっております。  
福祉的なサービスについては、さまざまな機器の導入等の可能性も考えられますが、当館では、たとえば視覚障害をお持ちの方に対する対話鑑賞の要望に積極的に対応していくなど、まずは人的対応を重視していくことを心がけております。また、この分野に関して全般的にいえることですが、それを必要としている人に、情報が確実に届くよう、的確なPRが必要であると認識しております。この点についても意識を持ちながら、平成29年度の事業を実施していきたいと考えております。「⑦すべての人にとって利用しやすい環境を整える」については以上でございます。


〔事務局・上野〕:「⑧事業の質を担保しながら、経営的な視点を持って、効率的に運営・管理する」について説明させていただきます。21頁をご覧ください。
事業計画について、説明いたします。1点目の「エネルギーの消費管理を行い、省エネ対策を推進します。」についてですが、引き続き、消費管理と省エネ対策に取り組み、次に説明する達成目標をクリアしていきたいと考えています。2点目の「四半期毎に消費エネルギーの数値等を職員に周知し、コスト意識の啓発を図ります。」につきましては、毎月行っております課内ミーティングを活用して、四半期毎の数値を報告。増減の理由を検討し、コスト意識を持って事業を遂行するよう職員の意識合せを行い、引き続き、取組みを行ってまいります。
次に、達成目標ですが、28年度は「電気使用量、水道使用量、事務用紙使用枚数を直近3年間の平均値以下とする。」としていましたが、委員の皆様から、『毎年「平均値以下とする」では下へ下へと次第に厳しくなってしまい目標としてはいかがなものか。』とのご意見をいただき、菊池委員からも『評価に幅を持たせる意味でも「目安とする」でよいのではないか。』というご意見も頂戴しましたので、お言葉に甘え29年度は「直近3年間の平均値を目安とする。」とさせていただきました。「⑧事業の質を担保しながら…云々」という大きな目標に対して、この達成目標でいいのかという気持ちもございますが、総事業費のおよそ2割を占める光熱水費であり、また、職員が努力した効果を目に見えて感じることができる目標となりますので、29年度はこちらの目標で進めていきたいと考えております。
⑧の説明は以上となりますが、次の22頁の横須賀美術館 平成29年度予算についても説明させていただきます。上の表は、下の表の美術館費全体の予算の歳出合計から、給与費を除いた分を8つの目標ごとに振り分けたものです。給与費を除いた歳出の合計が418,427,000円、前年度比74,789,000円の増となっております。前年度比増につきましては、74,000,000円増の内、73,000,000円が管理事業となっており、主な理由は、収蔵品管理システムの機器更改などの業務委託料の増、および空調機器などの修繕料の増となっております。説明は以上でございます。委員長よろしくお願いします。


〔小林委員長〕:①から⑧までご説明いただきましたので、質問やご意見がございましたらお願いいたします。まず「①広く認知され、多くの人にとって横須賀市を訪れる契機となる。」について、いかがでしょうか。


〔菊池委員〕:2頁2広報・集客促進事業ですが、予算が391万円増額になっていまして、説明では開館10周年の記念コンサート等や記念グッズのプレゼント等あげられましたが、予算の内訳としてはどのようなものでしょうか。


〔事務局・相良〕:開館10周年の企画のイベントとしてコンサートの開催、記念グッズとしてオリジナルバッグの制作を予定しています。また、広報物等の予算増についても、この金額の中に含まれています。(後日追加:広報・集客促進事業の予算増391万円の内、コンサートの開催費30万円、オリジナルバッグの制作費10万8千円、10周年記念フォトスポット用レゴ制作ワークショップ実施委託30万円)


〔菊池委員〕:事業の中にはちりばめられた工夫がこらされていると思うのですが、10周年という節目は運営側、スタッフにとってのモチベーションでもあり、外に向けてのモチベーションでもある訳です。それをもっと打ち出しても良いのではないかと思います。どちらかというと例年と同様の仕切りになっていて、その中に10周年のものがちりばめられていると、もったいない気がします。もっと10周年という節目を美術館のためにも、外に向けても付加価値としてアピールして、次の10年に向けての意向のようなものが、この事業計画に表れても良いのではないかと。
予算がなくて10周年らしいことができないのであれば、ひと工夫して10周年というものを内外に意識付けする演出をそれぞれの中に入れ込むことで、事業計画自体をいつもと違うように見せることが大事だし、そうしないと、もったいないと思います。この事業計画からは美術館スタッフが10周年というモチベーションをどれだけ生かそうと考えているかが見えませんでした。本日は草川委員もお見えになっていますが、近隣の機関としてずっと連携をされてきた訳ですから、たとえば京急ホテルと10周年の節目にふさわしいイベント企画を作るなど、意図的に打ち出さないと、平成29年度の事業計画がいつもの事業計画と変わらないのではないかいう印象を受けます。


〔草川委員〕:せっかくの10周年という節目は大きいものだと思います。それを乗り越えてさらに20年、30年、100年ということですから、もっと色々なことを考えられた方がよろしいのではないかと思います。お客様、ボランティア、スタッフの方達が10周年を一緒にお祝いできるような、また来ようと思ってもらえるようなものがないと、せっかくの10周年がもったいないのではないでしょうか。そのようなものを考えていただければと思います。京急ホテルでも、デンマークデザイン展をはじめ色々なことをご一緒にやっていければ良いなと思っています。


〔小林委員長〕:事務局、今のご意見についていかがでしょうか。


〔事務局・佐々木課長〕:ご意見ごもっともだと思います。10周年ということで総括的な部分で事業計画書の頭に加えたもの、それから事業計画書の個々の部分に事業を入れました。ただ、10周年でどのようなことをやるのか、まとまった形ではこの事業計画書では見えにくいのはおっしゃる通りだと思います。予算を増やすことは難しい状況ですし、新たな事業を加えために予算やマンパワーが増やせない中では、おっしゃる通り各事業に冠を付けたり、今までやってきたものに付加価値を付けた内容で個々に事業計画を立てていますが、詳細な部分まで詰め切れていない所がありますので、そのあたりは個々の事業できちんと10周年を打ち出して、美術館はこうなってきているのだと打ち出していきたいと考えています。計画書の中には加えた部分もありますが、立体的に示すことはできなかったかと思いますので、場合によっては少し修正部分が出てくるかもしれませんが、ご意見を参考にさせていただきます。


〔小林委員長〕:各委員の皆さん、いかがですか。


〔柏木委員〕:事業計画と予算書は表裏一体をなしているものであり、美術館の基幹事業である展覧会、企画展とコレクションに関しては、展覧会事業に関しては前年度比で280万円強の減額予算になっています。また、コレクション購入費については新年度予算には計上されていないので、予算と事業計画を見る限りでは残念な印象は否めないと思います。全体的に見た時にもそのような印象があります。


〔木下委員〕:10周年記念ということで「美術でめぐる日本の海」が予定されていますが、これは、10周年ということで何が違うのでしょうか。いつもやっている企画展と、10周年だからどのように違うのかが分からないので説明していただけますか。


〔事務局・工藤〕:「美術でめぐる日本の海」を10周年事業とした理由は、当館の収集方針のひとつに、海に関する作品を収集するというのがあります。海というのは当館にとって重要なキーワードであり、収集方針のひとつである海をテーマとして、様々な作品を集めた企画展を開館10周年記念の展覧会としました。


〔小林委員長〕:委員の皆さんから、開館10周年の意義というものが提起されましたので、そういったことを織り込んだ形で進めていただければと思います。
では、続きまして、「② 市民に親しまれ、市民の交流、活動の拠点となる。」についてお願いいたします。特にありませんか。では、何か気が付きましたら、後程で結構ですので質問してください。「③調査研究の成果を活かし、利用者の知的欲求を満たす。」について何かご指摘がありましたらどうぞよろしくお願いします。


〔柏木委員〕:展覧会の性格については色々な考え方があると思いますが、開館10周年の周年をうたう展覧会というのは、全ての企画ではなく、何か集中して予算もマンパワーも投下して組み立てるということも、考えとしてはあるのではないかと思います。周年の特徴を打ち出す、対外的にも見えやすい、予算を集中投下することで、例えば海外の優れたコレクションを借りてくる、それが一つの目玉になる、というような取り組み方もあったのではないでしょうか。


〔事務局・工藤〕:何か一つの目玉になるような大きな展覧会を打ち出すという考え方はもちろんありました。ただ現状では今回は難しいと思いましたので、少し地味なやり方ではありますが、色々な方の支えによって10周年を迎えることができたと考え、1年間に10万人以上の方が来てくださったという感謝の意味を含め、多くの方に参加していただいて展覧会を作ることを目標にして、それを企画展ではなく所蔵品展の方で考えてみました。
9頁をご覧いただきますと、そこに「所蔵品展、谷内六郎展 年4回開催」とありますが、今回は数か月に渡って、出品作品について、来館された方々に自分の好きな作品を投票していただきました。美術館のスタッフも関わって投票していますが、皆さんに参加していただいて所蔵品展を組み立てるやり方で反映させました。ですから予算の集中投下とは違うやり方ですけれども、今まで美術館を支えてくださった方々、また好きだといってくださった方々に参加していただくことで展覧会を組み立てました。


〔柏木委員〕:分かりました。その取り組み自体はすごく良いと私は思っております。事業計画ではそのあたりがうまく表現できないというところがあると思いますが、対外的に周年の年ということで、説明いただいたことをどうアピールするかということだと思います。


〔菊池委員〕:そういう意図ならば、冠を「10周年謝恩企画」とかにしないと。せっかくそういう工夫を凝らしているのですから、伝わるように表現された方が良いと思います。関連して、先ほど柏木委員がおっしゃいましたが、展覧会予算が昨年と比べて290万ほど削られていますが、要因はなんですか。


〔事務局・工藤〕:削られたというより、実は今年度に「女性を描く」という海外展を組み込んだことで、前年度よりも予算が増えていたのです。ですからこれを見ると、削減されたように見えますが、今年度が多かったのを元に戻したというのが実情です。


〔柏木委員〕:収支を積算したらこうなったということですね。ただ、結果的に前年度に比べてということでしょうけれども、やはり周年ですから。


〔菊池委員〕:どのように予算要求したか分かりませんが、10周年ですから、柏木委員が言ったように、目玉企画をやりたい、300万掛かる、と言って削られてしまったのか、今年それをやって来年は例年に戻るから例年どおり要求したのか。もう覆りませんけれども。


〔小林委員長〕:ほかに何か③の箇所でありますか。


〔菊池委員〕:どうしても10周年にこだわる部分があって、例えばこういう企画展とか所蔵品展もそうですが、今おっしゃったような形で、実はタイトルだけ見ると分からないけれども、10周年を意識した企画がこの中にちりばめられているのだとすると、それは何か総合的に運営スタッフの方、学芸員の方、それからテナントも含めて、この美術館に関わる方々が、10周年をどのようにこの一年やっていこうかなど、予算は別にして、意識の共有や知恵を出しあい検討する場はあるのでしょうか。


〔事務局・佐々木課長〕:各事業に、それこそ展覧会の冠からはじまって、ボランティアのイベント、その他コンサートなどを羅列して10周年として考えていますが、基本的には方向性としてそれを打ち出して、広報の力で高めていこうと思っています。今年度中にやるべきでしたが、それを包括したものをスケジュール化して、どのタイミングでどういう形でやっていくのかが今はまだできておらず、新年度早々にと考えています。美術館の職員の中では月一回の会議を持っていて、またスタッフとの会議も月一回のタイミングで持っていますので、その中で早い時期に、具体的なスケジュールや方向性を説明していきたいと思っています。


〔菊池委員〕:スタッフが相互に自分たちの持ち場で、10周年をどのように運営していくのか話し合って、それを総合したものが、この美術館の10周年の方向性として出来上がって、それを全員が共有して、お客さんに提供していく。そうでないと、ただ10周年だと周知するだけでは効果が半減すると思います。ですから共有する意味でもそういう場というのがあって、例えば10周年の企画をやるのであれば、レストランも10周年のメニューがあっても良い訳です。それを個々に任せておくと連携もとれないし統一性もありません。そのようなことを、相乗効果もしくは最大限発揮するために、自分達が迎える10周年を、どのように来てくれる方や我々自身が結束力を高める機会にするのか、そういう何かテーマを決めて、それぞれが議論する場を持つべきで、それがこういう所に反映すると思います。
そういうものがあって、個々のメニューが10周年にからめたものになって表れてくると、ものすごく立体的に出てくる訳です。たぶん先程の谷内六郎の話も、そういう場があれば、予算はないけれども、谷内六郎展の所でこういう企画を練っている、10周年今まで育ててくれて、このようにやっている、という所もやはり全員が共有していないといけません。レストランの人も共有すれば、ではうちはその時こういうことをやろう、というアイディアが出てきますよね。せっかく10年間やってきた仲間であれば、何か皆が結束して知恵を出し合う場を持つべきだし、そういう場を作るならば、やはりここにうたうべきです。そういう場を作って皆で考える。それをお客さんに還元する。そういうものを自主的に作ってやっていくということを事業計画書で意思表示することも大事だと思います。


〔小林委員長〕:ありがとうございます。貴重なご意見ですね。


〔事務局・佐々木課長〕:おっしゃるとおりだと思います。来週から10周年となる平成29年度が始まります。事業計画の中も確かにそうだと思いますし、何よりも館全体としての意識合わせが正直まだできていませんが、美術館側の事業の形は一応見えていますので、方向性をきちんと話し合って各セクションでの事業というものを、改めて考えてもらって、相互連携をしていくように努力します。


〔小林委員長〕:やはり10周年というのは一つの節目で、持つ意味というのは大変大きいでしょう。それに対して、どういう取り扱い方をされてきたのか、そして10周年の企画としてはどうなのか、という問題を含めて色々問題が提起されていると思います。これはおそらく15周年の問題、20周年の問題等々、将来的にある訳で、せっかく委員の皆さんから貴重な意見が出ましたので、十分に踏まえていただければと思います。
では次の「④ 学校と連携し、子どもたちへの美術館教育を推進する」についてですが、横須賀美術館は学校との連携を重視してきましたので、色々とご指摘があればお願いいたします。


〔菊池委員〕:「学校で行われる鑑賞活動への支援」など、色々と書かれているのですが、これはマンパワーとして対応可能なのか。もっと学校から要望がたくさん来た時に美術館として受け入れられるのか、それともマンパワーとして限界ということなのか。例えば今までは「随時」であった「教員のための研修」が、「教員のためのプログラム」として「年4回程度」となっていますが、では「随時」だったときには、年間どれ位こういうことがあったのでしょうか。


〔事務局・冨田〕:28年度に関しては、こちらから呼びかけをして行う先生向けの研修が1回、その他に、こちらが招かれて参加した先生方の研修が2回、また、先生方の団体で、アートカードについて知りたいので来館するというケースの対応が1回ありました。つまり、受け身であっても年4回該当する事例があったということですので、平成29年度に4回の実施で負担が大きく増えるとは考えていません。


〔菊池委員〕:なぜこのような質問をしたかというと、我々は評価委員なので個々の状況をつぶさに知っていますから、学校との連携を美術館の方からかなり積極的に色々なアプローチをしていて、日常的に取り組みがなされていると分かっていますが、そうではない人たちからすれば、学校と美術館がもっと連携を取った方が良いと意見を言うと思うのです。だからといってそれを意見として取り入れてしまうと、やはりそれを受け入れなければいけない。だから私は、そういうことを聞いた時には、「横須賀美術館は学校との連携は充分取れています。ただマンパワーの問題があるから物理的に無理なので、そのためにアートカードというものを触媒として作って、先生方がそれを使って美術館について理解をして授業をしたうえで、子ども達が美術館に来るということをやって、立体的に美術を把握していますと。だからアートカードは、人と人の間を埋めるものであって、そういうものを使って今やっています」と、そのような話をしています。
やはり人が動くというのが一番良い訳ですが限界があります。「連携」「連携」というと美しい言葉なので、簡単に言いますけれど、やるのは大変なのです。ですから、せっかくアートカードというものがある訳だから、この機能的なツールをもっと前面に出した連携方式を横須賀美術館としては押し出したら良いと思うのです。そういうツールをちゃんと作ってやっていると、強くアピールした方が良いと思っています。いつも埋もれてしまっているから。


〔小林委員長〕:「連携」というと、たしかに「連携」と書けば連携が取れているような気持になってしまいますから、そういう意味で大切なご指摘だと思います。


〔樺澤委員〕:美術館では、子ども向けの企画というのを色々やっておられるようなので、美術館ができた時に小学生だった子も成長して、大人になって、ということがあると思います。先程の10周年ということと合わせて考えると、そういう人たちに横須賀での思い出というのを書いてもらって張り出すとか、そんなふうにして10周年に花を添えるということも良いのではないかと思います。


〔事務局・冨田〕:今頂いたアドバイスとは少し違うかもしれませんが、美術館では、10周年を記念して来館のお客様に好きな作品を投票していただき、そこで上位に選ばれた作品を第一期所蔵品展で展示するという計画を進めていまして、その中で、お客様に書いていただいた作品に対する推薦コメントをも併せて掲示する計画です。投票に参加されたお客様の中には、市内在住の10歳代、20歳代の方も含まれ、また、頂いた推薦コメントにも「中学生のときに初めて見てからずっと好きでした」というようなものがあります。これらを所蔵品展の中で紹介することはすでに決まっていますが、今このようなアドバイスを頂きましたので、所蔵品展とは別に紹介する機会などを改めて検討してみたいと思います。


〔小林委員長〕:「先生のためのプログラム」とありますが、先生の参加はこれまでの所、小学校と中学校どちらが多いですか。


〔事務局・冨田〕:これまでですと、小学校のほうが多いです。


〔小林委員長〕:それは健全ですね。中学校の先生は専門ですが、小学校の先生は全教科を見るので、小学校の先生が絵を見ることの意味を教育できるようになるのは良いことだと思います。それともう一つ、美術館はだいぶ南側に設定されていて、私などからみると、ずいぶん遠い所にあるような感じで、偏ったところにある気がするのですが、そのあたりの利用の分布はどうですか。


〔事務局・冨田〕:小中学生に関して、そういった統計は取っていないので、確かなことは申し上げられませんが、一般の利用ではなく学校単位での利用で見ますと、それ程大きくバラつきを感じたことはありません。例えば、中学生の職業体験に関して申し上げますと、年間12、13校、約30名の生徒を受け入れていますが、西地区の中学校からも、ごく近隣の馬堀中学校からも来ています。


〔小林委員長〕:そうですか。この美術館の良さというのは、一つは、館長さんが教育委員会の方ですので、教育委員会の中での連携を組織として考える物差しが色々あるのではないかと思います。いま申し上げたエリアの問題も含めて、そのあたりの良さを生かしていただければ、美術館が横須賀にとって益々大切なものになるのではないかと思います。


〔木下委員〕:13頁の中学生以下の観覧者数を見ますと、幼児が減っているようですが、どのような理由によるものでしょうか。


〔事務局・冨田〕:こちらは、保育園、幼稚園といった団体利用の増減よりも、展覧会の内容による影響が大きいのではないかと考えています。「長新太展」を開催した年と、現代美術展を開催した年では、やはり幼児の割合というのは差が出るのではと捉えております。平成29年度は、「tupera tuperaの絵本の世界」展がありますので、幼児の割合が増えることを期待しています。


〔木下委員〕:④の所でもうひとつよろしいですか。13頁の中学生以下の観覧者数の表を見ますと、小学生、中学生は横ばいですが、幼児はかなり減ってきていると思います。これは幼稚園自体が来る人数が減っているのか、それとも、児童数自体が減っているのでしょうか。


〔事務局・冨田〕:団体観覧等について、幼稚園や保育園の数が減っているということは統計上あまり見られません。どちらかというと、展覧会の内容、例えば夏休みから秋にかけて、子ども連れの家族が比較的来やすい展覧会にしていますが、そういった時のお客様の層によって、大きく左右されるように統計上は出ています。26年度は「キラキラ、ざわざわ、ハラハラ展」は、かなり小さいお子さん連れの家族層がいらっしゃったということが見て取れましたが、実際統計上もあのような展覧会をすると幼児の数が増える傾向にあります。


〔木下委員〕:今度tupera tupera展が開催されるので、また倍増するといいなと思っています。ありがとうございます。


〔小林委員長〕:どうもありがとうございます。次は「⑤所蔵作品を充実させ、適切に管理する。」について、何かありましたらよろしくお願いします。


〔柏木委員〕:毎回申し上げていることですが、購入予算について、次年度の予算はもう確定していて、周年予算もついていないと分かっていますが、周年事業の大きな学芸的な柱として、コレクション展をアピールするという方向性はとても良いことだと思います。この機会を捉えて、基金について市費以外にも民間からの寄贈、寄付というのはあり得るのでしょうか。


〔佐々木課長〕:目的寄付というのがもしあったとすれば、その可能性はありますが、明確にそういうものを打ち出してはいませんので、そこに寄付をしたいという方は過去に問い合わせを受けたことはありますが、現実的にそこに入るということは今の所はありません。今後の可能性としてはあります。


〔柏木委員〕:ふるさと納税のしくみを使うとか、コレクションを次年度、周年にことよせてアピールするということであるならば、購入予算の獲得に向けて、10周年ということで、これまで収集してきたコレクションをアピールするとともに、未来に向かってコレクションをどう形成していくのかということを広くアピールする良い機会だと思います。そこをふまえて、次年度のコレクション展の計画を練ると良いのではないかと思いました。


〔佐々木課長〕:前回もご指摘を受けまして、そのとおりだと思っています。作品を購入するための財源を何とか確保しなければならないので、ふるさと納税のしくみの利用は29年度に実際やっていきたいことのひとつであります。目的寄付ということであれば、その分での作品購入が叶うと思われますので、そこに力を入れなければいけないと思っています。過去から、各委員会で、作品の収集、購入の予算をというご意見を頂いていますので、折に触れてそのようなご意見を頂戴していると話しています。しかし、市全体として大きな課題がたくさんある中では埋もれてしまっている状況です。引き続きそのことは訴えていきますし、ひとつの方策として前回のご意見は非常に良いご提案だと思っていますので、そこに力を入れていきたいと思います。


〔柏木委員〕:美術館が都市資源として政策上位置付けられているということですし、そのなかでもコレクションというのは一番大きな資源、市民の財産です。金額の問題ではなく、例えば展覧会事業で、ゆかりの、あるいは若手の作家たちが制作した作品を、少額でも良いので買い上げて、それをコレクションにするとか、それをまたコレクションとしてアピールするということがやはり必要だと思います。今はどこの美術館も財政的に厳しいので、大きな購入予算を獲得できる所は国以外にはないと思います。そういう中で、購入することによって美術品を、財産を充実させていく営みというのは大変重要なことなので、何か工夫を、知恵を出していく必要があると思います。私が勤めている美術館も同じで、どこも厳しいと思いますが。


〔佐々木課長〕:10周年の活動の中では表に出ることはないかもしれませんが、この10年で全くできていないのはそこだと認識していますので、一歩踏み出せるように努力していきます。


〔小林委員長〕:他に何かございますか。よろしいようでしたら、次の「⑥ 利用者にとって心地よい空間、サービスを提供する。」に関して意見等ありましたらお願いいたします。


〔木下委員〕:少し前にミュージアムショップの事業者が変わりましたが、アンケートなどで、前の業者と比べてどうなったというような意見はありましたか。


〔事務局・沓沢〕:来館者アンケートの中に付帯施設としてミュージアムショップやレストランについて満足度を尋ねる項目がありますので、ミュージアムショップについて前後を比較することはできると思います。


〔木下委員〕:以前と商品の内容が変わって、外で遊べるようなものが増えて、それはそれで良いことだとは思うのですが、普段見られないような品揃えがあるから楽しいので、その点では前の事業者の方が内容的に利用のしがいがあったと個人的には思います。


〔事務局・上野〕:昨年末で前の事業者が撤退して、新たな事業者を募集した時の応募書類には、このように運営する、このような商品を扱うとあって、その内容を考慮して新事業者を選定した訳ですが、確かに、品揃えが近現代美術を扱う美術館とは違うと感じる部分があります。事業者が、東京の科学技術館でミュージアムショップを運営していたこともあって、子供向けのおもちゃのような商品が多いですが、今後は美術館的な商品を増やしていきたいと事業者